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大きくなったら何になりたかった?

「小さい頃になりたかった大人の姿に、今の自分はなれてるのかな」と思うことが、最近、よくある。
なぜだろう。きっと、自分が親になって、自分の子供の将来を考えること・・・いや、案ずることが増えたからだ。

今年7歳になった娘は、私の小さい頃と全然違う。
違っていて当たり前だし、全然悪いことじゃない。
でも、娘の個性はどうも、日本の社会(特に学校)ではマイナスに働くことが多いようだ。親としてはそれがとても心配。

娘は「激」がつくマイペース。好きなことはすぐやるくせに、嫌なこと(自分が納得しないこと)は全然しない。そして、どんなことも、遅い。機動力とスピードというものが一切ない。10年前のパソコンみたいに、立ち上がりに時間がかかる。朝から晩まで私に「早く!」と言われている。これは保育園でも小学校でも同じようで、保育園の頃は先生によく「スピードアップして!」と急かされていた。
そんな娘を見て、かわいそうだなと思う一方で、私自身も娘ののろさにはイライラさせられている。

悪いことばかり書いてしまったが、良い面ももちろんある。
娘はクリエイティブなセンスがいい。
頭に浮かんだイメージを具現化する能力に長けていて、遠近法や擬人法を使った写真を自分で考えて撮ったり、一度見た光景を絵に描いたりすることが得意だ。クスっと笑えるような文章を書くのもうまい。
ちなみに、私のnoteのプロフィール画像も、娘が描いた。きっかけは忘れてしまったが、「神様を描いた」と言っていた。
そして娘は、感受性が豊かで、さらっと感情移入する。Youtube動画の合間に流れる数十秒のコマーシャルを観て、感動して泣いたりしている。
そんな娘の将来の夢は、「カフェと、マンガのお店と、マッサージ屋さんと、パン屋さんをやること」。

私は密かに、その夢は、あながち娘の個性からズレていないんじゃないかと思っている。むしろ、とても合っているとさえ感じる。パンを焼き、マンガを描き、時々やってくるお客さんにマッサージやコーヒーを提供しながら、余計な気を遣わずに、自由にのびのびと、楽しく仕事をする。組織に属することは恐らく向いてないから、一人で店を切り盛りするほうが気楽なんじゃないかと。

私自身の子供の頃はというと「勉強が好きで、運動もそれなりに得意。しっかり者キャラで、学級委員を任されたら張り切っちゃうタイプ」だった。近所のおじさんには「おマセちゃん」と呼ばれていた。

そんな私の子供の頃の夢は「ファッションデザイナーになること」だった。スーツを着て、ハイヒールを履いて、携帯を片手に何やらせわしなく話しながら、街を颯爽と歩き、ガラス張りの広いオフィス(自分だけの個室)でかっこいいドレスをデザインして、ファッションショーの最後に登場して、モデルたちに囲まれながら両手を広げておじぎをし、観客から拍手をもらう。そんな、誰もがうらやむキャリアウーマンの姿を思い浮かべては、新聞の折込み広告の白い裏面に服のデザイン画を描いていた。

あれから30年近く経った今、私は、日本の地方都市に住んでいる。
職業は公務員。
高校から大学まで、デザインの勉強・・・は一切しなかった。私は、何を間違えたか語学の道に進んでしまった。
あんなに具体的にイメージしていた夢なのに、いつしか、自分の中で才能の限界を勝手に決めて、まったく違う道へ進むことを決めた。

今の仕事に不満はないし、家族も増えてプライベートも充実している。
幸せかと聞かれたら速攻「YES!」と答える自信はある。
だけど、「私にはもっと他にやれること、やるべきこと、やりたいことがあったんじゃないか?」と考えてしまうことも少なくない。

娘には、私と同じ思いをしてほしくないなぁと思っている。
だから将来、もし娘が進路で悩むことがあったら、教えてあげよう。「あなたは小さいころ、カフェと、マンガのお店と、マッサージ屋さんと、パン屋さんをやりたいって言ってたんだよ」と。もしかしたら、娘の進路を考えるヒントになるかもしれないから。

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