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誰でもASDになるワケ

ASDは線を引く

以前、「ASDは線を引く」という動画を配信しました。


今回、ASDについて、定義上、だれでもASDと診断できることを、WHOや厚労省からの診断基準をもとに、解説させてください。

途中、難解かもしれない点があります。そこは読み飛ばしていただいてでも、よろしければ、最後までお付き合いいただければと思います。

ASDの診断基準① ~WAIS(IQテスト)~

一般的に大人が受ける心理検査(IQテスト)は、WAIS-Ⅳ(ウェクスラー式知能指数検査4版)である場合が多いです。

この数値は全検査IQ(FSIQ)と呼ばれ、4つの下位項目を含めて計算されます。
参考:日本文化社ホームページhttps://www.nichibun.co.jp/seek/kensa/wais4.html#:~:text=15%E3%81%AE%E4%B8%8B%E4%BD%8D%E6%A4%9C%E6%9F%BB%EF%BC%88%E5%9F%BA%E6%9C%AC,%E5%BE%97%E7%82%B9%E3%82%92%E7%AE%97%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

言語理解指標(VCI)言葉の理解、論理的思考力
知覚推理指標(PRI)直感的な理解力、推理力
ワーキングメモリー指標(WMI)
暗算など、一時的に記憶して何かを処理する能力
処理速度指標(PSI)
考える速さや、正確に動く能力

この数字は、100が中央値(一番人数が多い)として、高いか低いかで、能力を比べらるようです。全検査IQが70~130の間に、人口のほとんどが(約95%)入るとのことです。

全検査IQ(FSIQ)は、現場の感覚から言えばあまり意味がなく、強いて言えば、IQ120を超えたあたりから、良くも悪くも漏れなく凄いウマとシカという印象を受けます。紙一重とはまさにその通り。

重要なのは下位項目の数字です。

この数値が、10-15以上差がある場合、発達障害の可能性が高い。なので、それをもとに診断されるときがあるとのことです。

ASDの診断基準② ~DSM-Ⅴ~

アメリカ精神医学会による、精神疾患、障害の診断基準です。実は現在、ASDは自閉スペクトラム障害とは呼ばず、自閉スペクトラム”症”と呼びます。そして、発達障害とは呼ばず、神経発達”症”と呼びます。
これは、翻訳者の心遣いで、「障害」と言う言葉の響きが悪いので、「症」と翻訳するように、規約を作ったとのことです。ポリティカルコレクトネス、ポリコレというものでしょうか。

なお、DSM-Ⅴは、本でしか文言を確認できないため、各種英語のサイトより引用しました。参照したサイトが不特定多数であるため、申し訳ないですが、参照元のリンクは貼りません。

DSM-Ⅴの診断基準はなかなか難解です。シンプルに言えば、以下の通り

A.3パターンのコミュニケーション全部が苦手
B.↑3パターン全てを満たしている。尚且つ、とある4つの繰り返し行動パターンのうち、2パターンがある。

詳しく書くと、以下の通り

A.3パターンのコミュニケーション

A1.例えば、異常な社交的接近や正常な前後の 会話の失敗から、 興味、感情、または情動の共有の減少、 社交的相互作用を開始しない、 またはそれに反応しないことまで、さまざまである。

A2.社会的相互作用に使用される 非言語的コミュニケーション行動の 統合されていないものから、 アイコンタクトやボディーランゲージの異常、 またはジェスチャーの理解や使用における欠陥、 表情や非言語的コミュニケーションがまったく ないものまで、さまざまである。

A3.人間関係の構築、維持、理解における欠陥。 例えば、さまざまな社会的文脈に合わせて行動を 調整することの困難さ、 想像力豊かな遊びを共有することや友達を作ることの困難さ、 仲間に関心を示さないことなどである。

B.4つの繰り返し行動パターン

B1.定型的または反復的な運動、物の使用、または発話 (例:単純な運動の定型、おもちゃを並べたり、 物をひっくり返したりする、エコラリア、特異的な言い回し)。

B2.同一性へのこだわり、ルーチンへの融通のきかない固執、 または言語的もしくは非言語的行動の儀式化されたパターン (例:小さな変化に対する極度の苦痛、乗り換えの困難さ、 硬直した思考パターン、 あいさつの儀式、毎日同じ道を通るか同じ食べ物を食べる必要性)。

B3.強度または焦点において異常な、 高度に制限され、固定された興味 (例えば、珍しいものへの強い執着または偏執、 過度に限定された興味または忍耐強い興味)。

B4.感覚入力に対する過反応または低反応、 または環境の感覚的側面に対する異常な関心 (例:痛みや温度に対する明らかな無関心、 特定の音や感触に対する不利な反応、 物の匂いを嗅いだり触ったりする過度の反応、 光や動きに対する視覚的関心)。

ASDの診断基準③ ~ICD-11~

WHOが定義した、病気や障害(精神疾患だけじゃない)の診断基準です。2022年1月に発効していると、厚労省のHP(https://www.mhlw.go.jp/content/10701000/000945063.pdf)に記載があります。

内容は、DSM-Ⅴを参考にしているので、ほぼ同じです。一つ違いがあるとすれば、感覚過敏は、「これから先、眩しくなる」といった、予想をしただけでもしんどいというのが含まれるあたりだと思います。
参照:WHOホームページ
(https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http://id.who.int/icd/entity/437815624)
※ページ内検索が必要の可能性あり

詳細なまとめは以下の通り。

①他者の言語的または非言語的な社会的 コミュニケーションに 対する理解、関心、または不適切な反応。

②話し言葉と、アイコンタクト、ジェスチャー、 表情、ボディランゲージなどの典型的な 補完的非言語的合図との統合。 これらの非言語的行動は、頻度や強度が低下することもある。

③社会的文脈における言語の理解と使用、 および相互的な社会的会話を開始し維持する能力。

④社会的状況に応じて適切に調節されない行動を とることにつながる社会的認識。 他者の感情、情動状態、態度を想像し、それに反応する能力。 利害の相互共有。

⑤典型的な仲間関係を作り、維持する能力。

⑥本人の年齢や社会文化的背景に対して明らかに 非典型的または過剰である、 制限された、反復的で、融通の利かない行動、興味、 活動の持続的なパターン。 これには以下が含まれる

⑥-1.慣れ親しんだ環境の些細な変化や 予期せぬ出来事に反応して誘発される、 新しい経験や状況に対する適応性の欠如とそれに伴う苦痛。

⑥-2.特定の日課に対する柔軟性のなさ 例えば、慣れたルートをたどるなど地理的なものであったり、 食事時間や移動時間など正確なタイミングを 必要とするものであったりする。

⑥-3.ルールに過度に固執する(ゲームをするときなど)。

⑥-4.明らかな外的目的のない、 過剰で持続的な儀式化された行動パターン (例えば、特定の方法で物を並べたり、 分類したりすることに夢中になる)

⑥-5.全身運動(例:体を揺らす)、 非定型的な歩行(例:つま先立ち歩行)、 異常な手や指の動き、姿勢など、 反復的で定型的な運動動作。 これらの行動は特に幼児期によくみられる。

⑥-6.1つまたは複数の特別な興味、物の一部、 または特定の種類の刺激(メディアを含む) に対する持続的なこだわり、 または特定の物(典型的な慰めを除く) に対する異常に強い執着。

⑥-7.感覚刺激に対する生涯にわたる過剰かつ持続的な 過敏症または低過敏症、 または感覚刺激に対する異常な関心。 これには、実際にまたは予期される音、 光、感触(特に衣服および食物)、 においおよび味、熱さ、冷たさ、または痛みが含まれる。

ASDの診断基準④ ~遺伝子~

ヒトゲノム解析が進むことで、どうやらとある遺伝子(厳密には”株”)がASDの発症する確率を上げるとのことです。DSM-Ⅴが発行された2013年ごろからそのような論文が出始めている模様です。ホンマかいな。

これら4つの診断基準は、実のところ、すべて参考程度です。

では、何をもってASD、神経発達症(発達障害)と診断するのでしょうか。

唯一絶対な、ASDの診断基準は【医者の主観】です

いろいろな診断基準を参考に、医師国家資格を持つお医者さんが、主観的に「どうもこの人はASDでしょう」と、診断を下して、初めてその人はASDになります。

精神疾患や、発達障害は、どういう仕組みでその病気や障害になるか、解明されていないことが多いです。なので、結局、科学的な根拠で診断するのはほとんど不可能なのです。

じゃぁ、つまり。。。

誰でも発達障害。といえる、かもしれない

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