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照明班のお話 - The Making of MIKUEC2022 第7話

はじめに


 みなさんこんにちは。本記事は電気通信大学バーチャルライブ研究会(略称: VLL)が昨年の2021年12月17, 18日に開催した、初音ミクのライブ「MIKUEC2022」(←"みくえっく")の照明に関するメイキング記事となっております。照明班の他にもいろんな班がメイキング記事を出していますので、興味がある方はそちらも読んでみてください〜


書いている人


 MIKUEC2022制作当時照明班長でした、イチ(@ra_ichi)といいます。現在は諸々の役職を後輩に引き継ぎ隠居中です。春休みの真っ只中ということで休み中はぬくぬくする予定でしたが、この記事をなぜか締切日当日に泣きながら書いています。どうして…


この記事の内容


照明班のお仕事について

 照明班って一口に言っても何やるの?って感じですが、照明班は主に以下の活動をしています。って書いてから気づきましたが、こちらの内容は去年のnote企画で自分が既に記入していました。

↑去年の照明班の記事。読んでない方は是非

↑他の班の去年の記事もあるので良ければ見てね

 詰まるところ、締め切り当日に書こうとしてた内容が書けなくなる絶望的な状態に陥りました。たすけて

制作の裏側

 何を書こうか悩みましたが、去年の記事にはあくまで制作手順や方法といった形式的なことをちょっとしか書いてなかったな~と思い至りましたので、今年は制作の裏側を中心に書くこととしました。会議で通らなかった案の紹介やここだけの裏話などを制作フローに合わせて見せていくつもりですので、去年の記事の制作フローと並べて見て頂くと面白いかもです。


MIKUEC2022照明制作の流れ


 MIKUEC2022に向けて照明班は以下のスケジュールで活動しておりました。

  •  7月上旬…照明担当曲募集

  •  7月下旬…照明担当曲確定

  •  7月中旬~下旬…照明配置会議

  •  8月中(以降度々修正)…照明データファイル作成

  •  9月上旬~12月上旬…照明パターン作成

  •  12月上旬…照明データ統合

  •  12/17, 18…MIKUEC2022開催


照明班制作フロー


担当曲決定

 まずはじめに確定したセトリの中から照明を担当したい曲を部員に募集、十分な期間を設けた後に確定しました。時間は遡りMIKUEC2021の話になりますが、当時は照明班の人員が少なく、照明経験が豊富な部員が多くの曲の照明を担当する状態になっていました。私としては一人あたりの負担量が増えるのももちろんですが、何よりも照明班の活動は難しい知識いらずでとても楽しいので、MIKUEC2022ではもっと多くの部員に携わってほしいなと思っておりました。そんな中各曲の照明担当者を募集したのですが、今回はなんとセトリの半分程度を照明未経験の部員が担当することとなったため、めちゃくちゃ嬉しかったです。

 去年の記事の締めにも同じことを書いているのですが、照明活動は照明機材や周辺機器、それらを設置する空間の全てがないとできません。そんな環境を個人で整えることはほぼ不可能ですので、もし照明に興味のある電通大生がいたら是非バーチャルライブ研究会への入部をお待ちしています(唐突な宣伝)。


照明配置会議

 照明担当者の募集と並行して、各々の照明演出イメージからMIKUEC2022のステージ照明配置を考える会議を行いました。この頃からコロナの規制も緩くなり週1回行われる部会が対面で行なわれていたため、部会終了後にそのまま照明班で集まって対面で会議をしていました。会議は全3回あり、それぞれの内容は以下になります。

  1. MIKUEC2021の照明配置、及び所持している照明機材の確認

  2. 照明配置及び購入する照明機材の考案・提案

  3. 照明配置及び購入する照明機材の個数の決定


1. MIKUEC2021の照明配置、及び所持している照明機材の確認

 初回では今回初めて照明班の活動をする部員への説明も兼ねて、前年度に行われたMIKUEC2021の照明配置やそれを用いた照明演出の例、部で所有している照明機材の確認を行いました。また、照明に詳しい部員によるレーザーの概要や扱い方の講習会もありました。

↑1回目の会議の様子

 この会議で部員にMIKUECでの照明イメージを掴んでもらうとともに、次回の会議までに自分が担当する曲でどんな照明演出をしたいかその照明演出のためにどんな配置にしたいかを考えてもらいました。


2. 照明配置及び購入する照明機材の考案・提案

 2回目の会議では部員が各々考えた演出や配置の共有、加えてそれを元にどの案を採用するかの話し合いを行いました。決定は次回の会議に持ち越されましたが、特にムービングライトを中心に様々な機材をどこに配置するかで最終的に以下の3つの案にまとまりました。

↑2回目の会議の様子(照明配置案)

i) スクリーンを中心にムービングライトを不規則にバラバラに置く
  …ステージに奥行き感ができてより初音ミクの存在感を出すことができそう
ii) スクリーン真横に規則的にムービングライトを置く
  …照明機材の制御がしやすく、様々な照明演出に対応することができる
iii)トラスなど、骨組みに照明機材を取り付ける
  …空中に自由に照明を配置できることに加え、ステージ感をより出すことができる

 また、配置案が固まるにつれて新規購入したい機材も以下の3つに絞られました。

↑2回目の会議の様子(機材購入案)

i) ムービングライト
  …買い足してたくさん配置することで、より細かい演出の作成が可能になる
  部で保有しているものより光量が高い
  値段が非常に安い
ii) レーザー
  …買い足して2つ配置することで、臨場感を高められる
  非常に高いがそれだけの性能がある
iii) ウォッシャー
  …スクリーン後方の壁を照らすことで、スクリーン上の初音ミクの存在感を増やせる
  安くはないがこの照明機材特有の使い方ができる

 どの照明機材が良いか決めきれない状態だったので、照明機材以外に購入したい物品も含めた予算から考えることにした際、購入したい機材としてフォグマシンが挙げられました。フォグマシンとは照明用の煙を焚く機材で、ムービングライトやレーザーといった光の軌跡を見せるために必要不可欠なものとなっています。  

 MIKUEC2021以前はフォグマシン1台のみの稼働でしたが、ライブに使っている会場の場合1台ではパワー不足でライトがやや見えづらかったという理由から、買い足して2台にしたいと提案されました。照明演出が見えづらいのは致命的であるし、当時持っていた照明機材の性能を底上げできるという点から、フォグマシンの購入が確定となりました。

 これにより購入する照明機材についても、高額なレーザーは今年諦め、軌跡が見えやすくなる恩恵をより得ようということからムービングライトの買い足しをするとともに残金でケーブルなどの購入をすることが決定となりました。


3. 照明配置及び購入する照明機材の個数の決定

 3回目の会議で複数案の中から照明配置が確定するとともに、前回購入を決定したムービングライトもその配置に合わせて購入する個数を決定しました。最終的にはステージ上部全体に固定ライトとムービングライト4つずつ、上部中央に多機能照明機材を1つ、スクリーン横にムービングライト4つと固定ライトを2つ、スクリーン下部にLEDテープを配置する形となりました。


↑3回目の会議の様子

 画像のように同じムービングライトでも、より光量が多い方をステージ上方に設置したりしています。
 この会議をもって購入する機材や照明の配置が確定したため、必要な機材を購入したり照明パターンを各個人がPC上で制作できるようにデータファイルを作成する作業に入ります…


照明データファイル作成

 照明の配置も決まり、いよいよ照明パターンの作成!...に移りたいところでしたが、それには今回決定した照明配置に沿って作成した照明データファイルを作成する必要があります。こちらの作成自体はそこまで難しいものではなく8月中に制作して各担当者に配布したのですが、今回購入した照明機材の説明書の記載ミスにより後で複数回ファイルを修正することになります…

 作成するファイルは配置する照明のデータや実際に作った照明パターンを保存するファイルと、PC上で照明の動作をシミュレーションできるようにするために3D空間上に照明を配置したファイルの2つです。これらの制作方法は割愛しますが、難しい操作なく簡単に作ることができます。

 問題はセットする照明データで、今回は新しい照明機材を買ったのでそれに対応した照明データを作成する必要があります。説明書を参考に、購入した照明のデータを作成し照明データファイルを完成させたのですが…その後行われたリハーサルでシミュレーション通りに照明が動かない事態が発生しました。まぁ原因は冒頭で記述した説明書の記載ミスで、それを元に作成した照明データも当然違うよね…というところです。そのミスが発覚した日はずっとキレてました

 これを筆頭に照明データ制作期間中に度々照明データの修正をする必要が発生し、担当者の方々をだいぶ振り回してしまいました。他の人に渡すデータに不備がないかのチェックはちゃんとしよう!


照明パターン作成

 照明データファイルが完成したら、各照明担当者に配布し各々で照明パターンを作成していただきました。どうやって作ってるかは去年の記事に(以下略)。進捗確認や機材チェックの必要上リハーサルや本番で各担当者が作成した照明を全て見ていましたが、人によって何を意識して照明を作るかが全然違ってとても面白かったですね。メロディーに合わせてゆったりとした雰囲気の照明もあれば、ドラムのリズムに合わせてバチバチに光らせる照明もあり、見ていて飽きないどころかインスピレーションをもらっていました。


照明データ統合

 各々で制作してもらった照明パターンですが、ライブでは各MC間の数曲を通しで流します。その関係上、曲間が短く対応したデータファイルを都度開くことが難しいです。そのため、MC間の連続した曲の照明データを1つにまとめる作業が発生します。今回もそれは例外ではなかったのですが、私が照明データを集める期限をMIKUECギリギリにしてしまったこと、加えて私が学業の方で忙しくなってしまったため照明データ統合を他部員にほとんど全て任せてしまいました。スケジュール管理はしっかりしよう!


MIKUEC2022開催

 こうして様々な作業の末に、MIKUEC2022の照明はできているのです。1つ1つの作業自体は簡単なんですが、こうしてみると結構やることありますね…

 そしてMIKUEC当日ですが、ここでは担当曲の照明オペレーションのお仕事があります。規定のタイミングでスイッチを押すことで曲の終わりまで照明を自動で光らせられるように作ることができるため当日での操作ミスはほとんどありませんが、そのスイッチを押す時は各部員緊張しているようでした。

 これに加え、照明の見え具合からフォグマシンが焚く煙の量を調整するという仕事もあります。会場は大学の施設であることに加え換気や暖房が効いている関係上、煙を焚きすぎると火災報知器が作動したり煙が換気によってすぐ無くなったりと、細心の注意を払わないといけません。なので開演直後などは照明がちゃんと見えているかどうか確認したり煙の量を調整したりと、かなり忙しかったです。


最後に

 本記事ではMIKUEC2022開催までの照明班の活動を裏側の話を交えて書いてみました。思っていた以上にボリュームが多くなってしまった気もしますがここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございます。ここまで書いておいてなんですが、私は物事をまとめて文章に書き記すことがめちゃくちゃ下手っぴなのであまり空気感を伝えられなかったなと思います。ですが、照明だけではありますがMIKUECが出来上がっていくあの瞬間は間違いなく最高でしたし、最高に楽しかったです。本記事や別のメイキング記事でVLLに興味を持っていただけたら幸いです。初音ミクが好き、ライブが好き、照明が好きな電通大生の方々、入部お待ちしております。

 追伸:結局期限に間に合いませんでした…。物事には余裕を持って取り組もう!

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