10月は、袷(あわせ)の時期。着物は奥深く、楽しい

勉強会で出会った方は、あの着物で参加している人と、認知してくれる。着物生活を始めたのは三年くらい前。今は、お蚕ぐるみが気持ちよく、夏でも着物で過ごす。

着物には季節と約束事があって、着物警察ということばがあるが、違反していると、取り囲まれて、注意されるらしい。わたしの場合は、まだ、そんな怖い目にあったことはないが、季節には敏感になっている。

夏着物も、絽は七月、八月まで。九月はどんなに暑い日でも絽は着ない。代わりに夏塩沢や、夏大島といった、細い糸で織られている軽い夏着物を着る。一見、普通の単(ひとえ)のように見えるから、安心。下には夏の絽の長襦袢。こちらは、見えないオシャレなので、10月の暑い日でも使える。

今年のように10月に入っても、日中は30度近く上がる日が続くと、袷どころか、単でも暑すぎて着られない。そんなときでも、夏大島は、軽くて、涼しくて、透けないように、気をつければ、通用する。10/6、note酒場 昼の部のあと、上野文化会館で、蝶々夫人をみたが、その時は、絽の両面染めを着て凌いだ。両面染めというのは、表も裏も柄があって、みたところ、絽に見えない。

そして、台風のあと、いきなり、秋が深まる。日中でも20度を下回る日は、普通なら、袷の季節なのだが、まだ、地の厚い単が役立つ。琉球紬や、結城紬の単は暖かくて、この微妙な時期にぴったり。

そして、夏の間お世話になった、絽の長襦袢を洗う。こちらは洗濯機のデリケートモードにおしゃれ着洗いの洗剤で、水洗いする。家の中や、日陰干しして、畳んでしまう。着物の手入れを手間と考えるか、楽しみと考えるかで、ずいぶんと人生が違ってくる。

わたしは半襟付けも好き。一月に一度は着物メンテナンスの日を設けて、ほころびたところなどもかがっておく。近くにプロの着物屋さん、悉皆屋(しかいや)さんがなくなって、できることは自分でやるようにしている。和裁は習ったことはないが、裁縫箱は近くに置いてちくちくしている。

お天気と相談しながら、冬の着物を出して、道行や羽織も出して、風に当てたり、干したりする。仕事をしながら、そういう合間を見つけて、昔の日本人になったつもりで、やりくりする。

着物は、すべて正絹だから、身にまとうと心地よく、体調が悪いときでも、治るような気がする。昭和48年ごろ、ナイロンなどの化繊が入るまでは、日本人は絹をまとって暮らしていた。そんなことも考えながら、寒い季節がやってくる前に、今の着物を楽しむ。

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