サンドイッチマン風ネタ~寿司屋
「今日は誕生日だからな。たまには回転寿司じゃなくてこういう高級な店もいいよな。ちょっと入ってみよ」
「いらっしゃー」
(富沢さんすごい大きい声)
「うわー寿司屋って感じだなあ。カウンターいい」
「いらっしゃいー」
「…いいよっていう意味ですよね」
「いらっしゃいいー」
「…そうだっていう意味ですよね。じゃあ座りますよ。なんだか変わった店だな。あのさ、メニューがすごくてさ...」
(伊達ちゃん壁のお品書きを見る)
「いらっしゃい」
「…もうなれたからいいわそれは。あのさこの『引き分け』ってなんなの」
「鯛ですね」
「ああ、タイってことね。イーブンってことか」
「じゃあさこの横に書いてある『ガレージ』ってなんなの」
「蝦蛄(しゃこ)ですね」
「ああ、車庫ってことね。あと『接吻』ってなんなのこれ」
「キスですね」
「そう書けよ。じゃあその横にある「時価」ってなんなのよ」
「世間では”いくら”といっていますね」
「世間の基準に合わせてくれよ、わかんねえよそんなの。このさ『風俗三点セット』てなんなの」
「見る貝、勃起貝、赤くなる貝です」
「普通に言えよ。ミル貝、ホッキ貝、赤貝だろ」
「世間ではそう言っているようですね」
「なんなんだよこの店は、こんなん注文したらほんとに赤く、赤面するわ。頼めないよこんなの。もっと普通のメニューないの」
「お客さん」
「何」
「足で踏んでますよ」
「あ、ほんとだ。なんでメニューこんなところに置くんだよ」
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
「は。お前それ完全に使い方間違っているよ」
「いやだって寿司の土台はお米ですからね」
「でも足元って垂れすぎだろ。それにお米踏んだらバチ当たるわ。いいよいいよ拾うからちょっと待って...ああ、ここには普通に書いてあるな。俺さマグロ大好きなんだけどさ」
「ああ、その右下に書いてありますね」
「ああほんとだ...おおちょっとお前これ待てよ、マグロのさ、大トロ、中トロは分かるよ。でもさここには、マグロの大・中・小って書いてあるよ」
「いらっしゃいー」
「はいっていう意味だな…あのさ大トロ、中トロ、そんでなに、小トロってあんの?この店」
「ありませんよ」
「じゃなによ」
「大きさで、大・中・小になってます」
「はあ!ネタの良さじゃなくて、大きさで値段決めているの?」
「そうです。およそ大トロになりますとフランスパンくらいの大きさになります」
「は。そんなのお前、一つ頼んだらお腹いっぱいになって他の寿司食べられないじゃないかよ」
「ええ。ちなみに大トロを15人前以上食べると、おあいそがただになりまして、お客さんの顔写真を壁に張り出します」
「大食い選手権かよ。じゃあ中トロは?」
「中トロはだいたいクリームパンくらいですかね」
「待てよお前。フランスパンはまだ寿司が大きくなった感じがするけど、クリームパンって丸いじゃねえか。それは寿司って言わないよ」
「世間ではそうですね」
「世間に合わせてくれよ。じゃあ小トロってなんなの」
「およそグミみたいな大きさですね」
「それじゃいつまでたってもお腹いっぱいにならねえじゃねえかよ」
「そういう方におすすめしているのが子トロ100個セットですね」
「そんなことしないで普通の大きさ握ってくれたらいいんじゃないのか」
「人は誰しも普通を求める。しかし普通を求めながらも普通では満足できない。違うか」
「いきなり上から目線!うわ超めんどくせー、なんなんだこの店は…。もういい帰るわ俺」
「お客さんお会計を済ませてくださいね」
「は。だって俺何にも食ってないんだぞ」
「お客さん店に入る時に看板を見なかったんですか」
「なんだよ、なんとか寿司って書いてあったよな」
「その横に小さい文字で書いてあったんですよ、風ってね」
「ああ、そうなの。寿司屋じゃなくて寿司屋風なのね」
「らっしゃいー」
「寿司屋風ってなんなんだよ」
「寿司をネタにしておしゃべりをする、寿司屋風おっさんカフェです」
「ネタってそういうことだったのね。おっさんカフェってそれ俺のネタじゃねえか。じゃあなにか、寿司屋になりすましてんのか」
「そうですよ。寿司なんか作ったことありませんから作れませんね」
「なんだよそれ詐欺じゃねえか」
「そうですよ、店の名前もフィッシング詐欺富沢。小さく書いてあったでしょ」
「お魚の詐欺!」
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