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続・続・続・続・つづく

久しぶりに通った街。「ここ、古本屋だったなあ」とふと今は美容室になっている店の看板を見た。年季が入っている。
そうか、ここが美容室になってからも結構経っているのか。
最後にここで本を買ったのは多分もう10年以上前だ。古本屋独特の匂い、日焼けした表紙、無口な店主。悪くなかったな、と思い出してももうあの店はどこにもない。

今は学習塾になってしまった店を眺める。カレー屋の二階。前はダーツ・ビリヤードバーが入っていた。
確か初めてダーツをやったのはあそこだった。先週、久々に新宿でダーツをやったら筋肉痛になってしまった。
そんなにのめり込んでいた訳ではないけど、あの頃は夜中になったら意味もなくダーツをやっていたな、と思い出す。
そういえば、ここのバーがなくなってから隣駅に新しく、数倍立派なダーツバーができたが、そこに行ったのは一回きりだ。
ちなみに、その店は以前キャバクラで、バイト先のおじさんたちに連れられて一度行ったことがあった。結局、それも一度きりだった。

大学の裏にある自販機はいつの間にか2台に増えていて、ラインナップも洗練されている。
前は、大体二日酔いの時にポカリスエットを買う専用の自販機と化していたが、どうやら今では色んなものが買えそうだ。
いや、あの頃もよく分からないコーヒーはよく買っていた。別に今でも味なんてよく分かってないけど、美味かった気がする。もちろん、そのあと誰かと一緒にタバコを吸う時間も含めて。

酔っ払ってばかりいた。毎晩のようにアルコールを体に入れて、気絶同然に意識を失う。悪くなかったな。悪くなかったけど、ほとんど酒を飲まない今の生活だって、まあまあいいもんだぜ。
と、いいながら先日は久しぶりに泥酔した。起きたらもう日は高く、水分不足の体と働かない頭。「あー、これこれ」と思い出す間もなく気持ち悪さが襲ってくる。

叫びすぎて喉が痛かった。大富豪はやっぱり楽しかった。初めてライブに出た時よりも強く、多分人生で1番、悪い意味で全力でギターを弾いたせいで両の手が痛い。それもまた悪くないけどね。
「大貧民 負けてマジギレ」がほぼ実現しちゃってた気がする。パスタ作っておけば良かったな。
数年前に開発した「かわいそうな人ゲーム」(しばらく議論した後、投票でかわいそうと判定された人が飲むゲーム。超理不尽な人狼だと思えば大体あってる)で盛り上がったけど、俺らは全員微塵もかわいそうなんかじゃなかったな。

終電で帰る時とはまた違う、ぬるっとしたお開きで思い出の街にさよならを言う。
昔行ってたサウナで整って、新しくできた店でコーヒーを買った。
淡々と続く日々の中に現れる幸せなひと時。そういえば酔っ払ってるみんなに会うのは久しぶりだった。

そして毎日は続く。2年前の誕生日に貰ったコーヒーミルで豆を挽いて、ふと時の流れに絶望しながら、明日もまた朝が来て、夜が来る。
せわしなく続く日々に、終わりがあるひと時が紛れ込んで、一時停止。
今だけはこれでいい、何にも続かない一瞬が、きっとどこかで背中を押す。

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