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決める心と書いて決心

 ゲームで定番の、H P /M Pという用語がある。H Pは多くはヒットポイントと呼ばれ、物理攻撃を受けると減る。M Pは魔法が使える設定のゲームではお馴染みの言葉で、マジックポイントと呼ばれることが多く、自分が魔法を使うと減る。魔法のない現実世界ではどちらも実際には存在しないし見当たらないものだが、私などは体力を消耗した時にはH Pが減っていると思うし、M Pをいわゆる気力ややる気、精神的体力に当てはめる時もある。
つまり、M Pが減った状態=精神的体力が弱っている状態ということである。

 私の場合、少し強めに体を動かせば当然体力は減るというかバテる。お腹が減っても減る。いや、空腹は身体と心両方に良くないな、と今思ったがそれは置いておいて、精神的体力が消耗する大きな要因の一つに何かを決めるということがあると思うのだ。何なら決心とか決断とか、字面を見るだけでもM Pが減りそうである。

 何かを決めるのには多かれ少なかれ、精神的体力がいる。決めた時点のこと、これまでのこと、これからのこと、全部ひっくるめて考えて決めなくてはならないからだ。あとあと後悔するかもしれないししないかもしれない、見通しはつくけれど想定外のことも起こる、そんな不確定な未来のことを考えて物事を決めるということに、人は意外と精神的体力を使い、疲労する。疲労度合いは決める事の大小に比例すると私は考えているが、小さな決断だって積み重なれば結構な疲労になる。ことの大小によらず、決めるというのは精神的なカロリーがいることなのである(迷い続けるということでも疲労はするが、それはまた別の機会に)。そして厄介なことに、精神的疲労はこれがまた意外と回復が遅い。

 体の方は大抵寝食をしっかり摂ればどんどんと回復することが多い。しかし心の方はどうだろうか。精神的な疲労を回復する人類共通の方法は、多分まだないのではないだろうか。

 自分の精神的疲労回復法が他の誰かに当てはまるとは限らないし、逆もまた然りだし、自分でさえ前回と同じ回復法で今回も回復できるかと思えばそうでもなかったりする。そもそも各人に割り振られたM Pパラメータ、おっと違った、精神的疲労への感受性も人それぞれであることを考えると、もう何かなんだが、である。

 一つ分かっているのは、精神的疲労が溜まっている時にこれはどうだ、あれはどうだとあれこれ聞かれても決められないということである。そりゃそうだ、心を決めるための体力が消耗しているのだから。

とはいえ大人の生活は朝起きて着る服を選ぶところから就寝時間の選択まで、決断の連続である。そうこうするうちに気づかないところでも疲労は溜まっていく。決断を人に委ねてしまえば楽かもしれないが、そうもいかない時だってある。

ではどうしようか。

 まずは、心を決めるのは大変な仕事だと知ることである。

その次は、決断だらけの1日を何とかやって来られたことを褒めようと思う。そして決断することから解放される時間帯を見つけて緩もう。

 と思いつつ、夕飯の献立をまだ決めていないが、まあ何とかなるだろう。

                      (C.N)

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