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USCPA講座を申し込む前に(必要なのは英語力ではありません)

USCPAのライセンスとTOEIC990点の両方を持っています。
いまの仕事に必要でも直接関連するわけでもないため、このことについて職場や知人などには特に公にしていないのですが、知られた時の反応は、
「TOEIC満点ってすごく頑張ったんですね」
「USCPAはそんなに難しくないって聞くんですが、実際どうでしたか」
というのが典型的でした。
TOEICは過大評価されていて、いっぽうUSCPAは過少評価されている印象を持ちました。

両方取ってみた実感としては「USCPAのほうが、TOEIC満点などとは比べ物にならないほど、はるかに難しい」です。

私がTOEIC満点を取れたのは、いきなり英語だけのオフィスに放り込まれたからです。もちろん、それまでの下積みが功を奏した面も大きいのですが、英会話の能力が格段に高まったのが、この環境のおかげです。
逆に言えば、ある一定の英語の知識がある人が英語漬けオフィスに勤めるようにになれば、TOEIC満点は取れます。(むしろ、実際に英語で仕事するようになると、満点では足りないとさえ感じます。)

USCPAはそうはいきません。
監査法人勤めでもない限り、USCPAの知識をフルに必要とする職場はありません。そのため、環境に頼るわけにはいきません。自分から自主的に勉強する必要があります。
英語と違って、専門的な知識が必要となるため、きちんとしたスクールに頼って勉強する必要もあります。独学は困難です。

USCPAスクールは、誰でも勉強すれば取れますよ、と宣伝で言っていたりします。これだけ聞くと、そんなに難しく感じないかもしれません。
ただ、ここで言う「勉強すれば」が曲者です。
人は、興味も適性もないことに長期間集中できるようにはできていません。TOEICとは違い、USCPAは多くの人が興味や適性を持つような試験/資格ではありません。興味や適性がない場合、勉強の早い段階から、しんどさを感じるようになってしまいます。
それに、USCPAの合格を勝ち取るまで、相当な時間を勉強に費やします。合格するまで、プライベートな時間のほぼすべてを持って行かれます。関心がないと、そこまでの負担に耐えられません。気力で乗り切るのも無理です。
そのため、実際に勉強を始める前に、自分に向いているかを確かめたほうが良いと思います。

USCPAに合格するのに、たしかにある程度の英語力は必要ですが、むしろ英語以外の知識のほうが、はるかに重要です。そして、それらの習得に多くの時間を費やすことになります。

USCPAへの興味や適性を判断するのに役立つ本を紹介します。
これはUSCPAのレベルを示すものでは、まったくありません。むしろ、これらの本を楽しいと感じられるようでないと勉強を続けることは難しい、という意味で紹介しています。

あらかじめ見ておくとよい3つの本

TOEIC600点の問題集

USCPAの問題はすべて英語です。
専門分野の英単語は、勉強するうちに身に付くので心配いりません。
ただ、英語力だけはどうしようもありません。あらかじめ英文を難なく読める程度の英文法の知識がないと、どうにもなりません
英語以外の知識はスクールで教えてくれます。でも英文法は教えてくれません。自分でどうにかするしかないです。
TOEIC600点程度の問題集にある、リーディングの3つのセクション(Part 5/6/7)を見てみて、簡単そうなら、たぶん大丈夫だと思います。

USCPA合格者の英語力は高い、というのは必ずしも正しくありません。USCPA で必要な英語力は英文読解力で、それも定型的なものに過ぎません。もちろん英会話力なんて身に付きません。
英会話が流暢にこなせるUSCPA 合格者の方は、USCPA 対策のほかに英語の勉強もされたのだろうと思います。

日商簿記2級(商業簿記)の問題集

簿記は会計士の基本です。
もちろんスクールで教えてくれます。
あらかじめ、簿記2級の問題集を見てみて、こういうのに向いているかを確かめておくといいと思います。

手始めに、各USCPA スクールで開講されている「英文簿記入門」を受講してみて、こういう勉強に抵抗がないか確認するのも良いと思います。

会社法の入門書

ビジネスローの試験もあるので、法律の勉強もあります。
日本語の会社法の入門書を読んでみて、アレルギーがないか確認しておくとよいと思います。
伊藤先生のシリーズ本は、どれもソフトに分かりやすく書かれています。

そのほか

簿記や会社法の知識はUSCPAの勉強を深めていくときの基礎になります。特に簿記の知識は勉強のほぼ全体に渡って必要となるので、苦手だと早い段階で詰みます。

ほかにも、監査のこととか管理会計のこととか、知っておくに越したことはない知識はありますが、そういったことはスクールで教えてくれます。
それに、経理で勤めていれば別ですが、そうでなければ、監査も管理会計も、多くに人にとっては身近な分野ではないと思います。

そもそも、USCPAに合格してどうしたいのか、を考えておくのも、モチベーション維持には必要だと思います。勉強は長期間に渡りますので、時間を費やす意味について、自分なりに納得しておかなければ、持ちません。

USCPAは試験自体に難問奇問があるわけでもなく、きちんと対策すれば合格できるはずです。
ただ、時間も費用もそれなりに掛かりますので、果たして自分に向いているかどうか、を確かめてから申し込んだほうがいいと思います。

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