プライムリーディングのおかげで3か月ぶりに読書できた

 ドコモのキャンペーンとステイホーム、ふたつのタイミングが合致して、今年の春からAmazonプライムを使い始めた。

 はじめはプライムビデオで懐かしいドラマを見まくっていた。CHUCKとかSATCとか。日本のだとラブシャッフルも何度も見ている。6月に入ってからは地獄先生ぬ~べ~の再燃がアツかった。「読書は紙派」な私は、プライムリーディングの配信タイトルさえチェックしていなかった。

 紙派、というくらいなので、私はどちらかと言えば本を読む人間だ。主には小説読みで、本格的に読書し始めたのは高校生くらい。

 その頃から何年もかけて読書が習慣づいていたのだが、一昨年あたりに1年ほど読書離れしたのをきっかけに、根付いていた読書習慣が崩れた。ちょっと忙しくなると、1か月2か月、読書しない月が続く。読むのが楽しみで買ったはずの本は積まれたまま、久しぶりに読書しようと手を付けてみても、最初の数十ページで集中力が切れてまた積読、時間をおいて再チャレンジするも何度も同じところらへんで止まってしまう。

 三つ子の魂百まで。私は幼い頃から本に親しんできたわけではないことが、「趣味は読書」と言うときに毎度ひそかに感じるコンプレックスである。小学校の頃は、図書室で毎週本を借りなければならない制度が億劫でたまらなかった。どうせ読まずに返すのに、何か本を選んで貸出票に記入しなければならないのが苦痛だった。朝読書の時間も、学級文庫をてきとうに広げて読んだふりしてた。夏休みに書く読書感想文も、本選びからもう面倒だった。

 中学、高校を経てようやく面白いと思える小説に出会い、大学時代を通して読書の楽しみを自分のものにした。だから趣味を聞かれたら読書と答える。でもどこかで、「自分は根っからじゃない」と思っていて、読書好き仲間と話すのはあんまり。自分ひとりの趣味だ、自分で身につけた習慣だと自負に転換することでバランスを取ってきた。

 しかしそれが近年の読書離れによって崩れていたわけだ。読書したい。でも読んでると眠くなる。没頭できない。数か月読まなくて、全然平気。むしろ寝る前に睡眠導入剤として使えてしまう。

 そんな状態を変えてくれたのが、プライムリーディング。小説以外の、タダで読める本だった。お金がかからないと思えば、自分が今まで読まなかったジャンルの本に簡単に手が出せる。おもしろくてもつまらなくてもいい。ただたださらっと読める自己啓発本やエッセイを読む。簡単に、読み切った達成感が得られる。そして、タダじゃなかったら手に取らなかったものの中に、光る出会いを見つける。今度はその関連で読みたいものをKindleで買ってみる。

 ここまでの数冊が、リハビリの役目を果たした。プライムリーディングを使い始めて1週間ほどして、ついに1年以上積読にしていたSF小説の文庫本に手を出した。

 読めた、どころではない。面白かった。ものすごく。

 古い版で字が小さく、訳も決して新しいものではなかったけれど、2日くらいで読んでしまった。語り手の言葉がすんなり頭に入ってきた。一歩引いて、美しい言い回しや表現にも気づけた。そうそう、私が好きだったSF小説は、こういう系統だ。こういう喜びを期待して買った本だ。

 読書を完全に紙から電子に移行することまではまだ考えられないけれど、今までしなかった読み方、今まで読まなかった読みものに出会えたことは、私がプライムリーディングから得た大きな恩恵だった。私の読書習慣の新たな武器である。

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