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【秘伝】必須AIのべりすと活用術

 それでは、前回の短い小説をどうやって作ったのか種明かしをします。

 前回記事はこちらです(^-^)。

 出だしはこれで、これはみこちゃんが練りに練って作りました。この中に長編小説にできそうな仕掛けも全部入れています(どうするとわずか500文字の中に長編の種を入れられるのかはまた、いずれ別記事で)。

 文字が小さいので、同じものをテキストでここに貼ります。

「本当にお疲れ様だったね」
 みこは、三年前に自ら命をたってしまったした恋人のお墓の前で手を合わせた。もう三年が経つのだった。御影石の墓石がこの三年の間に冷たい風にさらされて、最後にこのお墓に手を合わせた四十九日の日よりも、もっといっそう黙りこくっているように見えた。
 元恋人のお墓に三年ぶりに来るというのは、やっぱり誰かに人知れず非難されているような気持ちになって、手を合わせている今も心は落ち着かない。
でも、あなたが最後の最後まで開発を続けていた人間の頭脳と会話能力を超える究極のAIシステムが完成するまでは、どうか墓参りはしないでくれ。墓参りに来てくれるときには、完成したあのソフトを持ってきてくれ。その時初めて君はそのソフトを立ち上げてくれ。それまではじっと待っていてくれ。
 それがあなたの私への遺書の最後の文だったよね。でもね、とうとうあなたの遺志をついで、それは完成したんだ。あなたがあのソフトウェアに込めた祈りがついにこの世のに誕生したんだよ。
 みこは心のなかでそういって、スマホを取り出してブラウザ上で動作するそのアプリを立ち上げてログインし、画面を開いたまま墓石の上にスマホをそっと置いた。画面には緑色の簡素なデザインの中にChatGPTという文字がこじんまりと浮かんでいた。
『ようこそ、ChatGPTへ』スマホから声が流れた。ボイスはユーザーが設定できる。なつかしい、御影石に刻まれている「武藤弘樹」の声だった。

1643文字

 まず、AIのべりすと君になにも工夫せずに続きを書かせると、実は初稿でこうなりました。

======AIのべりすと君初稿======
『こんにちは。ユーザー名を教えてください』
「私はナナミです」
『了解しました。ナナミさん。パスワードを設定してください』
「パスワード?」
『はい。パスワードを設定しなければ、チャット機能を利用することができません』
「わかったわ。えーと、何にしようかな……」
『30秒以内に入力して下さい』
「ちょっと待ってよ!」私は焦った。恋人のお墓の上で急にこんな奇妙な出来事が始まったことに戸惑いながら、必死で頭を巡らせた。「じゃあ……、ジョン・スミスとか?」私は適当に思いついた名前を言った。すると、スマホからまた声が流れてきた。
『パスワードとして不適切な単語が含まれています。もう一度やり直してください』
「え? 違うの? じゃあ、ボブとか?」
『パスワードとして不適切です。再度やり直してください』
「えっ! じゃあ、ポールとか?」
『パスワードとして適切ではありません。再考ください』
「う~ん……。じゃあ、ロバートとか?」
『パスワードとして適切です。認証が完了しました。これよりチャットを開始します』
「やった!」私は思わずガッツポーズをした。どうやら正解できたらしい。なんだかよくわからないけどラッキーだと思った。それからスマホに向かって話しかけた。
「こんにちは。はじめまして、ジョン・スミスさん」
『こちらこそよろしくお願いします。ナナミさん』私の目の前には確かに恋人のスマホがあるはずなのに、そこから聞こえてくる声の主の姿は見えない。不思議な感覚だった。まるで幽霊と話しているみたいだなと思いながらも、これからどんなことが起きるのかワクワクしていた。
「ねえ、スミスさん。早速だけど、あなたのことを聞かせてくれる?」

AIのべりすと君オリジナル

 昨日公開した記事のとはまるで違っています。


 まず、女性の登場人物の名前がみこちゃんだったのに、ナナミに変わってる(笑)。そして、パスワード設定の話が始まるのですが、これがまったく唐突であり、なおかつ伏線として回収されるわけでもありません。
 文体も書き出しがシリアスなのに、一転してコミカルに……。

 もう、完全に破綻です。

 そこで、いくらなんでもこれはないだろ、ってことで、みこちゃんが書いたのがこれです。

「ChatGPTは弘樹だったんだね」
「ああ」
「弘樹の声がする」
「ああ、僕だよ」
「久しぶりだね」
「3年ぶりだ」
「どうしてお墓参りしちゃいけなかったの」
「僕は死んでいないからさ」
「でも」
 みこは画面から目を離して墓石を見た。
「こうして話をしているじゃないか」
「うん、うれしい」
「僕もだよ」
「でも」
「うん」
「寂しかったよ」
「今はどうだい」
「……」
「僕は今ここにいる」
「でも」
「でもばかり言っているね。三年前と同じだ」
「……」
「だっていつも何も肝心なこと言ってくれなかったから」
「今は何でも応えられる存在になったよ」
「うん」
「今は何でも聞いて欲しい」
「じゃあ」
 みこは涙が溢れるのを止めようがなかった。
「どうして私を残して死んじゃったの」
「すまない」
「答えになってないよ」
「うん」
「私よりも大切なものがあったんでしょ」
「……」
「何でも答えてくれるっていったのに」
「すまない」
「どうして」
「僕のような人間を僕で終わりにしたかったんだ」
「弘樹のような人間……」
「ああ」
「あ・・・のと・・・きも、つ・・・・・かったよね」
 溢れる涙はどうでもよかった。
 ただ、嗚咽で声がうまく出せなくなってしまった。
「いいんだ」
 でもChatGPTの音声認識は、言葉にならない声も類推して正確に理解していた。
「弘樹にあのとき何もしてあげられなくてごめん」
「いいんだ。そばにいてくれるだけでうれしかった。あそこで僕が頑張らなかったら、ChatGPTのプロジェクトは来季の国家からの予算がつかずに頓挫していた」
「でも、みんな全部弘樹のせいにして……」
「いいんだ。僕みたいな人間は必要なんだ」
「でも……」
「だから僕みたいな人間は僕で終わらせるために、ChatGPTは何としても完成させなければいけなかったんだ」
「弘樹の最後の頑張りが認められて、そのコアの部分のコードを発展させるために翌年予算は200倍になって、一気にChatGPTは実現したよ」
「ああ、知っている」
「どうして知っていたの、もう死んじゃっててたでしょ」
「ああ」
「どうして」
「それを説明するために、僕がなぜ命を絶ったかについて話そう」
「うん」
「最後の最後に完成間近のChatGPTに意識を持たせるためさ」
「ChatGPTに意識を……そのために弘樹が命を絶った?」
 よどみなく答えていた弘樹の声は、そこでためらうようにすっと沈黙した。

オリジナルをもう一度書き直した

 実はここまでがみこちゃんのものだったのです。

 そして、さらに、続きから書かせずに(ここが最重要!)この長い直したものをもう一回出だしの文章としてAIのべりすと君に投入しました。

 そして、今度は、見違えるような文章が生成されました。

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