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おっさんだけど、仕事辞めてアジアでブラブラするよ\(^o^)/ Vol, 40 蓄積
インド Leh 10日目
2023.0805 Sat
コンコン…。
ノックの音で目覚めました。
わたしはベッドに横たわっています。ベッドはひんやりと冷たくて硬質です。胎児のような姿勢で丸まっていたのですが、おなかの鈍痛を散らすべくわたしは仰向けの姿勢になり片足を立てて脚を組みました。
そこでふと気付きました。
“あれ、便所サンダル履いてるな…”
コンコン…。
反射的にドアを見上げます。
数秒後、わたしはすべてを悟りました。
選択は2つ。ノックを返すのが1つ。もう1つはドアの向こうに向かってこう言うのです。「Help me!」
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それがほんの数日過ぎればもうこの有様ですよ…。
※画像と本文は関係ありません。
1dayのテストライド、そして5dayのバイクトリップ。オン/オフ含めて軽く1200km以上を走破した、インド旅行のハイライトともいえるツーリングを終えたわたしの身体は、この旅を始めてからちょうど2カ月を過ぎたこともあり、疲労がピークに達していました。
実はツーリング最終日の朝には軽い違和感を覚えていたのですが、そこは“火事場のなんとか”といいますか気合だけはギンギンでしたので、気力で体力の前借をすることによりなんとか切り抜けていたのです。
そしてLehにたどり着いた翌朝、起き出すのと同時にのどに違和感を覚えました。
“扁桃腺が腫れとんな…”
面倒くさいことを先回しにする癖があるわたしは、そんな病気の兆候をすぐにすっかりと忘れ、同じホステルで日本人バックパッカーと出会ったこともあり、普通に一日を楽しんでいました。
そして夕方。わたしは発症します。
異常な身体のダルさ。日記を書いていてもまったく集中できない。椅子から立ち上がる度に感じる関節の激しい痛み。ベッドに横たわり、自分のほっぺたを触ってみて、そこで初めて自覚しました。
“あ、おれ病気やわ”
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あれですね、どんな動物にせよ、懐いてもらえると嬉しいもんですね。
※画像と本文は関係ありません。
それでも大人しく寝ていられないのがわたしなのです、残念ながら…。
翌朝から“もう治ったわ”などとうそぶき、普通に街歩きを楽しみ、そして夜なんかは屋上で一服なんかしたりして余裕をかまします。
そして次の日は起き抜けからの体調不良。しかしながら夕方には調子をこいて街に繰り出し、結果そこから急激な体調の悪化に見舞われます。
激しい腹痛と下痢。発熱と悪寒、そして関節痛。トイレにたどり着くだけでまさしく這う這うの体で、便座に座ったとたんに眩暈に襲われます。
トイレから帰って二段ベッドにどうにかよじ登り…。それを何度か繰り返し、同室のインド人のおじいさんが「おいおい、おまえ大丈夫か?」と心配し始めた頃、最後の気力を使い果たしたわたしは、トイレで失神するのです。
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「Nice car!」と声を掛けると、嬉しそうに親指を立ててくれました。
※画像と本文は関係ありません。
ノックを返すか、それとも…。
瞬間的にパニックに陥りかけたものの、なんとか冷静さを保つことに成功したわたしは、朦朧とした頭で考えます。
“これは苦痛を伴う症状というだけであって、危険を伴う症状ではない”
そう、小康状態のときにたどりついた答えが“疲労の蓄積”です。
3年近く完全ルーティンな毎日を送ってきたわたしが、いきなり海外に旅に出、そして毎日初めての出来事を体験しているのです。初めての土地で、初めての食事を口にし、初めての相手と、ほとんどしゃべれない言語で話す。それを2カ月続けたうえでの6日間の超ハードなバイクトリップです。
“免疫力の低下による体調不良。他に別段の理由はない”
それがわたしの出した結論です。
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挨拶をすれば多くの人が陽気に返してくれます。「ジュレー」「ナマステ」
※画像と本文は関係ありません。
とすれば、答えは1つ。
コンコン…。
わたしはノックを返しました。
皆の見守る前でクソを漏らすか、それともトイレ兼シャワールームでクソを漏らすか、そんなの考えるまでもありません。
そうしてわたしはゆっくりと時間をかけて後始末をし、フラフラの身体を引きずってまた2段ベッドによじ登ったのでした。
明けた早朝、ヒンヤリ湿った尻をシャワーで洗い流し、パンツを捨ててズボンを洗い、コッソリとベッドシーツを交換したのはまた別のお話ですよ。
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それが良いこととも悪いこととも思いませんが、本当に日本人を見掛けないですね、思ったより。
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