助産師の母子訪問指導員
母子訪問指導員とは?
次に仕事に就いたのが、母子訪問指導員である
いわゆる各自治体で行っている「新生児訪問」「妊婦訪問」の指導員で
生後4ヶ月までの赤ちゃんのいるお宅に訪問し、家庭環境や育児環境について個別的にアドバイスをしてくるお仕事である
たまたま、保育園看護師を辞めるタイミングで知り合いから連絡がきて、仕事を始めた
助産師の中では、やってみたいと思っている人は多いのではないかと思う。なかなか空きがない人気の職業だ
私もいつかは携わりたいと思っていた。
電話でアポイントを取り、訪問し、記録に残し、担当保健師に報告する、という流れで仕事をこなした
1ヶ月多いときで20件訪問した
病院では知ることのできない退院後の母子の生活
実際に訪問してみて、母子によって家庭環境、育児状況、母の育児手技、育児知識、母の育児に対する受け止め、などそれぞれ違うという現状を目の当たりにした。どのような人がいるのか、社会にも知ってもらいたい。
これが母親たちの置かれている現状なのだ
ペットを飼っており、毛だらけの中で子育てをしている(母親は気にしていない)
サポートをしてくれる人がいなく、一人で孤独に育児をしている(夫は仕事で多忙)
悩んでいるが相談できない(相談が苦手)
相談先が分からない
夫が育休をとっているが、思うようにサポートしてくれず悩んでいる
未就園の上の子がおり、赤ちゃんと上の子の育児で疲弊している
うまくいかない育児に自分自身を責めて、自信をなくしてしまっている
悩んではいないが、育児方法が間違っている(正しい育児を知らない)
赤ちゃんに対し愛情が持てない
赤ちゃんとの生活を楽しんでいる
寝不足を子育ての幸せと捉える人ができる
ある程度は仕方ないと割り切って、現在の環境で行える育児方法を自分なりに構築している
などである、あげればきりがない
ほとんどのお母さんは寝不足なのだが、順調に上手に育児を切り抜けている人もいれば、順応できず悩んでいる人もいた。
病院でのサポート体制が充実していたり、経産婦で自分なりの育児方法がある人、祖父母などサポートが充実している人は上手に育児をしている人が多かった。
逆に話す人がいない、相談相手がいない、頼るところが分からない、相談するのが苦手、病院での育児サポートが希薄等の方は育児不安がある方が多かった。
母親たちはサポートを必要としていた
母子訪問指導員に求められる能力とは?
私が思う母子訪問指導員に求められる能力、それは即座にその時訪問した母子の育児環境を把握し、悩みに気がつき、適切なアドバイスができること
ではないかと思う
少ない訪問でその時に判断し、適切なアドバイスをしてこなくてはならないのだ
私の場合は病院での経験、保育園での経験、子育ての経験が役に立ち、ある程度の質問には返答できるようになっていた。
「助産師さんがきてくれた」と喜ばれるケースも多く(保健師が訪問すると思っている人も多い、出産時に助産師と関わっているので、助産師と言うだけで、授乳のこと、母乳のこと、赤ちゃんのこと等相談しやすいのかもしれない) この時期の母親たちが助産師を求めていることを知った
今後経験豊富な助産師の訪問指導員が増えることを期待したい
やりがいはあったが‥
少ない訪問回数の中で、自分ができることは少ないと感じた
お話と指導と併せて1時間から長い人で3時間を費やした
指導員として、他にも訪問ケースがあるため、いつまでも1件のケースに携わることは難しかった。また、訪問指導員の関わりは生後4ヶ月までであり、地域へとつなげる役目もあった
母親たちはサポートを必要としている。
もっと自由に、継続して、自ら母子をサポートしていきたいと思うようになっていったのである
この思いが私を開業助産師へ導いていった‥
続く
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