坂井禎介(建築歴史学者)

国立大学法人奈良女子大学生活環境学部住環境学科専任講師 日本の建築や庭の歴史を研究して…

坂井禎介(建築歴史学者)

国立大学法人奈良女子大学生活環境学部住環境学科専任講師 日本の建築や庭の歴史を研究しています。 博士(工学) 詳しくはリンク https://researchmap.jp/sakaiteisuke

最近の記事

大名庭園(旧徳島城表御殿庭園)

旧徳島城表御殿庭園は、国が指定した名勝で、なんと50円で入園できます。かっこいい石組みの庭でした。 歴史元は徳島城の、将軍の政務などを行う住まい(表御殿。裏御殿は、日常生活の住まい。)の中にありました。明治政府の出した廃城令により、建物は壊されますが、庭園は残っていました。昭和16年に国の名勝に指定されますが、昭和20年の空襲により庭も焼失しました。どの程度の被害だったかは調べていませんが、おそらく石は残って、樹木は焼けてなくなったでしょう。 庭の特徴国の名勝に指定された

    • 広島藩の江戸時代の大名庭園 縮景園

      広島の縮景園に行ってきました。1620年に、広島藩初代藩主浅野長晟の別邸として築庭されました。作庭者は上田宗箇です。上田宗箇は、あまり有名でないですが、広島『縮景園』、和歌山『和歌山城 西之丸庭園』、『粉河寺庭園』、そして『名古屋城二之丸庭園』と複数の大規模な大名庭園、かつ国指定文化財庭園を手がけている名作庭家でした。 『縮景園史』(広島県編、令和3年)に記載される、1713年に書かれた「縮景園記」の文章と私の写真を使いながら、庭園の紹介をします。 なお、この庭園は原爆により

      • 平安時代の貴族庭園

        『平安時代庭園の研究』(奈良文化財研究所、2011.3 奈良文化財研究所学報, 第86冊 研究論集;17 、古代庭園研究)の、倉田実先生による「文学から見た平安時代庭園」の記述が興味深く、皆さんに紹介しようと思います。 ・原文 「源氏物語」の記述から庭園の使い方を分析したものです。まずは、原文を見ましょう。胡蝶の巻の船楽の段です。六条院が完成し、春爛漫の行事として、春の町で船楽が催された記述です。 この文章は、平安時代庭園を、植栽、使い方、遊び方、視点などの点で分析する

      大名庭園(旧徳島城表御殿庭園)