魂の抜け殻 第32章

報告書


先日の配当金受け取りについての報告書が弁護士正木氏から郵送されてきた。内容は次の通りである。

受け取り金¥2981341

-200(印紙代)

-493500(税理士への報酬)

-315(振り込み手数料)

-43300(個人の滞納税金)

残額¥2444026

これまで発生している弁護士報酬及び費用を差し引いても残額の金額では、支出が出てしまう。かなり足りない筈である。年末年始には帰省する予定であり、年始には兄と姉に会う。が、年初めから暗い話になりそうで、話せる気分では無い。師走の忙しい時期、兄や姉への報告は後回しにしよう。

30日に帰省し、こたつでゴロリとしていた。携帯にメールが入った。ご無沙汰していた元社員の吉田さんからだった。「給料未払い分の件はどうなりましたか?」他に挨拶文などを含め、その様な内容だった。僕は言葉を選びながら、すぐに返信した。「全ては弁護士に任せてありますが、順番に処理しているところです。弁護士に確認を取ってみますので、また改めてご連絡します。」と、彼のお父様への気遣いの言葉を添えて返信した。

少し嫌な気分になりながら、何故かなひとりで抱え込んでしまう。誰にも言えずにいた。年明け正木氏に連絡をし、確認すれば済む事なのだから。誰も不安にならなくていい。今年も終わる。来年、希望はあるのか。


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