見出し画像

矢野顕子〜「さとがえる」コンサート

ここ何年かNY在住の矢野顕子の日本でのライブは夏のBlue Noteでのトリオと冬の「さとがえる」コンサートというパターンで進められており、夏はスケジュールが合わずにいけないこともあったが、冬についてはほぼ我が家の恒例行事となっていた。しかしながら、コロナの影響で夏のライブは中止、冬のコンサートも開催が危ぶまれていたが、人数の制限と様々な対策を講じることで開催が決まり、幸運にもチケットを手にできたので今年初めてのホールコンサートに赴いた。

座席は一人おきに座るようになっており、結果としてライブを観るには良かったが、主催者側からすれば収容人員の半分ということで厳しい状況を配信でカバーするということで成立したのだろう。いつものように始まったライブ。まずは新しい2曲、”バナナが好き”と”愛を告げる小鳥”。この後にアッコちゃんのMCが入るのだが、満を持してのライブということで万雷の拍手が彼女の涙腺を緩めるという珍しいシーンが展開された。その後は、例年通りの素晴らしい演奏の数々。メンバーは昨年同様アッコちゃんが組むならこれ以上のメンツはないと言えるDrumsが林立夫、Bassが小原礼、Guitarに佐橋佳幸という盤石の布陣。

ハイライトは昨年同様に山下達郎のPaperdollで、このアレンジと演奏が素晴らしく、圧巻であった。配信のせいがコロナの対応か例年は休憩を入れた二部構成なのだが、今回は休憩なしでおよそ2時間のステージ。アッコちゃんが衣装替えのためにはけた時は3人がinstrumentalで曲名は3人の頭文字をとって”HSO”。この演奏も彼らのテクニックの確かさと素晴らしさを披露してくれるものでintermezzoとしても良かった。

Show-Bizの世界は本当に厳しいようだが、徐々に人数を制限し、配信を併用するというスキームでライブも行われてきている。それでもこうした形で行えるのはトップクラスの一握りのアーティストであることを考えると裏方さんを筆頭に人材の払底が懸念される。今更ながら生の音を聴き、心からの感動の証としての拍手で彩られるライブの素晴らしさを痛感した。いつになると治るのかわからないコロナであるが、早くいつものように過ごせる日の来ることを願った一夕であった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?