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〈詩〉 悪魔

まどろみから目覚めて思った
もしかしたら君はほんとうに悪魔なのかもしれない

真夜中になると
骨ばった耳をとんがらせて
赤い唇の上に牙をのばして
瞳をストップライトのように眩しく光らせて

鏡の中の闇深い街へ飛び立っていっているのかもしれない
肩甲骨から濡れたような黒の巨大な翼を生やして


縺れた系が張りめぐったこの寝室には
君はもう戻って来ないのかもしれない

呼吸を奪っていく系を切り裂いて
逃れようとした君に罪はない

結び目も見えないほど光を失っていた僕の目には
窓に向かってぐるぐるとのびる系さえぼんやりと美しく映っていた


歯を磨いたら
僕らのベッドへ入ってきてくれないか

冷たいグリーンの瞳の微笑みを盗まれた悪魔を
待っている

リアルな色の系が縺れ合った天井をまっすぐ見つめながら
待っている


午前0:00の白い光

平たく明かりの洩れるバスルームから
翼が羽ばたく音が聴こえる


  ◆


藤井フミヤさんが描かれた「縺れた線の女」(38p.)という絵を眺めていたら、詩のようなものができました。
悪魔が描かれているわけでも、悪魔のような女が描かれているわけでもないんですが…

All About FUMIYART 藤井フミヤの想像新世界 








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