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3回目の『かがみの孤城』


この世界は、見えるものだけで成り立っているわけではないです(と、私は信じています)。
ただの偶然や科学的根拠だけでは説明のつかない現象も起きるし、奇跡も確かに存在している。

信じないっていう人もいるのはわかりますし、それを否定するつもりはありません。
でも、こんなことあるんだなという体験を自分自身何度もしているので、むしろこの世界の出来事の9割は、見えない存在の見えざる手によって起こっているんじゃないかっていうくらい思ってます。

この映画を見ると、とにかく奇跡を信じたくなる。

一人ぼっちで誰にも相談できないと思っていたこころの前に、喜多嶋先生が現れる。
みんなで助けたアキは、未来で逆にみんなを助けてくれる。
マサムネと出会ったことで、スバルは将来を見つける。マサムネが遊んでいたものこそ自分が作ったゲームですが、記憶はなくしているもののこういう時間があったからこそ、この道に導かれ頭の中に自然とゲームの構想も入っていたはず。
まるで未来から導かれるみたいで本当に素敵です。
クリエーターにとって、「アイデアが降りてくる」ということがありますが、こういうことなのかななんて思うこともできますよね。


一生懸命に自分と闘って生きている人には、今は一人ぼっちに思えても、必ず助けの手が差し伸べられるし、今はまだわからなくても、必ず出会うべく人に出会えるし、今は見つからなくても、自分の進みたい道が見つかるんじゃないかと思うんです。
そして、助けられ、助け、そうやって本当は、本来は、世界はとても優しい。

人の縁って、こんなふうに導かれているのかなとも思います。
初めて会ったのに、なんとなく知っている気がしたり、すぐに意気投合したりする人はもしかするとこうやって、大事な時を一緒に生きた仲間かもしれない。きっとまた会おうねと約束して、それを忘れているだけで、でもちゃんと出会える。それが、縁なのかもしれない。

私たちを見守ってくれている見えない存在は、私たちの誰にもちゃんと「お城」を用意してくれて、私たちの縁ある人とはそこで既に心を通い合わせてしいるのかもしれないな、なんて思えます。
素敵ですよね、そんな風に考えたら、お城というフィールドは、(物語の中にもそんな感じのことが出てきましたが)誰もがプレゼントされる大切なプレゼントで、形は人それぞれでお城じゃない人もいるかもしれないけれど、今隣にいる大切な人たちと、それぞれの思う場所で、きっと「いつか会おうね」と約束していたのかなぁなんて。



そして、そんな優しい世界の中で、もう一つの底抜けに優しくて切ない姉弟愛のストーリー。
ただでさえ姉から弟はかわいいものですが、年が離れているとなおさら、まるで第二の母のように弟を見守りたい存在だと思います。
きっとこころとリオンは良き友人から、将来良きパートナーになるんでしょうね。
それも、お姉さんが見えない力で繋いでくれた縁。
2人の始まりを見守るお姉さんの姿に、慈しみ深い姉心と、それをニヤニヤと見守るような可愛らしいいたずら心を感じて、エンディングがまた号泣必至です。


私は学生時代に、こころのような体験をしました。家に来られるほどではないですが、いじめを受けて、学校にうまく行けなくなり、人の目線が気になり、自分の繊細さをうまく扱えなかった。
映画にはないんですが、こころが「雨のにおいがする」と言って真田たちに笑われたシーンがあります。
心が痛かった。私は、自分がちょっと人と違う感性を持っていることがわからなくて、こんな風に自然のことで素敵だと思った音や、においや、そういう話をしてしまっていて、周りに変な子だと思われたからです。

この作品とは別の、辻村深月先生の作品の中に、「この世は繊細さのない場所だよ」というフレーズがあります。

今は少し変わりつつありますが、それでも、スピードや効率重視、細かいことは気にせず活発で物おじせずいつも社交的で明るい人が社会で幅をきかせる風潮はなくなったわけではありません。

そういうものに、うまく乗れなくてつらい気持ちを抱えている人も、きっと少なくない。
私はそういう人の力になりたくて、大人になったいまは喜多嶋先生のような仕事をしています。

でも、今日再び映画を見て、もしかしたら現在出会っている子たちに、私の方こそ助けられたことがあるのかもしれない、と思いました。
もちろん、日々接している中で、私の方が助けられるような、あたたかい気持ちになることは多々あるんですが、縁ある子たちとは、何か特別な約束をひたんだろうなぁ、と、今回それを一番感じました。

これから、優しい世界がどんどん広がっていきますように。そう願ってやみません。

p.s.
私は原作時からリオンくんの大ファンで、これまでの小説マンガアニメドラマ映画あらゆるコンテンツの中での最推しです(なんの告白)。
これまで、概念として存在していたリオンくん(もちろん、辻村先生の素晴らしい描写で、確かに存在を確信していましたが)が、形を持ったキャラクターになりしかもグッズ化される(上映2週目の入場特典のことです)ということで、ちゃんと上映2週目に行ったのですが、、、、、ドルビーシネマ版だったので特典はポスターでした!!!!!!!!!!!行かれる方は、しっかりご確認ください!!!私は、ドルビーシネマ版であることは知っていましたがなぜか東京のドルビーシネマのみポスターだと思ってたんです(笑)(泣)
でも、こっちでまさかポスターもらえると思ってなかったのでよかったです、またリオンくんもらいに通常版見に行きます←

そして今回追加されていたエンドロールの後の特別映像。止めていた涙がまた決壊してしまって、泣き腫らした目で昼間の大都会博多に出て行かねばならないのはただの地獄でした。
見に行かれる方、上映時間が選べる場合は夜をお選びください。

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