ホラー映画01「ウィリーズ・ワンダーランド」
襲ってくるアニマルロボットたちを、無口な男が返り討ちにするはなし。襲う側も襲われる側も無慈悲という新感覚のホラーだった。
コメディ要素が強いので、ホラーが苦手でもエキサイトできる作品だと思う。またグロが苦手な方は、鮮やかな赤がブッシャアアしたら「イチゴジャムが飛散しただけ」と思いこみ、どうにか乗り越えてほしい。
たえる価値がある面白さなのだ……。
物語はニコラス・ケイジの愛車のタイヤが、トゲトゲのナニカによってパンクするところからはじまる。ニコラス・ケイジはトラックで通りかかった男に助けられ、近くの町へ。男は車を修理してくれるという。ニコラス・ケイジは修理代をカードで支払おうとするのだが、そこはカードもATMもつかえない町だった。
現金をもちあわせていないニコラス・ケイジ。男の「修理代のかわりに働かないか?」という誘いに対して、ゆったりとうなずいた。
任された仕事は閉鎖中の遊園地の清掃だ。一晩がんばれば翌朝には修理された愛車が戻ってくる。
遊園地のオーナーから、
「ちゃんと休憩をとれ」
「自分のペースでやれ」
とアドバイスを受けたニコラス・ケイジ。タイマーで休憩時間をしっかり設定し、廃墟の劇的ビフォーアフターにとりかかる。
ところでなぜ役名ではなく、ニコラス・ケイジと書きつづけているのかというと、本作のニコラス・ケイジがひと言も話さないからだ。そして誰も彼の名前を聞かない。
だから名前がわからない。職業も過去も、友達の人数もわからない。主人公のプロフィールが一切明かされぬまままま話がすすんでいく。
ニコラス・ケイジはひたすら無言だが、そこに物足りなさを感じない。それは言葉を発しないかわりに、目と眉の動きが存分に心の動きを語ってくれているからだと思う。
本作のニコラス・ケイジにセリフは蛇足だ!!
顔の全パーツを駆使した無音のセリフまわしを堪能してほしい。
優秀な洗剤をつかっているのか、それとも優秀な腕力による摩擦がすごいのか。頑固な汚れをガッシガシ落としていくニコラス・ケイジ。その背後にはもふもふの魔の手がせまっていた。
「顔を食ってやるぜ」
という常人ならば言葉だけで失神しかけるほどのパワーワードを吐き捨て襲いかかってくるダチョウロボット。 しかしニコラス・ケイジは驚かない、怯えない。 仕事の邪魔をされて不機嫌そうにするだけだ。そして倍返しどころではない、殴打の嵐でロボットをスクラップにかえる。
ニコラス・ケイジがロボットの怪異を淡々と受けいれているのはなぜなのか。彼にとってはロボット退治もお掃除の一環で、頑固な油汚れぐらいの扱いなのかもしれない。
さてニコラス・ケイジが卓越したお掃除スキルを発揮して磨きあげている遊園地は、実は町にとっての暗黒面だった。ニコラス・ケイジは毛ほども気にかけていないが、彼は遊園地に監禁されている。扉は外側から鍵がかけられていて、翌朝オーナーがくるまで外にでられないようになっていた。
そこへ囚われのニコラス・ケイジを助けるため陽キャな若者らが遊園地に侵入する。ここまではニコラス無双によりサンドバッグだったロボットたち。飛んで火にいる夏の虫が投入されようやく本領発揮である。
ニコラス・ケイジに助っ人はいらないが、救出にきた若者たちは逆に救いが必要な状況になってしまう。床や壁に飛び散るティーンエイジャーのイチゴジャム。清掃箇所が増えたことにムッとするニコラス・ケイジ。ロボットどもを不燃ゴミにかえるまで、彼は掃除をおえられない。
狙った獲物は食べちゃいたいロボットたちと、オン(掃除)とオフ(休憩時間)の切り替えを妥協しないニコラス・ケイジ。
朝日を眺められるのはどちらなのか!?
アニマルロボットたちはなぜ人を襲うようになったのか!?
ぜひあなたの目で、確かめてください。
★★★★★
面白すぎたので2回連続で鑑賞しました。
明日もまたポチっと再生してしまいそう。しばらく他の映画が観られなくなっちゃうんじゃないの!?ってほどの
中毒性をありがとう。
#映画感想文
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#ニコラス・ケイジ
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