見出し画像

【専門課程レポート】「吉原ゼミ」第5期 第6回目講義(最終回)

こんにちは!次世代まちづくりスクール「吉原ゼミ」TA(ティーチングアシスタント)の小濵です。今回は3/18.19(土/日)に行われた、第5期「吉原ゼミ」京都編の模様をレポートします!

第5期「吉原ゼミ」のコンセプトは『「休眠不動産を用いたまちの活性化」を、次世代まちづくりイノベーターたちと学ぶ』です。

吉原ゼミの特徴は何と言っても今の一次情報を知ることが出来る点にあります!現場に足を運べる機会もゼミの回数も随一。読者の方とともに僕自身も学んでいけたらと思います!

今回の講義テーマは京都より『京町家の再生手法から、京都のブランディングを学ぶ』でした。前回は大阪の事例を紹介しましたが、引き続いて関西からお送りしていきます。

また、今回はついに半年間にわたって行ってきたTA(ティーチングアシスタント)としての役目も今回が最後となります。最後まで、自分の目線と街から頂く素晴らしい学びの数々をお送りできると幸いです。

また、過去の投稿もまだ見られていない方は、ぜひこちらからも確認してみてください。

前回の大阪編はこちら
https://note.com/mild_keita/n/n19c159da36b0

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1.長屋と路地を残すため、大一番の施策はコンテナ×町家!?

実はこの中にコンテナと町家があるんです。

 今回の勉強会、スタートは二条城から南東のエリアから始まりました。実は今書いている私も学生時代4年間、京都に住んでいたことがあり非常に馴染みのある大通りを歩いていて趣深く感じていました。

一つ気になったのは、こんなところに変わった建築なんてあっただろうか?という事でした。

近くの御池通りはもちろん大きいですし、何よりも御池通りの周りには大きいマンションや近代的な建造物がこれでもかと建立していたらからこそ、イメージしきれない部分があったのです。

ただ、実際に行ってみてこれまで感じていた「京都っぽさ」を覆すような建築が在りました。

何と、京町家の前後左右には、それはそれは大きな鉄骨が立てられており、鉄骨の上にいくつものコンテナが乗っかっているといった状態でした。1階のテナントにはワインやコーヒーも楽しめるようなお店が入っており、隠れ家的な雰囲気をむんむんと醸し出していました。

なぜ、こんな建築様式になっているのでしょうか?
それは、京町家の在り方を再構築するうえで、ある目的を立てて勧められたプロジェクトだったからでした。

その目的とは、「長屋と路地を残す」ということ。
2019年10月に生まれたこちらの建物の正式名称は「共創自治区CONCON」。

京町家は路地裏に今もなお、いくつも残っている中でこちらも路地裏を含めて残していこうということで、残されています。

ただ、建築の道に進まれている方が一様に気にしていたのは、どうやってこれでOKとしたのか、という事でした。

僕も素人ですので分かりやすく言いますと、骨組みとコンテナのみでは建造物と認められないという事が気がかりとなっていました。

それはなぜか。

あくまでも骨組みだけであり、コンテナが置いてあるだけでは住居として認められないからだそうです。

それではどうやって許認可を取ったのかというと、なんと外壁の無い新築として申請を行い、建築中は鉄骨や海上コンテナは残基物として通すというものでした。

申請も含めた様相を感じられる文章は、新建築データさんの文章からも見て取れます。

「築約100年の長屋を残し,新たに鉄骨造2階建てを新築.個々の部屋を中古の流通コンテナとすることでコストを抑えている.長屋の上で鉄骨造の床を新設.構造は別として,振れ止めで接するのみとしている.」(参照:新建築データ

当日、恥ずかしながら私はここを初めて訪れましたが、偶然通りかかった外国人観光客の方も興味をもって近づいて来られることもありました。

京町家の残し方は京町家という形骸的な部分にのみ執着するだけではないということを教えて頂いたような気がします。

あえて屋根とコンテナの幅を広げることで、空間が広く感じられるようにしたのだとか。

あえて屋根とコンテナの幅を広げることで、空間が広く感じられるようにしたのだとか。

2.不動産証券化ー京町家に問われる後世への“残し方”

日は明けて2日目の朝、京都の二条城北西部に来ていました。
一本横道にそれて、路地裏に入っていくと、そこにあったのはただの京町家...かと思いきや中身が非常に現代的な京町家でした!!

こちらは2回のベッドルーム。宿泊所ではないので、シーツ等は在りません。

こちらは株式会社八清さんが意匠などを手掛けられた「京別邸 二条 松栄庵」です。
先程もお伝えした通り、京都の大通りは再開発などでマンションが立ち並んでいる一方、松栄庵が立地しているような路地裏は袋小路になっていて、通り抜けが出来ないケースも多く、こうした京町家が残っている場合が多くあります。

ただ、問題は保存状況にあります。
私自身、卒業論文を書く際に京町家を700件以上回った経験からすると、路地裏の京町家は工事をしようにも道路が細くて重機が入れない等の問題から、保存状況が悪いケースが度々在ります。

京町家は路地裏にあるけれども保存状態が悪い、ここを改善していくことが京町家の未来に繋がっていることがよくわかります。

そうした環境を背景に、当初は銀行の融資を受けようにも中々上手く行かなかったところを、八清さんが根気強く京町家の保存の価値をご説明されていったおかげで、無事採択されることとなりました。

文章で書くと本当に一瞬のように見えてしまうのが力不足ですが、この裏には京町家の価値は何か、路地裏に京町家が残っているからこそ守っていく必要があるのではないか、など各銀行さんとのやりとりがあったうえで成り立ったとご担当の方が熱く語ってくださいました。

なお、こちらの物件はマンスリー賃貸となっており、1か月375000円。
10人で負担をすれば好きなタイミングで行ける別荘を4万円掛からず借りることが出来ます。
具体的な用途としては、社員研修で使われるケースもあるようで、確かにここで社員研修をすれば距離も縮まりそうです。(というか僕ならゆっくりお風呂に入って縁側でゆっくりしたくなりそうです(笑))

ちなみにいまカレンダーを見たところ、8月の下旬まで予約ががっつり入っています。
ご興味のある方はぜひお早めに...。

ぜひHPからも見て頂けるとそのきれいさや現代っぽさに驚くと思います!

こちらは2回のベッドルーム。宿泊所ではないので、シーツ等は在りません。

3.最後に

今回参加させて頂いて、やはり京町家という圧倒的なハードがありながら、民間と行政が手を取り合って行う金融的なチャレンジついて学ぶ訪問となりました。

京町家は対外的に見ればおしゃれだと思う一方で、木造家屋であるという事も起因して様々な住みづらさが確かにあります。

そうした中で、リノベーションを始めとした、どう景観を守っていくかを考えるのは意匠屋さんが動けば何とかなるモノでも在りませんでした。

国の法律は変えられないので、どのように解釈をして、どのように残していくのか。古からの法律を守り、経済的にも循環していくことを示し、京町家を残すために、1業界だけで完結していない凄みを感じることが出来ました。

最後にはなりますが、ここまで全6回の小濵によるレポートにお付き合いを頂き誠にありがとうございました。

今後も、個人や団体の活動は続いて参りますので、ご意見ご感想はドシドシお送りください。それではまたどこかでお会いできることをたのしみにしております。

ありがとうございました。

==============================
次世代まちづくりスクールでは、
オンライン+実践的な講座をサブスクリプションで学べる3つコースでまちづくりを学ぶことができます。
・幅広い知識を学ぶ「一般教養課程」
・専任教授のゼミに参加する「専門課程」
・空き家再生プロデューサーを目指す「資格講座」

専門課程では随時ゼミ生を募集中です!
ご興味ある方はぜひ下記リンクより、ご連絡お待ちしています。

==============================
吉原ゼミ教授 吉原勝己さんのTwitter:

<プロフィール>
ー スペースRデザイン株式会社 代表取締役
ー 1961年福岡市出身。清川で生まれ育つ。
ー リノベーションミュージアム冷泉荘は福岡市都市景観賞やその他表彰を獲得
ー 福岡DIYリノベWEEKなどを企画

==============================
吉原ゼミTA 小濵慶太のTwitter:https://twitter.com/heavy_keita

<プロフィール>
ー 出身は岡山県の現在23歳、人材広告業を行う企業に勤務。
ー 知人に紹介を頂き、今期からTAとして参画中。
ー ぜひお気軽にご連絡ください!
==============================



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?