第2回THE NEW COOL NOTER賞~12/7講評その3
THE NEW COOL NOTER賞 エッセイ部門の講評です。
本来はエッセイ担当の洋介委員が講評させていただくべきなのですが、この作品が大好きなので、強権を発動してみこちゃん担当にしてもらいました(^-^)。
ゼロの紙さんの子供時代からエッセイは始まります。
双子のお子さんを連れたお母さんと電車の中で、一緒になりました。
子供たちをゼロの紙さんの前に座らせてくれて、お話ができるようにしてくれたそうです。
行き先は一緒の所。
双子のお子さんのお一人から好きだと告白されたという、なんとも甘酸っぱい思い出が綴られているのですが、このエッセイの魅力はそこにとどまるものではありません。
双子のお子さんなので、ゼロの紙さんは「彼ら双子のどっちにすきって言われたのかわからなかった。」ということでした。
きっと本当にそっくりだったのですね。
それをお母さんに言ったところ、こんなことばが出てきました。
「似てませんよ全然違いますよ」
そうですよね。
この葉っぱとあの葉っぱは違うのに、「葉っぱ」ひとくくりにして言う。
こんなのおかしい!とニーチェは著書の中で言っていました。
似ているものの中に、歴然とした違いを当たり前のように共有すること。
このお母さんの、「全然違いますよ」の「全然」この一言がなんというかな…。
きっぱりとした確信的な愛情だなって、そう思えました。憤慨まではもちろんいきませんが、そこははっきり言わせてもらいます的なところが、ほんの僅かに混じった、そんな限りないやさしい愛情。
きっと穏やかに、にこにこ笑いながら、子供のゼロの紙さんにこの言葉を言ったのだと思います。
何気ない思い出を語っているように見えて、親子の絆というものをそっと浮かび上がらせている。
この珠玉のエッセイの終わりは、こうでした。
「双子は、巳己巳己ではない。母としての歳月がそう語っていた。」
エッセイの可能性というものを感じさせてくれる文章だな。
そう思いました。
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第2回THE NEW COOL NOTER賞への、みなさまのエントリーをこころからお待ちしております。
■募集期間 ―― 令和2年12月1日~令和3年1月15日まで
■応募方法
「 #第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞 」のハッシュタグをつけてください。
特定の部門へのエントリを希望する場合は、さらに「 #第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞 ○○部門」を付けてくだされば、各審査委員が拝見します(必須ではありません)。
※希望する場合は複数の部門への応募が可能です。
また、お一人様何作品応募いただいても構いませんが、授賞対象は1作品までとさせていただきます。
なお、過去作品でも応募可能です。その場合も、同様にハッシュタグをつけていただけるだけでエントリとなります。
よろしくお願いいたします。
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