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チームでものづくりをするときにおきがちなすれ違い

なにかしらのものを作るとき、個人の創作活動ならひとりきりでの作業となることが多いですが仕事としておこなう場合、それはチームでおこなうことが多いです。「依頼を受けて制作する」という時点でそれは「発注者と受注者のチームで制作している」わけです。

ところが、チームメンバーがみんな真剣にやっているのになぜか上手くいかない、噛み合わない、そしてストレスが溜まっていく……ということが起こることがあります。私は音楽業界に身を置いて作編曲、レコーディング、楽譜制作などをおこなっていますがどの方面の仕事でもそういった経験があります。ちょっとした認識のすれ違いの積み重ねだと思うのですが、本当によく起きることなのでなんでそんなことが起きるのかな?をまとめてみました。

ケース1:発注者が受注者のことを下請けとしてしか見ていない

事実としては受注者は発注者の下請けではあるのですが「下請けはクライアントの言う通りに黙って手を動かしてればいいんだよ!」のようなノリで事細かに干渉、口出し、果ては「それはあなたが気分で言っているだけなのでは?」のような指示出しをしてしまうと相手も人間なのでモチベーションが下がっていき良いものができません。
そもそも外部の人間に発注するということは、自分のリソース的に間に合わないかあるいは自分ひとりでは作れないものだからお願いしているはずです。その分野における専門家である発注先のアイデアや意見はとても有益なものだと思うので、尊重したほうが良いものができるはずです。

ケース2:受注者が、「自分たちはあくまで発注者の欲しいものを代行して作っている」という感覚が抜け落ちている

基本的には発注者が「こういうものが欲しいけれど自分で作る時間がない、あるいは技術やノウハウを持ち合わせていない」から外注に出してお願いしているわけで、なので前提として「発注者が欲しいと思っているものを代行して作る」のが受注者仕事なわけです。
ですが、受注者のエゴや手癖で発注側の「こうしてほしい」という要望を無視したものを作ってしまうと発注側からすると「こんなはずではなかったのに」となってしまうわけです。
ただ、発注者がその分野において専門家ではない場合「欲しいものを言語化」が上手くできていない可能性があるので、そういうときこそ受注側のプロフェッショナル力の見せどころ!うまく言葉の裏に隠れた潜在的な想いや意図を汲み取って、発注者が頭のなかに思っている「本当に欲しかったもの」を作れると良いものができると思います。

ケース3:発注側が、誰が最終決定をおこなうのかが明確になっていない

発注者がひとりではなくここでも複数名のチームになっている場合、発注者チームとしての総意を取りまとめて最終決定をする役割が必要です。
「Aさんはこう言っていました、Bさんはこう言っていました(AさんとBさんの意見が食い違っている)」をそのまま受注者に伝えられてもどうしたらいいかわからなくなってしまいます。誰か取りまとめる役を立て、みんなの意見をまとめつつ意見が食い違っていたら整理して(食い違った意見をこっそり握り潰すことはせず、対立意見を出した人たちが納得できるように調整することも必要です)その結果を受注者に伝えましょう。
プロジェクトの規模にもよりますが、発注者も受注者もどちらも複数名のチームで動いている場合は基本的にはそれぞれで意見を取りまとめる役割を立てて、なにかあればすべてそこを通して会話をするようにしたほうがいいと思います。「それぞれのチームメンバーが、相手側のチームメンバーに対して直接意見ができる」という状況を作ってしまうと、知らないところで意見の食い違いが発生してしまう可能性があります。

ケース4:成果物の着地点がきちっと決まっていない

余った予算を年度内に使ってしまいたいからとりあえずスタートさせた、上から言われて担当者になったがいまいち内容を理解していない、新規プロジェクトなどで手探り状態……で、着地点(仕様)が決まっていないということはあります。避けられればそれに越したことはないですが現実なかなか理想的な状態ばかりとは限りません。
受注者は、丁寧なヒアリングをして仕様をかためていくことが大切ですし、専門的な観点から「一般的にはこの場合はこういうふうにする」と意見することも大切です。
発注者は、仕様が最初からきちっと決まっていれば避けられたであろう不必要なリテイクは受注者のモチベーションを下げてしまうことを十分理解し、そういったリテイクがやむを得ず発生してしまった場合は適切な対価を払える体制を整えておきましょう。

プロジェクトがめちゃくちゃになって構わないと思って発注する人もいませんし、受注する側もそんな想いはないはずです。認識のズレがなくなってうまくプロジェクトが進むことを祈るばかりです。

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