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【イベントレポート】 「ニューノーマルにおける経費の在り方~コーポレートカード・AIによる経費管理の最適化とリスクコントロール~」を開催しました

2020年12月9日、Miletos株式会社は、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(以下AMEX)と「ニューノーマルにおける経費の在り方~コーポレートカード・AIによる経費管理の最適化とリスクコントロール」を共催しました。

イントロダクションに続くパネルディスカッションでは、株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA) IT戦略部 部長の大脇智洋様をお迎えし、経費領域の課題や先進的な取り組み事例についてディスカッションが行われました。

【講演内容の一部をご紹介します】

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1:イントロダクション

矢ケ崎「ニューノーマルな社会において、なぜDXが必要なのか、そしてその中で経費管理はどうあるべきなのか、簡単にご説明させていただきます。

ニューノーマルとなった今、リモートワークやキャッシュレス、ペーパーレスなどの単語が一般化されて、世界のだれもがDXを認識する時代となりました。DXの成功体験が少ない場合、取り組むことが難しいのは事実ですが、経費精算は比較的取り組みやすく、効果が判定しやすい領域であるため、この領域からDXに取り組むのが適していると考えています。

経費プロセスにおけるニューノーマルとはどういったものなのでしょうか?様々な観点があるかと思いますが、集中から分散・ネットワーク型への移行、デジタル化によるアナログ価値の向上、受動型から提案型への高度化の3点のようにまとめることもできます。

ポストコロナでの経理業務にはルール、業務フローの見直しやペーパーレスにする対応、月末月初の処理を高度化することが必要になります。

最後に、経費精算をする側に対しては、社員の安全を第一に優先すること、電帳法に対応したテクノロジーを導入すること、そして出張体験の向上を実施することが重要です。」

2:パネルディスカッション【経費申請の手間】

パネリストにご登壇いただき、テーマ毎にディスカッションしていただきました。

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最初のディスカッションテーマは『経費申請の手間』についてです。

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中村「基本的に紙媒体を前提とした社内プロセスが構築されているので、こういう環境下ですぐに変えていくのは難しいというお声をよくお聞きしています。課題が浮き彫りになったし、ストレスにもなっているようです。」

髙橋「AIを活用して経費精算プロセスを自動化するという仕事をしていますので、お問合せの中で多いのは、デジタル化してきたと思っていたし、電帳法にも対応してうまくやってきたと思っていたが、コロナになってうまく行かない部分が浮き彫りになり出社対応が必要になったり、逆にそれを変えた結果、現場が混乱しうまく申請できなくなったというお話をよくお聞きします。」

大脇「DeNAの場合は経費精算はクラウドシステムを活用していますが、コロナになって申請数は半分くらいに減りました。当社は9割以上が在宅で仕事をしている状況ですので、今年になって経費精算が必要な社員にはAMEXのカードを配布するという取り組みを行っています。カードで支払えば紙は出さなくても自宅で精算できるというプロセスを目指しています。」

坂口「経費申請に限らず、新しいルールが必要だという課題をよくお聞きします。コロナに順応したプロセスへの移行は外資系企業様が先行している印象があります。そのひとつの大きな理由としては、既に在宅勤務が適用されており規定があったため、それを見直すのにそこまで時間が必要なかったことがアドバンテージになっていたようです。」

3:パネルディスカッション【上長承認のリアル】

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中村「在宅勤務がスタンダードになる環境下で、モニターやヘッドセットなどを自分自身で購入するケースが増え、どこまで承認するべきかジレンマがあるというお声をお聞きするケースがあります。」

髙橋「リモートワークになり、例えば出社率5割と仮定すると、単純計算では上司と部下がオフィスで一緒になる確率は25%くらい。その状態だと、申請内容が適切か直感的には分からない。一方で、チェックするためにはかなり多くの情報を調べる必要があり、負荷が高いという話をよくお聞きします。」

大脇「DeNAでは稟議・発注・債権債務計上などの会計系ワークフローについて、Slackというビジネスチャットツールで承認ができるようにしています。Slackに通知が来て、そこの画面の中に『承認』ボタンもあるし、明細もSlack上で見られるように工夫しています。」

4:パネルディスカッション【経費チェックの負荷】

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髙橋「チェックするためだけに出社されるという話はよくお聞きします。コロナ禍でチェックのボリュームは減ったものの、デジタル化したことで画面と画面の突合となり、チェック作業はかなり負荷が高まってしまい、人がやるのは大変なようです。」

中村「カードを使うことで明細がダウンロードできたり作業が効率化できるという話はよくお聞きします。一方で請求書を紙で送られてしまうなどの環境が変わらない限り、経理の方の働き方は改善されにくいように感じています。」

大脇「DeNAの場合も、経費チェックにおいてはエビデンスの確認や、それに伴うシビアなコミュニケーションが必要になるなどの課題があったため、3年ほど前からBPOとして外部に委託しています。」

5:パネルディスカッション【DXの落とし穴】

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中村「企業様でコーポレートカードや経費精算システムを導入するときに、カードやシステムを導入することを目的にするのではなく、ガバナンス強化や可視化するという目的のためにコーポレートカードやシステムを導入するべきだと考えています。導入自体が目的になってしまい、社員様に浸透しづらかったり、反発を招いてしまったりという例がまだまだ散見されます。」

髙橋「プロセス全体ではなく、スモールスタートという形で部分的にDXを進められるケースは多いと思います。一方で、やりっぱなしの状態になり前後が以前のプロセスのままの場合は、形骸化されてしまいプロセスが回らないという会社様もあるかと思います。」

大脇「以前の会計システムはユーザー部門が主導で導入されたもので周囲のシステムと自動連携されておらず、仕訳データ連携のために手作業が発生し、効率がよくなかったですね。2011年頃にIT戦略部が立ち上がって、グローバルに統一された経営管理の基盤を入れることになり、会計においても標準ルールを決め、グループ会社に展開していきました。やはり局所的にDXを進めていくことは、全体的に見ると非効率になってしまうので、IT部門が全体を見て巻き込みながら進めていくのが良いと思います。」

6:パネルディスカッション【DXを推進する上での担当者のリアル】

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中村「以前からある縦割りの文化、具体的には財務・経理部門とIT部門との間で温度差があったり、IT部門と購買部門の間に温度差があったり、悪い言葉で言うと、縄張り争いや既得権益のようなところがあるので、やはり全部署で横断してプロジェクトを推進するというのが難しい状態をお見掛けすることが少なくないですね。」

髙橋「私の場合、経費精算プロセスをDXする仕事なので、実際にお声がけいただくのはユーザーである経理の方か、DXを推進する業革の方が多いんですが、皆さん改善しようという気持ちは同じでも、見てる世界が若干違うんですね。経理の方が我々のサービスを入れて効率化しようという視点をお持ちでも、業革や経営企画の方からすると、なぜ経理のその部分から手を付ける必要があるのか理解しにくかったり、逆に業革の方がDXを進めようとして我々のサービスを検討してくださったときに、経理の方からは自分たちの作業を否定されているように感じ、抵抗されてしまう場合もあります。やはり他部署を説得する難しさというのは感じていますね。」

大脇「DeNAの場合、3年ほど前にRPAで効率化を図るというプロジェクトに取り組みましたが、年間数万時間の削減効果がでている金融機関などのように定型の業務が大量にあるわけではないのと、既にある程度効率化されている状態でした。なのでどちらかと言うと、定型業務としては、量はそれほどでもないですが種類が多いという状態だったので、それを効率化するためにEUC(End User Computing)を取り入れました。現場の方に自分で必要なRPAを創ってもらって自動化する取り組みです。一定工数以上の削減効果がある場合はIT戦略部がRPAを開発し、削減効果が小さいケースはEUCでユーザーに開発してもらう2つのアプローチを使い分けています。」


このあとさらに大脇様からシステム導入の苦労についてお話いただき、最後は質疑応答となりました。1時間にわたるセミナーでしたが、無記名アンケートで84%の方に『ご満足いただけた』とのご回答を頂戴することができました。

最後に:次回セミナーのご案内

Miletosでは、2021年1月27日(水)に、通勤費実費支給における課題についてのセミナーを企画しております。こちらのセミナーでは、通勤費の実費支給化に伴う業務プロセスの変化や課題を分かりやすく概観した上で、現場サイドの申請者や承認者の工数を削減する【通勤費精算の申請レス・承認レスの実現方法】についてお話します。
「通勤費実費支給における課題~AIによる通勤費の申請レス・承認レスの実現~」
https://miletos.hubspotpagebuilder.com/seminar_miletos-1

【このような方におすすめ】

▶経費申請数増加による過剰な業務負荷を懸念される経理担当者
▶定期代廃止/通勤費の実費精算に伴う最適なプロセス改革を模索中の人事担当者
▶通勤費実費精算の効率化に留まらず、人件費や申請工数削減を目指す経営企画担当者

【プログラム】

第一部:通勤費の実費精算化に伴う業務プロセスの変化
第二部:通勤費精算の申請レス・承認レスの実現方法
第三部:QAセッション

オンライン形式の開催となりますが、QAセッションの時間も設けておりますので、普段からお持ちの課題を解決できる場にしていただければと思っています。
お申し込みをお待ちしております。
https://miletos.hubspotpagebuilder.com/seminar_miletos-1