見出し画像

〈詩〉 北西のまちへの短い旅

あなたはいないのに
私は北西のまちへ行った

あなたは来ないのに
私はむかし聞いた場所で待っていた

舞う雪がウールのコートに溶ける
革のブーツが白い道に足跡をつけていく


あなたの絵筆の跡を確かめたかった
あなたが貼ったシールをもう一度探したかったの

あなたの女の子たちにも会いたかったわ
あなたにつつまれて
日本一きれいな月を見たかった

あなたの影さえ見つからなかったけれど
その場所にいると
雪原に彗星が落ちたようなあなたの命の輝きを感じて


私はいそいで短い旅から戻ってきた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?