#2 VIVA検収員(富士山御殿場口登山道新五合目: 人間交差点2021)
開山初日は、昼の12時からの遅番勤務だ。メンバーは、元経営者の中畑さん、元営業の板妻さん、そして私みくりやの3人だ。11時50分に早番から引継ぎを行い勤務に就く。五合目を散策する家族連れ、若者のグループ、カップルも多い。そんな中、早朝に登山を開始して、それぞれの目的を達成した人・達成できなかった下山者達が五合目登山道入り口の鳥居に姿を見せる。鳥居を通過する半数の人々が、鳥居通過直後に踵を返して帽子をとり、手を合わせ頭を垂れる。霊峰富士に対するそれぞれの畏敬の念の表れだ。鳥居をバックに記念写真を撮影する人も多い。撮影を依頼されることもある。撮影に手渡されるのは、99%スマートフォンだ。
鳥居前の簡易テントに陣取った検収員3名は、下山者には鳥居通過直後に、それぞれが「お疲れ様」「おめでとうございます」「頑張りましたね」などと声をかける、労をねぎらいながら、我々検収員に注目していただくのは大切な仕事だ。
声かけで我々検収員に気が付くと、多くの下山者が簡易テントの検収所へやって来て、皆さん一様に「早朝に出発したので見かけませんでしたので、いま支払いますね」と温かい言葉とともに保全協力金を募金箱に入れてくれる。協力していただいた方には、御殿場登山道のカンバッチと領収書をお渡ししてお礼を述べる。声かけにも応じず、駐車場方向へそそくさと向かう人もたまに見える。「相当疲れているんだな」と、それ以上の声かけはせずに見送る。
これから登山をしようとする人には、「これから登山ですか?健康チェックを行っています。ご協力をお願いします」と声かけするとほぼ全員が応じてくれる。今年は、コロナ対策の一環で「健康チェックリスト」による自己申告と体温測定を行っている。異常がなければ緑色のリストバンドを渡して、よく見えるところに取り付けていただく。これによって「私は健康に異常がありません。と他の登山者に安心感を与えることができますよ」と説明すると皆さん納得して取付けていただける。「富士山環境保全協力金」について目的・用途について説明するまでもなく、多くの登山者が理解をしていて、快く協力をいただいている。これまで現金のみであったが、今年からは「クレジットカード」でも対応できる準備をしているが今日はまだ一人もいない。周知して普及するにはしばらく時間がかかると思う。
登山者・下山者がまばらで余裕がある時には、散策される皆さんにも「お散歩ですか
?」「ここは初めてですか?」と声かけると、皆さん明るく答えてくれるが「どちらからいらっしゃいました?」と声をかけすると、しばらくの沈黙したあと「都内です」と小さな声で答えてくれる。「緊急事態宣言下」の皆さんにとってコロナは、かくも影響を与えているのかと感じることもしばしばだ。
人生経験豊富な中畑さんと板妻さん(みくりやはおまけ)は、静岡県の検収員として、五合目を訪れたみなさんに、より快適に、気持ちよく、御殿場口登山道と周辺の良さ・魅力、要望に応じて御殿場市内の名店をも併せて案内している。お二人は御殿場市内の隅々まで熟知しているようだ。
「フーン、人生経験豊富なベテラン? 高齢者の集まりでしょ!」という意見に2人は、背筋をピンと伸ばし、口をそろえて「生涯現役です」と答えた。すご~い!
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