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アドオン式グレネードランチャーとライフルグレネードの長所と短所

ライフルグレネードとアドオン式グレネードランチャーの長所と短所についてまとめました。ご笑覧ください。

ライフルグレネードの長所

1、比較的大威力を発揮できる

ライフルグレネードは小銃に剥き出しで差し込むため、弾頭の大きさなどはアドオン式に比べて自由に設計できます。そのため、弾頭を大型化して威力を増加させ、対装甲貫通力を持たせることができます。

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フランス軍のAPAV40ライフルグレネード、HEAT弾頭で対装甲能力を持たせている。(画像はWikipediaより)

2、コストパフォーマンスが高い

大威力の弾頭を採用し、対装甲貫通力を持たせることで高価な対戦車ミサイルや携行式ロケット弾を使用せずに装甲車両を撃破することができ、コストパフォーマンスが高いです。一例としてアメリカ軍が使用する対戦車ミサイル「ジャベリン」が約7万8千ドルなのに対して、フランス軍のライフルグレネード「APAV40」は約200ドルで済みます。

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アメリカ軍の対戦車ミサイル「ジャベリン」(画像はWikipediaより)

3、発射機を携行せずに済む

銃口にそのままライフルグレネードを差し込んで発射できるブレット・トラップ式では装備がかさ張らずに済みます。対してアドオン式グレネードランチャーでは専用の発射機が必要になり、装備重量が増えることになります。

ライフルグレネードの短所

1、発射反動が強く、照準が精確にできない

ライフルグレネードはアドオン式に比べて発射反動が強く、肩撃ちなどはほとんど不可能です。そのため、小銃を地面につけて発射しますが、照準は目標までの距離を推測して、おおよその場所に撃ち込むといった方法で、精確に射撃するには訓練を要します。また、小銃が発射の反動や衝撃で傷みやすいのもデメリットです。

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ライフルグレネードの射撃姿勢(画像はWikipediaより)

2、破壊力の限界がある

弾頭を大型化して装甲貫通力を増加させても装甲防護力が増す傾向にある装甲車両とのいたちごっこの様相を呈しています。現用ライフルグレネードはRHA(均質圧延鋼)200~250mmを貫通しますが、装甲車も複合装甲やERA(爆発反応装甲)など様々な装甲を組み合わせることによって防御力を増しています。

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爆発反応装甲を装着したジョージア軍の戦車(画像はWikipediaより)

そのため、対戦車戦闘にライフルグレネードを使用せず、対戦車ロケット弾などを使用する軍隊も多いです。自衛隊でもライフルグレネードと併せて110㎜個人携帯対戦車弾(パンツァーファウスト3)という対戦車ロケット弾を採用しています。パンツァーファウスト3の装甲貫通力はRHA(均質圧延鋼)700㎜に達します。

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パンツァーファウスト3(画像はWikipediaより)

3、即応性の問題

ライフルグレネードは小銃の銃口に差し込んで、空砲または実包により発射するため、ライフルグレネードの発射準備が整った状態では小銃が発射できないという問題があります。そのため、グレネード発射準備状態でも小銃が使えるアドオン式に比べて即応性では劣ります。

4、一人当たりの弾薬携行数が少ない

ライフルグレネードは弾薬の前後長が長いため、アドオン式グレネードランチャーの40㎜グレネードに比べて、一人当たりの弾薬携行数が少なくなっています。

アドオン式グレネードランチャーの短所

1、小銃の照準特性が変化する

アドオン式グレネードランチャーは小銃の下部に発射機を取り付けるため、発射機を取り付けた状態と取り外した状態で小銃の重心位置や重量が変化します。そのため、小銃を発射した時の跳ね上がりや反動などが変化し、命中精度が悪くなります。そのため、擲弾射手はアドオン式グレネードランチャーを装着した状態で小銃射撃の訓練を再度行ない、照準特性に慣れる必要があります。

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M16A1小銃に装着されたM203グレネードランチャー(画像はWikipediaより)

2、擲弾射手が固定される

アドオン式グレネードランチャーは装備している擲弾射手以外はグレネードが発射できません。そのため、擲弾射手が負傷したり、アドオン式グレネードランチャーが故障したりした場合は部隊の火力が著しく低下するという短所があります。

3、射程や威力がライフルグレネードに対して劣る

アドオン式グレネードランチャーは発射機の中に弾頭を収める必要があることから弾頭の大型化や設計の自由度に制約があるため、ライフルグレネードに対して射程や威力がわずかに劣ります。

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各種40×46mmグレネード弾、外形寸法や弾頭部の設計に制約がある。(画像はWikipediaより)

4、弾薬がかさ張る

40㎜グレネードはアドオン式としてもかさ張り、装備を圧迫するという短所があります。そのため、25㎜口径のグレネードランチャーなども試作されていますが、広く用いられるまでには至っていません。

(了)

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