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音楽趣味の入口について

音楽好きなおじさんが、ちょっと思っていることをここに書き残します。
今回のテーマは「音楽趣味の入口について」です。


音楽に興味を持ち始めたのは、10歳ぐらいのころ。
それまでは、音楽はテレビから流れてくるものでした。CMソングや、アニメのテーマソングなどで、受動的に耳に入ってくるものが音楽でした。

10歳ぐらいになると、超合金とかプラモデルには飽きて、大人が楽しむものに興味が移りはじめます。突然に興味を持つわけではなく、きっかけは不意に誰かが指南してくれたことが多かったと思います。
その誰かとは、年上の兄だったり、従兄弟だったり、少し上の世代です。同級生からの影響もありますが、その同級生も兄貴や従兄弟などから影響を受けたものでした。
身近な年上の存在から、知らなかった趣味や悪いことなどを教わり、そうやって大人への階段を登っていくものです。

ある日、親戚の家で、久しぶりに会う従兄弟からラジカセを見せられました。
ラジオから流れる音楽をカセットテープに録音でき、好きなだけ曲を聴くことが出来る、大きなスピーカーが左右についたかっこいい電気製品。
大きなラジコンでも、合体ロボットでもなく、自分だけの大きな電気製品。そういうものは、子供だった生活の中にはなかったもの。未知の世界のものです。もう、驚きと興奮で心臓はドキドキです。超合金や合体ロボットよりもカッコよく、でも見たことがなかったカウンタックよりもリアルで手に入りそうな、とても魅力的なものに見えました。

従兄弟はラジカセと一緒に、FM雑誌というものも教えてくれました。SM雑誌ではありません。FMラジオの番組雑誌です。
2週間先までの番組と、プレイリストが書いてある雑誌です。それを見て時間になったら番組を聴き、曲が流れそうになったら録音ボタンを押す。そうすれば曲を手に入れるのです。
従兄弟の読んでいた番組表には、曲名に蛍光ペンでアンダーラインいっぱい引かれていました。

そして、録音したカセットテープを聴かせてくれました。
アリスの冬の稲妻(チャンピョンが売れる以前の曲)、甲斐バンド(HEROが売れる前)など、当時「ニューミュージック」と呼ばれていたロックテイストの歌謡曲(?)です。
テレビからは流れてこない、聴いたことのない質感の音楽でした。とてもかっこよく聴こえました。衝撃的でした。

こうして、ラジカセという存在を知りました。
ラジオからテープに録音すると、無尽蔵に音楽が手に入ること。ラジオ番組のプレイリストは雑誌から知ることができること。年上の従兄弟は、かっこいい音楽を聴いていることを知りました。

すぐに親を100万回拝み倒して、松下電器(現在のパナソニック)のラジカセを買ってもらいました。
不思議なもので、ほとんど同時期に友達も買い始めます。同じように兄弟や従兄弟や、先に手に入れた友達からの影響です。
ラジカセを買うということは、自分だけのメディアを手に入れたということです。ラジオDJたちのトークは、知らなかった世界、知識を広げてくれました。

かっこいいラジカセが手に入り、音楽が手に入るようになると、かっこいい音楽に興味は移ります。

かっこいい音楽とはなにか。

最初に聴き始める音楽は、最初に指南してくれた兄貴や従兄弟の影響が大きいものです。先輩の真似から始まります。

私は、アリスや甲斐バンドなどから入りました。友達は、洋楽好きの兄貴の影響で洋楽だったり、映画好きの親戚の影響で映画音楽だったり。いずれにしても、ちょっと背伸びしたようなものばかり。

友達に家で、かっこいいラジカセを自慢し、お互いに録音したカセットテープの曲を流し、そこでまた知らなかった音楽との出会いが生まれます。もちろんラジオ番組からも、知らなかった曲との出会いがあります。
もっと友達に自慢できるような、かっこいい曲。まだ友達が見つけていない曲を求めて、海外のヒットチャート番組や、新しい音楽を取り扱う番組を掘るようになってきます。

お気に入りのアーティストに興味が移っていくと、ラジオではなくレコードが欲しくなります。アルバムの曲はラジオでは流れません。そうすると、レコードを聴くために、コンポーネントステレオが必要になります。
FM雑誌はオーディオ雑誌でもあったので、巻頭特集のレコードプレイヤーや、かっこいいコンポーネントステレオなどにも自然と興味が移ります。そうして、オーディオの趣味の世界にも扉が開いてしまうのですが、その話はちょっと横においておきましょう。

こうして、今度はステレオというかっこいいAV製品に興味を持つようになり、ラジカセ同様に親を命がけで説得し、なんとかそれを手に入れることに成功し、音楽への興味がまた広がるのでした。

このように、年上の兄貴たちのやってることを真似し、音楽とプレイヤーに興味を持ち、音楽を聴くことが趣味になっていきました。

そこから発展して、高校生ぐらいになると楽器を手にするものも現れます。
文化祭のステージで、かっこよくギターを鳴らし、女の子たちにモテたいって欲望に突き動かされます。いかにもそれっぽい、かっこいいファッションにも敏感になっていきます。
音楽を聴く趣味は、演奏する趣味に足を突っ込んだりする入口にもなるのでした。


振り返ります。

音楽を聴くようになるきっかけは、身近な年上の人達。音楽の入手経路はラジオ。広がりは仲間内での口コミ。
言い換えると、楽しさを教えてくれる人(受動的な接点)。音楽が聴けるメディア(音楽アーカイブ)。友達との共有体験(いいね)。

これは、現代の身近な事例に置き換えることができます。
  クラブDJ、soundcloud、Ustream(当時は)。
  フェス仲間、フェス、フェス現場。
  Youtuber、Youtubeやサブスク、SNSやニコ生。
  アニメ番組、Youtube、SNSやライブ。


んん? なんかちょっと昔と同じようで、違和感もあるんだけど。

(続く)


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