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「認知科学」、マジカルナンバーの話と諸効果 (3)

3 マジカルナンバー「7±2」(ミラーの法則)
 
 マジカルナンバーとは、人間が瞬間的に保持できる情報の数は「7±2」であるとするもの。アメリカのハーバード大学の心理学者、ジョージ・ミラー教授(George Armitage Miller)による1956年の論文「The Magical number seven, plus or minus two」で登場し、人間が短期記憶に保持できる情報の数は7±2(7を中心としてプラスマイナス2、つまり5~9)であることを主張していると解釈されることが多い。認知心理学の研究の先駆けとなった。短期記憶とは人間が瞬間的に保持できる記憶のことで、数十秒しか記憶されず、また情報の容量の大きさにも限界がある。ミラーは、保持する情報の単位を「情報のかたまり」として「チャンク(chunk)」と呼び、短期記憶で保持できるチャンクは「7±2」であるとした。ただし該当するのは日常的なものに限定される。「マジカルナンバー7±2」はミラーの法則(Miller’s law)」とも呼ばれる。論文のタイトルは「The Magical Number Seven, Plus or Minus Two: Some Limits on Our Capacity for Processing Information」(意訳:マジカルナンバー7プラスマイナス2。人間の情報処理の容量)。
 上記の論文の中でジョージ・ミラーは次のように述べています。
   “the span of absolute judgment and the span of immediate memory impose severe limitations on the amount of information that we are able to receive, process, and remember. By organizing the stimulus input simultaneously into several dimensions and successively into a sequence or chunks, we manage to break (or at least stretch) this informational bottleneck.”
(意訳)
    絶対的判断と即時記憶に関していえば、受け取ったり、処理したり、記憶したりできる情報の量には限界がある。(ただし、)刺激入力をまとめ上げ、うまくシーケンスやチャンク(塊)に落とし込むことができれば、このボトルネックを壊したり、広げたりすることができる。

 7という具体的な数字はさほど重要ではなく、この説から学ぶべきことは、・短期記憶の容量は限られている、・その容量はかなり小さい(せいぜい一桁)、・情報をうまくまとめれば容量を節約できる、ということを認識すべきだ、ということだと思います。     (つづく)

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