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Photo by
soeji
〈詩〉 花嫁
何千年の時をこえて
彼女は人生でいちばん美しい日をむかえた
髪を洗っても流れ落ちない過去をふんわり覆う
純白のレースのベール
その下で彼女は頬を染めて笑う
たくさんの可憐な花々にかこまれて
見たこともない蝶々がひらひら飛んできて
彼女のやわらかく揺れる金髪をリボンになって飾る
彼女のまるい額を彩るエメラルドは
灰色の世界に光をあたえる
彼女はどこかの立派な玄関で
今日も客人に微笑みかける
彼女の冷ややかな肌に優しくふれた
画家の厚い手のひらの温度を時々思い出しながら
彼女はその部屋の隅に佇む
二人きりで見つめあった甘い時間を懐かしみながら
彼女は画家のハートを背中に刻み
嫁いだ家でおだやかに静かに暮らす
5年後も、10年後も、100年後も
彼女の瞳に、頬に、唇に
画家のていねいな愛情は宿りつづける
「All About FUMIYART」に藤井フミヤさんの私の大好きな作品が載っていました。(60-61p.)
「花嫁」という壺を見て書いた詩のようなもの。
「All About FUMIYART 藤井フミヤの想像新世界」
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