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息子が生まれた日のごはん

#元気をもらったあの日の食事

学歴偏重の家に生まれ,個性的すぎる家族の中ですっかり自分は価値のない人間だと思っていた私は,恋愛と呼べるものでもなかったのかもしれないが,早く家庭をつくれば自分の居場所ができるというような,未熟で甘い考えを持って,1人の男性と知り合い,付き合って,当然そんな考えだから上手くいくはずもなく,喧嘩別れした後に,子供が出来ていた事が分かった。

その時私は,自暴自棄のような生活をしていたので,この子は絶対産まなきゃダメだと,なぜだか思った。
産まなきゃ今までしてきたことのつぐないが出来ないのではないかと。

そう思っても,明確なる収入や育てていく自信などなく産婦人科で,他の妊婦さんが楽しそうにしているのをうらやましく見ていた。

息子はお正月過ぎ,ちょうど私の成人式の日に生まれた。
分娩の前にお昼に,お産に備えてしっかり食べてくださいねと言われ,パスタやプリンみたいなもの,けっこう豪勢な昼ごはんだった。母と看護師さんに言われ,食べなきゃと,完食した。

夕方がお産の予定時間で,だんだん陣痛が来て,人から聞いた話より,ひどくはなかったのだが,初めてのお産の緊張と,頑張って食べた昼ごはんのせいで,吐きそうになっていた。
お産自体は軽かったので無事息子は生まれ,吐く事もなかったけれど。

でも,あの時しっかり食べていたから,良かった気がする。喜びだけのお産だけでなく,まだ,子供を抱えて生きていく自信や術もなかった不安を吹き飛ばして,無事息子を産ませてくれたごはんだったと思う。

様々な事を越えて,息子も無事育ち,昨年,父親になり,不安につぶされそうだったあの日は,もう良い思い出に変わったが,生きる力をくれた,息子を産んだ日の昼ごはんは忘れない。


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