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どんなに小さなつぼみでも

私が初めて自分のお金でCDを買ったのは、小学6年生の1月だった。
今でも聴くたびに元気や勇気をくれる、大切な曲だ。
(ちなみにこのCDは中古だったのだが、初めて買った新品のCDも、同じグループのものだった。)

当時、12歳。
人気が急上昇していたそのグループに、周りの誰もが夢中だった。
振り付けを覚え、休み時間に歌っている友達もたくさんいた。
最近の○○の髪型がどうとか、今日Mステに出るよねーとか、今度△△がドラマに出るよーとか。
子どもたちの間でも、彼らの話題で持ちきりだった。
もともとは歌手や芸能人に疎かった私も、気付いたら、10以上も年上の彼らの虜になっていた。

そんな大人気グループの、最も有名な曲の一つが、私が初めて買ったCDの曲だ。
今でも何度も音楽番組で歌われるので、正直またかーと思うこともあったし、自分で聞いていても聞き流してしまうことがあったのは事実だ。
けれど、この曲の冒頭の歌詞に、私は何度も救われてきた。
中でも特に印象に残っている場面が、二つある。

一つは、2011年、東日本大震災の直後。
幸いなことに、私の周りでは大きな被害はなかったが、それでも散らかってしまった部屋と、メディアで流れ続ける壊滅的な映像に、心が疲れてしまっていた。
そんな時、ふいにラジオから流れてきたのが、この曲だった。
母と二人で何気なく聴いて、「良い歌詞だね」としみじみ話した。

二つ目は、先日の長時間音楽番組での歌唱だ。
正体不明のウイルスとの闘いが続き、先の見通せない世の中。
これからどうなっていくか分からない、そんな不安の中でも、上手くいくことを想像していけば、いつかは希望の光が差す。
聴き慣れた優しい歌声でそのことを伝えられた時、私の中に大きな安心感が生まれた。
張り詰めていた気持ちの糸がふと緩み、笑顔が溢れた。

向かい風の中で 嘆いてるよりも
上手く行く事を想像すれば いつの日か変わる時がくる

初めて買ったCDがくれた言葉は、
私の中で、大事な、大事な言葉になった。

そんな、大事な歌詞と歌声を、来年からしばらくはリアルタイムで聴けなくなると思うと、切なくなる。
けれど、思い出の後先を考えるのは、寂しすぎるから。
騒がしい未来を目指して、走り出したい。

どんなことがあっても前向きに、今を動かす気持ちを大切に。明日を迎えに行こう。

今までも、これからも、大切な人たちへ。
遅くなってしまったけど、デビュー21周年おめでとう。
この先も、ずっと変わらず応援しています。
いつもありがとう。これからも、ありがとう。

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