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彩田青(Ao Saita)
2024年4月27日 03:24
街中で君と眼が合って、ごろりと揺れた視界に映ったのは、君じゃなくてあの日飲んだ清涼飲料水のラベルだった。すれ違い続ける世界、裏切られ続ける世界、眠らない世界、本当が何かがわからなくなったまま、騙し騙し日常を続けられていることに半分安堵し、もう半分で強く反発している。醜いものに対する醜い攻撃、愚愛に対する羨望も、全部ひっくるめて人間の醜悪と呼んで、ミルクにでも溶かして飲み干そう。そうすれば少
2024年4月5日 22:53
家の外の音が、エアコンの音が、心臓の鼓動さえも遠のいていく。その代わり耳に響くのは、Xが名前を呼ぶ声である。Xは透明な腕で僕を抱きしめ、「ここにいたのか」と笑顔を見せた。その瞬間に僕は安堵し、Xの名前を口にしようと息を吸ったところから記憶がない。 ふと見渡すと、そこには誰の姿もなく、ただ抱きしめられていた感覚だけ残っていた。誰だっけ、あの時僕と一緒にこの静かな夜を過ごしてくれるはずだった人間