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種を蒔いた

7月10日(水)
朝、目が覚める。右に左に ごろごろしながらまどろむ。むくりと起き上がる。

玄関の戸を開けて朝のぜんぶに「おはよう!」と、あいさつをする。
トンボたちの間を黄色い蝶々が ひらひら飛んでいる。可愛い。

カカオにご飯をあげる。

ウーちゃんとルーちゃんにタブレットのエサをあげる。
水槽の前に立つと、ルーちゃんがこちらを見ながら ふわぁ〜っと浮いてくる。か、可愛い。菜箸でエサをあげる。ぱくっ。

最近、ウーちゃんがタブレットも食べるようになった。よかった。2匹とも ぱくぱく食べる。

水槽の水を換える。

注文分の絵本を梱包する。
てくてく歩いてポストに出しに行く。ゴトン、ゴットン。「いい旅を。」

そのままお散歩する。階段を上る。濃厚な甘い香り。小さな白い花が満開のアベリアだ。ミツバチはいなくなり、まるまる太ったクマバチが ぶんぶん飛んでいる。可愛い。

てっぺんに到着。東屋で ごくごくお水を飲み少し休憩して、てくてく下る。

今日の夕方から雨が降るということ。クローバー畑の枯れているところに種を蒔くことにする。

毎年、夏になると少し枯れる。枯れたクローバーの下から小さな芽が出ているが種も撒く。本当は春と秋が種蒔きの時期だが、今まで夏に蒔いても大丈夫だった。夏の雨の直前に蒔くと、あっという間に芽が出る。

様子を見ながら種を蒔いていると、

「お$%&*☆*…」と、声がした。顔を上げるとクロちゃんパパのOさんが立っていた。

「おはようございます。暑いですね。」と、あいさつをする。

「おはよう!何しよん?」と、Oさん。

「種、撒いているんです。枯れてるところに。夕方から雨が降るみたいだから。」と、私。

「枯れてる…。」と、Oさんの顔が曇った。

「夏になると、少し枯れるんですよ。下から小さな芽も出てきてるから大丈夫だと思うんですけど念のために。」と、私。

ほっとした様子のOさん。

Oさんは去年、わが家のクローバー畑で四葉のクローバーを生まれて初めて見つけて感動していた。それまで「四葉のクローバーなんて無い。」と、思っていたそうだ。

それでも毎日探しにきていた。緑鮮やかなクローバー畑で一心不乱に四葉のクローバーを探しているちょっとビーバーに似たおじさん。

四葉のクローバーを見つけたときは瞳がキラキラ輝いていた。

「1時間前、ココナちゃんが玄関の前でおったよ」と、Oさんが言った。

え。Oさん、1時間前にも来てたんだ。

「クロはどっか涼しいところ見つけておるんやろね〜。」と、遠くを見るOさん。

「そうですね。猫は心地いい場所よく知ってますからね〜。」と、私。

「オレの車ん下で寝たらいいのに。涼しいのに。」と、Oさん。

え。何で知っているんだろう。Oさんは車の下で寝たりするのだろうか。と、ちょっと思った。

Oさんが帰り、今度はレモンさんとご主人が自転車でやってきた。畑仕事の帰りのようだ。お元気で朗らかな80歳代のおふたり。

「何しよ〜ん?」と、レモンさん。

「枯れたところに種撒いているんです。」と、私。

「がんばりよんね〜。あら、可愛いポシェット!」と、スイカのポシェットを見てレモンさんが言った。

「ぱくっ。」と言って食べるマネをした。

笑いながらレモンさんは自転車で通り過ぎた。その後ろからご主人も笑顔で通り過ぎた。

家に入り食事の支度をする。修一郎の分はいつものようにお弁当仕立てにしておく。豆乳パンケーキを焼く。

仕事をする。もくもく。描き描き。

夕方、ごはんさんとお買い物に行く。
バナナをカゴに入れる。バナナジュースを作るのだ。冷凍庫にミルクと卵とお砂糖だけで作られたアイスクリームがあるから、それも入れてスムージーにしてもいい。楽しい計画を練る。

ゴーヤがお手頃価格だった。1本カゴに入れる。これはワタを取りスライスして冷凍しておこう。ゴーヤチャンプルー風にしたりナスと味噌炒めにしたり。

帰り着く。
先日、ごはんさんがピンク色やうす紫色のとても背の低いキャンドルを購入した。バラやラベンダーの香りがする。分けてくれた。

火を点けてしばらくすると蝋が溶けて色鮮やかな液体の中で ゆらゆらと火が灯る。その様子が はっとするほど素敵なのだ。火を消して しばらくするとまた固まる。おもしろい。

夜、庭に出る。
真っ暗。しっとりした空気。さっきまで降っていた雨は止んでいた。玄関灯で照らされたクローバーたちに降り注いだ雨の雫がキラキラ輝いてきれい。透きとおった星みたい。夜のぜんぶに「おやすみ。」を言う。

カカオは遊びに出かけている。クロちゃんも帰ったかな。

今日もいい一日だった。

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