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(The Thoughts With) Brackets 〜(括弧付きの)思考〜

何かの題名に括弧がついているのが好きだ。括弧を読んでも読まなくても意味は成すけれど、括弧の中があることで、たった一つの単語でも何かを着飾ったように美しく輝いたりする。

「何かの題名」と言ったが、僕が思い付くのはアルバム名だとか曲名だとかが多い。
有名どころで言うとオアシスの”(What’s the Story) Morning Glory?”とか。こういうアルバムタイトルに憧れて色々考えた時期もあったな〜!結局今の所それは叶ってないけど(「これだ!」という時が来るまでは取っておこうと思ってる。今はまだその時じゃないってだけ)、いつか自分のアルバムタイトルに括弧を付けてやりたい。

曲名で言うとweezerの”(If You’re Wondering If I Want You To) I Want You To”とかめちゃくちゃ括弧が長くて好きだ。言葉を選ばずに言えば変だもん、こんなの。
こういう曲名もつけてみたいとずっと(マジで本当にかなり前から)思ってるんだけどまだ「これだ!」ってのがなくて付けられていない。もしかしたら今後どっかで出てくるかもね。

もう一個曲名で具体例を出すとすればELLEGARDENの”(Can’t Remember) How We Used To Be”とか。いやー、これもかなりいいですよね。曲名は歌詞を抜き出しているのですが、これは括弧がなくても意味が通る。めちゃ無理やり日本語に訳すとしたら、「(思い出せない)僕らの関係」みたいになると思うんですけど、括弧があるかないかで話が180度変わってしまう、という感じがアツい。
日本語と英語では語順が違うので、日本語で書くなら多分「僕らの関係(が思い出せない)」みたいな書き方の方が原題のイメージに近い気がする…。同時にこれだとやっぱり微妙だな…とも思う。括弧が前につくほうが見てくれもいいし語呂もなんかよく感じる。

あとはやっぱり外せないのは”(Can’t Get No) Satisfaction”ですかね〜!むしろELLEGARDENはこの曲名をもじったのでは?と思ったりしますが…。
ローリングストーンズはそんなに詳しくないですがこの曲はかなり有名でよく聞くので覚えてましたね。
これも括弧があるとないとでは全く違う意味になる。真逆どころの騒ぎではない。

Kate Bushの”Running Up That Hill (A Deal With God)”もアツい。これは括弧が後ろに来るパターン。そもそも曲名に"God"という単語が入ってるのも良い。
これはストレンジャーシングスから知った曲だけど普通に好きなのでたまに聴いている。世の中にはケイトブッシュのカバーバンドなんたいうのもいて、ひょんなことからそのライブを観たりすると彼女の曲は結構色々あるんだなぁと思ったりもする。
これもやっぱり括弧があることで曲名がグッと締まってますね。かなり良い。

そういえば The Beatlesにも“Norwegian Wood (This Bird Has Flown)”がある。個人的にはビートルズはあまり詳しくない(ファンの人はすみません)のだが、この曲は結構好きかも。
これの邦題にはちゃんと括弧が反映されているのだろうか?純粋に疑問だ。

そういえば日本語ではこういう表現はあまり見ない気がする。特に何かの題名ではパッと思い浮かばない。(使おうと思えばこういう風に使っても)別に違和感はないはずな(突然挟んでも問題ない)のに、全然見かけない。
それとも、僕が思い出せていないだけなのか?
Googleで「括弧が付く題名」とか「括弧が曲名に入る」とかを調べてもあんまり出てこない。

ただ、日本語では鉤括弧があるのでどちらかといえばそれが選ばれている可能性もある。例えばマキシマムザホルモンには『「F」』という曲がある。(めちゃくちゃややこしい表記になってしまった)
ただ、鉤括弧は補足というより強調の意味合いの方が色濃く出ると感じる。だから、わざわざ括弧をつけるということが元の文/単語を強めるというよりむしろ括弧の中身の方を強めているように見えてしまう。

個人的には日本語でもやっていいと思ったりする。『(木綿の)ハンカチーフ』みたいな書き方でも結構悪くないのでは?とか思うが…。
僕のリサーチ力不足もあって、今のところ日本語タイトルで上記のような括弧の使い方をしている曲名は見つけられていない。
(Live Version)とか(Instrumental)みたいな表記は別として。

反面、括弧が多すぎるのも問題だ。(例えばこのように)括弧を多用してしまうと、(確かに読めなくはないのだが)余計な情報が増え、(且つ一つの文が長くなり)読みやすさは半減(もしくはそれ以上に減少)してしまう。
同時に(あえてこういう書き方をするが)括弧が多く使われた文も(時には)面白く感じたり(無論全てがそうとは言わない)するかもしれない。
うまく言葉にできない(ちょうど良い言葉が見つからない)が、クセになる文体(その昔僕の文は村上春樹に似ていると言われた(良い意味でも悪い意味でも、という注釈付きだが))であることに(おそらくは)間違いないのではないか、と訝る。
(もしくは例えばこういう風に)括弧が沢山あったとして、(括弧の中を飛ばして読んでも)括弧がない部分だけ読んでも(もしくは飛ばし飛ばし読んでも)意味が通る(ギリギリ読める(違和感はあるが許容(どこまで許せるかは個々人によりそうだが)できる)くらい)のであれば、理論上は(どういう理論があるのかは定かではないが)好きなだけ括弧をつけても良いかもしれない。

興味深いのは、我々が(少なくとも日本語を母語として使用している僕にとっては)複数の「括弧」を無意識的(あるいは意識的に)区別しながら文章を読んでいて、例えば何かのコンテンツを示すときに「二重鉤括弧」を使用しながら、同時に(こういう風に)別の括弧を使うこともできることだ。
「『ライ麦畑でつかまえて』という本がある」といった形での引用には二種類の括弧が使われていて、(結果的に)この文章はさほど違和感がないながらも三種類の括弧を使用する事に成功していると(少なくとも僕自身はそう)思っている。

無論、「だからなんだ」と言われてしまったらそれきりなのだが、日本語主体の文で使用される鉤括弧は英語では基本的に「ダブルクォーテーションマーク」に置き換えられる。
「ダブルクォーテーションマーク」というのは「“”」と書かれるマークで、強調だったり引用だったりで使用される。面白いのは英語話者はこれを文語だけでなく口語でも使用していて、指をピースの形にしてからその2本の指を軽く曲げることでその形を示す。
これにはちゃんと名前があって、「エアクォート」や「フィンガークォート」と呼ばれる。「クォート」は「引用」の意。つまり、日本語で使用される鉤括弧のような強調の意味合いよりは、二重鉤括弧が必要とされる「引用」の方が強い。ただ、日本語のように二種類の鉤括弧を使い分けたりはしないので、結果的に引用も強調もこのジェスチャーで示す。
文中では、例えば固有名詞を示す時に他の言葉と区別するために使用される。特に何かの題名が一般名詞に近い場合など、「これは題名ですよ」というのを示すために使用される。

面白いのは、この「“”」マークには「皮肉」の意味合いも含まれる時がある。引用されたという意味から、「いわゆる」とか「巷で言うところの」みたいな意味も含有する。
英語を勉強していると、結構な割合でこういう皮肉が出てきて、つまり単語本来がもつ意味とは真反対の意味で使用されることがあり非常に悩ましく思う。「ほう、これがいわゆる“ローコンテクスト文化”ですか、なるほどなるほど」という気持ちになって、「日本語はハイコンテクスト!文脈を大事にする!だからすごい!」みたいな論調が一気に信じられなくなる。(かなり蛇足だが、Wikipediaの「エアクオート」の記事の写真はなんかシュールなので見てみて欲しい。間違ってはないのだが、有り体に言ってちょっと変だ)

さて、そんなちょっとチャビーでお茶目な"エアクオートボーイ"の話は置いておこう。とにかく、「""」にもいろんな意味があって、その全てを理解するのはきっとかなり難しい。
たまに、母国語である日本語でもたとえばインターネットミームから発達した語彙なんかは分からなかったりする。多分こういうことがほぼ全世界-各言語で起こってるのだろうと思うと大変だ。無論、言語というもの自体が変化していくものだと思えばそれはある意味必至なのかもしれないが。

そういえばインターネット文化における括弧を語る上で外せないのが「顔文字」だ。
(^ ^)とか、(T_T)とか。この「m(_ _)m」とかは昔は謝る時に使っていた。てか、予測変換を見ただけでかなり懐かしい顔文字がたくさん出てきて急に謎のダメージを負った…。
ちなみに、欧文ではよく:-)とか;-(とか、横に倒された顔が出てくる。これはこれで可愛いので好き。あと「ツ」←この形が笑った顔に見えるらしく、顔文字として使われている。主にいわゆる「絵文字」が使えない時に代わりとして使われていて、前述の:-)よりもよく見る。バリエーションとして「(ツ)」や「¯\_(ツ)_/¯」がある。

そういうわけで、括弧を使う場面は意外と沢山あるなーと思う次第でありまして、とにかくそういう作品をリリースしたいと強く思っております。
色々と考えた結果、みんながなんで括弧を使うのかはよく分からないままですが、きっと括弧をつけることでカッコつけてるのだと思います…。(こんな長文のまとめがダジャレでゴメン)では、お後がよろしいようで…。(何もよくない)

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