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島はぼくらと 辻村深月

 めっっちゃよかった。
 他の辻村作品ほど重すぎないが、島に住んでいることで生じる一人ひとりの思いや悩みが描かれている。青春のきらきらした要素もあり甘酸っぱいところもあって好きだ。だけど冴島の高校生4人ははしっかりしていて、一人ひとりちゃんとした考えをもっていて思いやりがある。
 この人はいいひと、わるいひと、ではなく1人の人間には良い面と悪い面両方をあわせもっている。それぞれをちゃんと評価できる島の人たちは大人だなと思った。一度悪い面をみてしまったらそこにしか注目しなくなってしまいがちだが、その人のこれまでの言動を振り返り、やってもらったこと、嬉しかったことを思い出すことは本当に大切なことなんじゃないかと思った。
 この作品は私が今まで読んだ辻村作品で、1番爽やかな感じがした。島だからこそ、その人だからこそ抱えてしまう複雑な悩みや問題が生じ、闘ったりしつつも島の人たちはみんないい人でのびやかに描かれている。
 私が一番印象に残った言葉は、環の「好きなことを続けるためには、すきじゃないこともたくさんやっといた方がいいよ。たとえ、それが無駄に思えるにしろ。いずれ、感謝する時もくるかもしれないから」という言葉だ。たしかになぁと思った。好きなことだけをやってると周りが見えなくなりがちだし、そこで上手く行ってないときに保険のように支えになってくれるものがない。また、行き詰まったときに”好きなこと”以外の知識や人間関係があるとそれを助けてくれるときがある。私も、好きなことを見つけても、それと同じくらい好きじゃないことも、そして人間関係も大切にしようと思う。
 あとはやっぱり、高校生の甘酸っぱい青春が垣間見れるところがよかった。しっかりと考えをもっていてもう子どもではないが、大人たちより心は純粋である。もうあの頃に戻れないと思うとさみしいなぁと思った。

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