【喫茶店 美来】４－１話『駆け引きなんてできない』
これは、常連さんのお話。
「だいぶ寒くなったね～」とわたしがつぶやくと
ボックス席で勉強していた、
『優佳さん』と『奏（かなた）くん』、『愛華さん』、『蒼志郎くん』の４人は、「そうですね～１１月だもんね。」
「２か月後は、共通テストだもんね」と少し手を休めて、それぞれ飲み物を飲んでいた。
４人は、中学校からの常連さん。
勉強が、抜群にできる『優佳さん』と『奏（かなた）くん』。
絵画や音楽など芸術的な才能がある『愛華さん』、『蒼志郎くん』。
今日は、この４人のお話ではないのです。
カランコロン
「いらっしゃい」
今にも、泣き出しそうな女の子と
今にも、怒りが爆発しそうな男の子。が立っていた
女の子は、『梨乃さん』。男の子は、『翔くん』（しょう）。
二人は、いつものボックス席へ座った。
『葉月』と『大輔』が
わたしに「また、来ましたね」と笑って言ってきた。
『玲香』が「これで、４８回目です。」と表情を変えずに言う。
『涼』が「これだから恋愛はめんどくさい」と投げやりにいいながらも、コップに水を注いでいる。
「まぁまぁ、何度もケンカして復縁するってことは、互いに心許しているからじゃないの？」といいながらおしぼりを準備しているのは、『葵』
厨房の裏口から食材を搬入している、『雅治』が「何かあったの？」と聞くと
『玲香』が『雅治』と目を合わせずに
「梨乃さんと翔さんが４８回目の恋人同士のけんか解決のために、
来店した雰囲気です。」という。
『雅治』は、「そっか～幸せそうだね」と食材を冷蔵庫に入れている。
「じゃ、俺行きます。」と涼がいうと
このまま涼くんがお水とおしぼりを持っていくと
2人とケンカになりかねないと思ったのか、
葉月が
「わたしが、お水・おしぼり持っていきましょう」と涼くんから
準備された、おぼんを受け取る。
「お水とおしぼりです。」とそれぞれの前に置く。
「ご注文があれば、ベルを鳴らしてください」と言って去ろうとしたとき
「葉月さん聞いて！また翔が浮気した！」と泣きながら言う
それに対して、「梨乃の誤解だって」と怒った口調で言う。
「あなたたちね～」と葉月は、あきれている。
梨乃さんと翔くんは、幼なじみで
中学校から付き合い始めて、
それぞれ２１歳となった今も、中学校の時と変わらないケンカを、、、
梨乃さんは、看護師さんを目指している。
翔くんは、放射線技師さんを目指している。
二人とも中学校の時は、不登校だったが、高校で、ものすごく勉強して、
第一志望の大学に入学した。今も二人で、仲良く勉強している姿が先週まであったのに・・・
「もう、別れる。」といつもとは違うトーンだ
空気が一変した。これはまずい
＜続く・・＞
©心空