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出産・誕生|新米ダディの子育てダイアリー Vol.11

妻は、妊娠31週で切迫流産のため入院をしましたが、妻とお腹の中の赤ちゃんが頑張ってくれたおかげで、入院から約1ヶ月が過ぎ、妊娠35週まで辿り着くことができました。

何度か陣痛のような痛みがあり、陣痛室に入ったり、
副作用があり、お腹の張りを抑える点滴を外さざるをえなくなったりと、
山あり谷ありの入院生活でしたが、36週が見えてきて正期産が近づいたということで、退院の許可が出ました。
妻は、久しぶりに家に帰れるということで、喜び、ワクワクしていました。

退院を翌日に控えた日の深夜1時頃、
「陣痛が来た、本物の陣痛だと思う」
という妻からの連絡。
私は、急いで病院に向かいました。

深夜2時、病院に着くと、妻は陣痛室にいました。
「今のところ大丈夫、そんなに痛くない。朝7時くらいには産まれるかな?」
と笑顔の妻。
好きなバンドのライブDVDを見ながら和やかに過ごしましたが、
それは、長く壮絶な出産の始まり、嵐の前の静けさでした。

朝方になると、徐々に痛みとお腹の張りが強くなってきました。
笑顔が消え、お腹が張るたびに「また来るー!痛いー!」と妻は叫びました。

なんの根拠もないのに「大丈夫、もう少し」という声をかける私。
妻がこんなにも苦しんでいるのに「大丈夫、もう少し」としか言えない、自分に、無力さを感じました。
こんな大切な時に、睡魔に襲われる自分にも、心底嫌気がさしました。

いつになったら産まれるのだろうか?妻は楽になるのだろうか?
終わりが見えない時間は、朝方から正午まで続きました。

正午を過ぎた頃、
「そろそろですね、分娩室に行きましょう」と助産師さんに声をかけられ、妻は分娩室に移動しました。

私は、出産の立会いを希望していましたが、早産ということで立ち会うことはできませんでした。
分娩室の中には入れませんでしたが、カーテン1枚で仕切られた場所にいることができたので、声は良く聞こえました。

分娩室に入ってから約30分、「もう無理ー痛いー」と叫び続ける妻。
励まし続ける助産師さん。
「無事に産まれてきてくれ」と祈る私。

13時を過ぎた頃、「頭が見えてきましたよ、もう少し」という助産師さんの声・・・

しばらくの沈黙の後・・・

「おぎゃーーーーー」
「おめでとうございまーす」

自然と涙が溢れてきました。
息子が誕生した瞬間でした。

数分後、助産師さんから「おめでとうございます、母子ともに健康ですよ」と説明をうけ、分娩室に案内されました。

そこには、とても優しく穏やかな表情をした妻がいました。
初めてみる我が子は、とても小さく、言葉にできないほどかわいく愛おしく、妻の胸の上でゆっくりと呼吸をしていました。

妻には、「ありがとう、頑張ったね、本当にありがとう」
息子には、「はじめまして、ようこそ」
と声をかけました。

陣痛がきてから出産までは、約12時間。
予定日より約1ヶ月早い早産となりましたが、
体重は2500グラムを超え、元気に産まれてきてくれました。

想像を絶する痛みに耐えてくれた妻へ、
元気に産まれてきてくれた息子へ、
感謝の気持ちでいっぱいになりました。

息子が誕生した日、妻が母になった日、
私は父になり、「自分の全てをかけて、妻とこの子を守っていくんだ」
と決意した日でした。

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