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保育園にひとり親家庭であることをばらされた話

※まだ気持ちの整理がついていないことだが,2カ月半が経過しまとめ直しが必要だと思ったため,この場を借りて少し気持ちを吐き出させてほしい。


 息子が通っていたのは,この地域でも古くからある保育園である。規模としては各学年1クラス,100人程度が通う園で学年が違っていても大体の保護者とは顔見知り,どの先生も園児全員の名前を把握している,そんな園である。

 私は元夫と,別居から数年経て正式に離婚をしたので,別居時には軽く報告をしたものの,保育園に離婚の報告などもしていなかった。(書類上の手続きは市を通じて行っている。)別居後に「集金袋の氏名はお母さんの名前にした方がいいですか?」と聞かれたので,「(世帯主は当時の夫だったので)そのままでいいです」と伝えたことはよく覚えている。別居が長く,二人で暮らすことが当たり前になっていたため,息子にも正式に離婚をした話はしていなかったくらいなので,もちろん他保護者にも元夫の話をすることはなかった。

 そして3月,卒園式が行われた。式自体は何の問題もなく執り行われた。卒園記念品として紅白餅や鉛筆などと共に,卒園文集が配られた。事件はその卒園文集で起きた。年末に集められた「保護者からのメッセージ」欄である。

通常バージョンがこれ。

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そして,一部の家庭はこれ。

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 丁寧に,ひとり親家庭は「おかあさんからのメッセージ」,他の家庭は「おとうさん・おかあさんからのメッセージ」になっていたのである。

 文章の依頼を再度確認した。「保護者からのメッセージ」を集めていると書かれていた。私もそれを意識して,敢えて「おかあさんより」とは書かずに提出をしたのだった。母子寮に住んでいらっしゃる方のメッセージ欄を見た。「おかあさんより」になっていた。そのほかにも,この文集を見て初めてひとり親家庭だと判明した家庭もあった。他の方から見ると,我が家もその一つかもしれない。また,兄姉からのメッセージがかかれていた場合も「おとうさん・おかあさんより」になっていた。これを見た瞬間真っ先に行ったことは引っ越し先の選定である。自分の内情を勝手に暴露され,知られた状態で生きていけないと思ったのだ。(様々な事情から引っ越しは断念したが。)

 園長からの説明にも失望した。「みんなが知っていることなので,問題ないと思った。時代が変わったんですね。」とのことだった。文集は息子の分だけ作り直したといわれたが,到底受け取る気にはなれなかった。

 婚姻歴はセンシティブな個人情報ではないだろうか。記念に残る形で暴露した保育園に対して,今でもこのことを思い出すと,動悸や吐き気が襲ってくる。なぜこのような形で家庭環境をばらされなければいけないのか。9割の子どもが同じ小学校へ進学する地域である。私は6年~9年このまま過ごさなければいけないのかと絶望的な気持ちで今も過ごしている。

 一ついいことがあったとするなら,この事件以降,被害者側,少数側のメンタルヘルスに興味関心が湧いてきたことだ。理不尽に,自分側の不備がなく傷つけられた時に,どのように立ち直ることができるのか気になっている。比較的今までの人生でマジョリティ側に立つことが多かった私にとって,息子と二人で暮らすことでマイノリティ側に立つことも多いだろう。今後もこのようなトラブルが起きると思っている。その最初が見慣れた保育園とのトラブルでよかったと考えるべきなのかと自分を無理やり納得させている。



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