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雨の日には

やられましたね。ええ、見事にやられました。
めちゃくちゃな雨に降られてしまい、「着衣水泳かな?」ってぐらいの装いで電車に乗ってます。
これ、もし晴れの日にこの格好だったら絶対盗撮されてSNSにのっけられるやつだってぐらいです。

しかし、いや本当に、日本も東南アジアのようになってきましたね。
息が詰まるような湿気と気温のあとは、まるでスコールのような豪雨がやってくるわけですから、もうこの島国は温帯を名乗る事をやめた方がいいのかもしれません。

僕は苦手なものが意外とあって(わざわざ言うほどでもないから言ってないだけで)、その中の一つが雨に濡れた靴底が奏でる「キュッキュッ」という音なのです。
もちろん、その音を心地いいと感じる人は稀有な存在ではあると思うのですが、僕の中では、いわゆる「黒板を引っ掻く音」や「発泡スチロール同士を擦り合わせる音」などと同じ類の「苦手さ」であります。
しかし、だからと言ってどうこうできる問題ではありません。よりによって今日はイヤホンを忘れ、ただその不快な音がしないようにと願うことしかできないのです。なんと無力なのでしょうか。
そういえば今、ふと思ったのですが「嫌な音」に分類されるものって全て「人が造りしもの」からな気がしてきましたね。
黒板然り、発泡スチロール然り、靴底の音も地面が土であればあんな音はしません。
元々自然界になかったはずの音を人は好まないのでしょうか。と言いつつ、全く根拠も何もないので信じないでください。

さて、つらつらと雨に文句を言っていますが、いざ「雨は嫌いですか?」と聞かれると、僕はきっと答えに詰まってしまうでしょう。「嫌い…かなあ」というような曖昧な返事を返す事が精一杯だと思われます。
「雨の日」は嫌いではないのです。窓を打つ不規則な「パラパラ」や「ぱたぱた」という音は、まるで街の喧騒を掻き消してしまうようで、妙に落ち着くのです。「晴耕雨読」と言うように、雨の日に部屋の中で本を読むというのは至福の時です。
夏の夕立に出会う事も、嫌いではないでしょう。まだ日が落ちる前、仄かに赤くなり始めた空が急に暗くなり、大粒の雨が町をさらう様はなんだか不思議に見えます。
もちろん、雨に濡れて張り付く衣服は不快で、水滴が滴るほどになった靴で歩く道は心地の良いものとは言えません。
ただ、日中、強い夏な日差しに暖められた地面を冷やす夕立は爽快であります。

「止まない雨はない」と人は言います。しかし、裏を返せば「終わらない晴れもない」のです。
「雨」はしばしば「悪いこと」に例えられます。たしかに、雨に降られれば風邪をひくし、出かける気持ちも削がれてしまいます。
しかし、さきほども書いた様に、雨も悪いことばかりではなさそうです。
「雨降って地固まる」とも言いますが、雨の後を待つよりも、まずはこの雨を楽しんでみるのも、もしかしたら悪くはないのかもしれません。

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