私的暗闇2_v1

初めての幽体離脱



気付くと外にいた。

自宅の前の道路に立っている。

いや、立っていない。

浮いている。



道路から30cm位、足が浮いている。

体は透き通る半透明。

夜だ。

街灯の灯りが、いつものように明るい。



何気なく天を仰ぐと、

クレーンで引っ張り上げられるように、

天へ昇る。


風を切っているような体感が、ある。


すぐ傍にある電柱の、てっ辺を越える所まで昇って、止まる。

眼下に自宅の屋根やベランダ。

周辺の家々、道路… 全部よく知っている場所。

それを上から見下ろしている。



さらに首を曲げて目線を足元へ下ろすと、

体が下へ、道路へ向かって降りていく。


…おもしろい。



上がったり、下がったり。

昇ったり、降りたり。

何度か繰り返して、

今度は一気に上へ、上へ。



スピードが加速する感じだ。

電柱のてっ辺より遥か上、

これ以上昇る事に恐怖を感じて、止まる。


見下ろすと、自宅が親指の先位の大きさに見える。


- 怖い。降りよう。


そこで少し記憶が途切れて…



…次に気付いたのは、

自宅の寝室にある自分の体に、吸い込まれる瞬間だった。


急激にいつもの体感が戻り、目が覚めた。



そこで初めて、さっきまで寝ていた事を思い出した。


かつて経験した事の無い、

異常な事を経験していた事に、気が付いた。




最中は、意識らしきものはあるのだが、

普段の覚醒状態とは違う。


かと言って夢の中とも違う。

金縛りの時とも違う。


例えると、

子供の頃、夜中にトイレに行きたくて目が覚め、

半分寝ぼけた状態で布団を出る時の、

ぼーっとした感じ。

大人になってからのそれと違って、

フワフワと夢遊するような心持ちでトイレに行っていた気がする。


…うまく言い表せている気がしないが。



印象的だったのは、天へ昇る時の体感だ。

空気を、風を切っているような感覚が確かにあった。

でもそれが、現実の肉体の体感と同じか? と言われると…

違う。


…でも、かなり近い気がする。



一般的に言われている幽体離脱というものが、あれなのか…

確かな事は言えない。

そして誰にも確かな事は言えないだろう。

経験した人が、その経験をどう判断するか? というだけの問題だ。


例えば科学者が、自分であの経験をした上で、

それを科学で説明しようと思えば、出来るのかも知れない。

でもおれには無理だ。


確かな事は、

同様の経験をその後何度かする事になった、という事実だけだ。



幽体離脱… という事でいいんじゃないかと思っている。

その方が、面白い。




※追記

最後にあったのは… 恐らく6~7年前だ。


そう言えば、金縛りも何年もストップしている。

以前は滅茶苦茶な頻度で金縛りになっていた。


本文で書いた、

「自宅の寝室にある自分の体に、吸い込まれる瞬間」の感覚が、

金縛りの時の感覚によく似ている。

脳だけ覚醒しているが、体が動かないという状態に、一瞬なる。


幽体離脱も金縛りも、

両方無くなったというのが興味深い。



ありがとうございます! (ノД`) 頂いたサポートは、いつの日かパンを、 パンが無ければお菓子を食べればよいので、 お菓子の専門学校で作り方を習う必要性、 そうなってくると学費とか交通費、 え、ちょっと待って下さい、 紙に書いて考え直そう、そうするとやはりパン、 いやペンか、ペ