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2021年7月の記事一覧
【小説】偽幸の追求:「発端」part3
彼女の部屋には
いわゆる《女の子らしい》感じはなく
酷く殺風景だった。
しばらくお互い携帯を触ったりして
適当に過ごしていた。
いつの間にか雨も止んでおり、
時計は21時を指していた
そろそろ帰ろうかと帰り支度をしていると
「今日はもう泊まってったら?」
「でもそれは流石に申し訳ないよ」
「もう遅いし、道も濡れてて危ないし…
今日はお父さん帰ってこないらしいから」
「うーん、どうしよう
【小説】偽幸の追求:「発端」part2
ある日いつもの様に一緒に帰っていると
急にバケツをひっくり返した様な
夕立が降り出してきた。
「すっごい…だね!!」
「すごい何?!!」
「雨すごいね!!」
「そうだね!!」
「〈ーー君〉!とりあえず着いてきて!」
「え! うん!」
何が何だかわからず
雨の打ち付ける中
無我夢中で彼女の背を追っていく
少しずつ足の疲労も相まって走れなくなってきた
酸欠で目も霞み出した頃
目の前の背中はピ
【小説】偽幸の追求:「発端」part1
「私がその時仲が良かった人がいました。
部活がお互い終わる時間が一緒だったので
よく話しながら一緒に帰っていたんです。
ある時いつもと同じように話していると、彼女
の携帯が鳴り同時に体が震え始めたのです」
「ごめんね〈ーー君〉
今日はお父さんが迎えに来てるの」
「春ちゃんのお父さんかぁ会ってみたいな」
「うーん”いつか”ね、じゃあまた明日ね」
「うんまたね」
別れる時のその背中は酷く