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君たちは「色弱の人」とどう生きるか

2023/07/19現在、例の映画は見てません。

初めましての方も多いと思うので、軽く自己紹介です。
普段は教育領域のシステム開発のプロダクトマネージャーをしています。
ミコトと言います。

タイトルの通り、私は色弱です。
具体的には、赤緑が強く区別つきづらいです。

色盲、色覚異常と言う人もいますね。
色覚多様性とも言うそうですが、私的には事実としてハンデと感じているので、この記事では色弱で統一します。

この記事について

この記事では、色弱じゃない人向けに以下について書きます。

  • 色弱の人が抱える課題

  • 色弱じゃない人が、色弱の人がいる社会で働く際には何をどう気をつけると優しいのか

普段から「色弱の人に優しくしろよ!」と思っているほど横柄ではないです。そもそも気遣いは強制するものでも強要するものでもないので。
とはいえ、チームで働く際や、プロダクト(システム、物理的な物に関わらず)を作るときに気をつけることは、プラスに働くと思います。

実際、カラーユニバーサルに気をつけているプロダクトというのは増えてきています。
「プロダクトを作るときに気をつけていること」としてカラーユニバーサルがあると、特徴になるというのが現状ですかね。

逆に言うと、「カラーユニバーサルデザイン」に着目しなければならないほど色が見えることが前提で世界が動いている以上、色弱の人にとっては事実としてハンデはあります。
親や先生にこんなことを言われたことがあります。
「色弱は個性だよ」
「ピカソも色弱だったらしいよ」
そんな同情はいりません。

この記事ではキレイごと一切なしでいきます。

色弱の人の抱える課題とは?

色弱の人=色が見えづらい人、判別しづらい人。それは認識合ってます。
でも見えづらいこと自体が課題ではありません。
では「その人は何に困っているか」わかりますか?

ここで問題です!

わかりましたか?

はいストップ!!
この「出題されてまだ答えが発表されていないタイミング」。
「多分これっぽいけれど本当に合ってる?」って思ったその感覚、ここが本質です。

同じ色なのか、違う色がなのか、常に不安な状態。
これが色弱の人が常に味わっている感覚です。

同じっぽいなぁと思っても、「本当に同じ色?」となります。
もし違う色に見えていたとしても、「本当に違う色?」となります。

ちなみに正解は、この中にはないです。
全部微妙に違う色です。
答えは沈黙。
いじわるしてごめんね。

したがって、結論!

一言でいうと「緑色見て」と言われて「どれ?」ってなることです。

どんな場面で困るの?

どんな場面で困るのかについてです。

例①:遊びで

例えばこれ。
初代マリオパーティでの「いろいろキノコ」というミニゲームです。

右上にいるキノピオが挙げた旗の色のキノコに移動して乗り、最後まで残った人が勝ちというゲームです。

僕には11時の位置にある黄色?のやつと、3時の位置のやつが区別つきません。
3時の位置のやつと、1時の位置のやつも区別つきません。
瞬時に、という意味では9時の位置のやつと7時の位置のやつも怪しいです。
なんてこった。勝負にならん。と、小さいときに思ってました。

色違いのポケモンなんてのも、露骨じゃないと分かりづらいです。
常人に見分けづらいのであれば、色弱の人にはほぼ無理です。


とはいえ、さすが任天堂。
リメイクでは形で区別がつくようになってますね。

マリオパーティ スーパースターズ、いろいろキノコがバリアフリーに生まれ変わる

スプラトゥーンは超優しいです。
なんてったって色塗りゲームですからね。
スプラトゥーン3では、「色覚サポート」としてインクの色を黄色と紫の2色だけに固定する設定ができます。

例②:アニメで

ラブライブで最初はキャラの区別がつかなかったです。

海未ちゃん-希ちゃん、穂乃果ちゃん-花陽ちゃん-凛ちゃんあたりが区別くきづらかったので、最初はもう誰が誰だかわからなかったです。

ちゃんと見てると性格とか声とか髪型とかで区別がつくようになりました。
ちなみに私はエリーチカがすきです。

例③:お勉強で

炎色反応 is やばい。マジで違いがわからん。

https://www.cataler.co.jp/train/qa/living/02.php

僕は中学校で炎色反応について勉強するまで打ち上げ花火の色が違うということも知りませんでした。
もちろん、絵の上手さを評価する美術の先生は嫌いでした。

例④:日常生活で

次にこちらの道路はどうでしょう?

© photosku.com

この写真は横からなのと少し加工したのでわかりやすいですが、もし自分が運転者の場合 & この道が暗い場合
・信号の赤・黄色
・街頭
・ブレーキランプ
これらの違いがわかりづらいです。

つまり「二個目の街頭を過ぎたら右だぜ!」と言われても、ぱっと分かりづらいです。

他にも紅葉とか、焼肉が焼けたかどうかとかもわかりづらいですね。

例⑤:仕事で

みなさん仕事でグラフはよく使いますよね。
こちらのグラフはどうでしょう?

2週目と4週目の折れ線の色の違いはわからないです。
つまり「2週目のデータを見てください」と言われてもわからないんです。

ここまで例を以て説明してきましたが、
「同じ色・違う色が見つけられない」ということの意味がおわかりになりますでしょうか。

働く際に気をつけること

さて、ではどう立ち回ると優しいのでしょうか。

①色弱の人はいるという前提で働く

色弱は、男性では20人に1人いるくらいらしいです。
※出典:NPO人に優しい色づかいをすすめる会

学校であれば、クラスに1人〜2人はいるという計算ですね。

社会で生きているのであれば、友人、同じ会社で働いている人、取引先の人の合計が20人以下という人は珍しいでしょう。
つまり、誰の近くにもいるということです。
私は5人のチームで2人色弱ということもありました。

しかも、メガネや絆創膏、松葉杖なんかと違って本人からの申し出がない限り色弱であることは分からないです。
退職後に「実は色弱だったんだよね」なんていうこともありますね。

なので、「身近にいないからいいや」はもったいないです。
自分の身近にも色弱の人がいるという前提で動きましょう。

大事な取引先の相手が色弱で、わかりやすい表示・指示がされてればプラス評価です。

②資料作り・発表のときには色に気をつける

ここが大事なとこです。
さっきのグラフのように分かりづらい色を使うと、判別が厳しいです。

おすすめは、
・4種類以下→色の三原色(黄色が見づらければ要調整)+濃いグレー
・5種類以上→図形をつける、線の種類を変える

が良いと思います。

説明をするときなんかも、凡例で伝えると良いです。
×黄色の線を見てください
◯3週目を見てください
◎3週目の黄色の線を見てください

③色弱の人をうまく使う

この方法、あんまりやってる人いないと思うので、ぜひおすすめします!

プロダクトを作るときには、色弱の人に頼っちゃいましょう。
「これ、見分けられる?」と聞いちゃいましょう。
で、見分けられる色のものにしたらいいんです。

とはいえ、本人が「何色が」「どれくらい」見えづらいのかをちゃんと聞いておくのが良いでしょう。
色弱にもいろいろ種類と程度があるからです。
僕は、赤と緑が、強く、見えづらいです。


ハンデを武器に変える。なんて良いお話なんでしょう。

④子供との接し方には特に気をつける

③は、大人の人にやってね。

例えば教育業界で働いていて、子供と話す機会がある方なんかは気をつけましょう。
高校生くらいまでの子には露骨に「キミ、色弱?」と訊くのはあまりよろしくないかと。

中学の頃、こんな友達がいました。
彼は結構ヤンチャな子で、喧嘩もするようなお友達。授業もときどきいないようなやつでした。
その日の美術の絵画の授業にはいたのですが、隣の物静かなクラスメイトに話しかけていました。
「これって何色っていうんだっけ!?」
そんなことあるかね、普通。
数字の読み方を忘れるくらいないことでしょうね。

彼は、色弱であることを隠したかったのでしょう。同じ色弱の僕にはバレましたが。
そんな風に特に子供の場合は「色弱であることが恥ずかしい」と思っている場合があります。
一定精神的に成長し、受け入れてしまえばラクなのですが、そうもいかない年頃というのはあるものです。

ちなみに学校の教科書には赤本というものがあります。大学入試のモノとは別です。
赤本には、子供が持っている教科書の内容に加えて、問題の答えが載っていたり、授業の進め方の助言が載っていたり、説明が加筆されている先生用カンニング教科書のようなものでしょうか。
赤本の最後の方のページには、「色覚異常の生徒への対応」というページがあったりします。
内容としては、
・黒板に赤や緑で文字を書くと見えない子供がいるから気をつけてね
・地図を塗り分けるときには、わかりやすい色で塗り分けたり、斜線の方向を変えることで表現しましょう
とかです。

同様に、教材を作る会社はカラーユニバーサルデザインをマストの要件として作っているところも少なくないです。

それくらい、特に思春期で感受性豊か、心が揺れ動く子供たちにとっては「自分はハンデを持っているんだ」と気づくのはセンシティブだったりします。

終わりに

ここまでリアルな話をしました。
これらを意識すると、色弱の人がいた場合にはかなり円滑なコミュニケーションができるようになるはずです。

私はあっけらかんに「色弱だぜ!!」と周りの人に自己紹介がてら伝えるようにしています。
「そういう性格だから」というのもありますが、そうしたほうが周りに助けてもらいやすいからという理由です。
一方で、人によっては気軽にその話をしてほしくないという人もいる、ということも留意したほうが良いということは付け加えておきます。

それから、「デザイン上仕方ない場合」や「予算的にこの色しか使えない」とかもあると思いますので、そこはバランスを取ることも大事というのは言うまでもありませんね。

以上!
みなさんが働きやすい環境になる一助になったら幸いです。

蛇足

実は「色覚補助メガネ」なるものがありまして。
僕も持ってます。

色覚補助メガネ

とあるメガネ屋さんで実家を出る前に買ってもらいました。結構高かった記憶。
ただ、あんまり使ってません。お母さんごめんなさい。


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