地場の人材とICTコンサルティングで、地場企業のビジネスを成長させる|FutureRays株式会社 札幌支社 【会員インタビュー】
IT(Information Technology)あるいはICT(Information and Communication Technology)という言葉は、社会にすっかり定着しました。活用の度合いはさておき、あらゆる企業活動は、いまや情報通信技術なしには成り立たないと言っても過言ではないでしょう。めまぐるしいビジネス環境のなかで企業が成長を続けるためにも、とくに経営の根幹を支える基幹業務は、IT・ICTによる効率化が欠かせません。
主に基幹業務のコンサルティングと基幹システムの開発を手がけているのが、「FutureRays(フューチャーレイズ)株式会社」です。2023年4月、6つ目の拠点となる札幌支社を開設。その背景と、FutureRaysのあゆみとこれからについて、代表取締役社長の中井崇幸さんにお聞きしました。
ICTを活用して基幹業務を改善していく
-主な事業についてお聞かせください。
FutureRays株式会社は、ICTコンサルティング会社です。生産や販売、会計、財務などの基幹業務を効率化・可視化・最適化するため、ICT活用の企画・戦略の立案から、導入、運用、保守までを手がけています。
FutureRaysは、「基幹業務改善コンサルティング会社」として創業しました。私はもともと監査法人系コンサルティングファームで、いろいろな企業の基幹業務に関するコンサルティングを担当していたのですが、そこで培った知識や経験を生かして、中小企業向けのサービスを提供したいと考えて、独立したのです。
基幹業務というのは、IT・ICTを取り入れやすく、また、その良さがいちばん生きてくるところ。一昔前とは違って、基幹システムや業務システムの導入や更新を前提として、改善策を考えなければいけません。もはや、コンサル会社とIT会社の役割が不明瞭になっているのです。私としては、コンサルファーム時代からやっていることは変わりませんが、どんどんIT・ICTの比重が大きくなり、いまでは、コンサルティングに軸足を置いたSIer(システムインテグレータ)といえるかもしれません。
-具体的にはどのような仕事を?
お客さまと一緒に、基幹システムを主体としたICT企画、導入、保守、運用に至るまで広範な領域で業務改善を推進しています。具体的には、製造業や電力業、飲食業などの企業様にシステム導入の計画⇒RFI(情報提供依頼)/RFP(提案依頼)作成⇒ベンダー選定⇒プロジェクト推進、教育展開⇒定着化推進、運用設計を行い、プロジェクトの着実な推進と実行プロセスの最適化を行っています。
アプリケーション開発からパッケージやツールの活用、インフラ構築などフルリモートやオンサイトで、北海道・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の全拠点一丸となって対応しています。
また、企業のビジネス活動において最重要となる基礎基盤領域に関わる技術を得意としていますが、基盤システムだけではなく、例えば、BtoC向けのオンライン教育サービスでは、コンサルティングから参画し、要件定義、オンデマンドシステムを構築する案件やアクセス回数をユーザ単位で集計して顧客に提出する業務を手がけました。また治水管理の一環で、気象予測データから指定地域の河川水位を予測し、越水の検知と警報を行うシステムを構築したときには、水位予測AIモデルをシステムに組み込むなど、新しいIT技術を取り入れております。ありがたいことに新規での受託開発の受注も増えており、これまで以上に多岐にわたる業務を行っています。
泥臭い情熱で、プロジェクトを洗練させていく
-FutureRaysは、ひとことで説明すると、どんな会社ですか。
私は立場上、会社全体を多角的に見ていて、社内の情報もいろいろと入ってくるせいで、ひとことで説明するのは難しいんですよね。大阪本社・東京本社・札幌支社・名古屋支社・広島支社・福岡支社それぞれに印象は異なりますから。
だから、採用面接のときに社風を聞かれると、なかなか答えられません。配属先や職位、社歴、性格などによっても、会社の見え方は変わるはずなので、それらをひとまとめに表現するのは、本当に難しいですね。
例えば、わが社は毎年4月、キックオフパーティーを開催しています。全社員230人ほどが一堂に会して、料理やお酒を楽しんだり、出し物を披露したりと、かなり盛り上がります。にぎやかな場を好む社員には「楽しい会社」であり、社外の人たちには「若くて勢いがあって、おもしろい会社」と見えるかもしれません。FutureRaysにノリがよく陽気な一面があるのは事実ですが、もちろん落ち着いた一面もあります。そんな穏やかな環境を好む社員は、会社に対してまた違う印象をもっているはずです。それぞれの人がそれぞれに感じている「こんな会社!」が、ありのままのFutureRays像なのでしょうね。
ただ、「若い会社」という自覚はあります。創業18年、平均年齢35歳の会社なので、会社も社員もまだ若く、いまだにベンチャー企業であるという意識が強いのです。若いぶん、社内行事も部活も活発でわいわい楽しくやっているし、仕事でも勢いに乗るとぐいぐいと成長していくというところはあります。
もうひとつ、社外の人たちには、「厳しい上下関係がなく、フラットな会社」と見えているようです。それには理由があって、社内ではお互いを「さん付け」で呼んでいるから。コンサルファームでの習慣を取り入れようと、私が、役職では呼ばず、呼び捨てにもせず、誰に対しても「さん付け」を貫いていたら、「さん付け」が定着しました。実際にフラットか否かはともかく、目上の人に対しても身構えずにいられて、話しやすい環境ではあるだろうと思っています。
話しやすさというのは、仕事をするうえでかなり重要です。というのは、僕たちの仕事は、言葉のコミュニケーションのうえに成立しますから。日頃からよく話していると、相手の言わんとすることが理解できるから、言葉はより伝わりやすくなります。それだけ気心の知れた者同士なら、プロジェクトを成し遂げやすくなり、それは品質にも大きく影響するものです。
-経営理念「クライアントが思い描く未来の実現に、泥臭い情熱と洗練された組織力をもって貢献すること」の「泥臭い情熱と洗練された組織力」が印象的です。
創業当時、コンサル会社は、「何をやっているのかはよくわからないけれど、なんだかちょっとかっこいい」というイメージをもたれていました。しかし、当然ながら、会議室でプレゼンするだけがコンサルタントの仕事ではありません。実態は、もっと地味。現場を這いずり回って、より良い道を探っていくような地道な仕事です。コンサルタントはいろいろな企業の経営に関わる仕事をします。でも、お客さまのビジネスに関しては、お客さまを超えられないんですよ。知識も経験もとても及ばない。なので、いわば「会社の一員」となって、その会社のことを考えて、自分のできることをやっていくしかありません。
この仕事への取り組み方と熱量をひとことで表現したのが、「泥臭い情熱」なのです。そして、泥臭い情熱をもった人たちが集まって、推し進めていくと、プロジェクトは洗練されたものになり、チームとしても磨きがかかります。それが、「洗練された組織力」ですね。私たちが、クライアントのためにできるのは、泥臭い情熱と洗練された組織力をもって、クライアントの望む未来をともに見つめ、ともに汗をかき、クライアントにとっての最適解を見つけ出していくことだと思っています。
会社のさらなる成長のために北海道進出を決断した
-札幌支社を開設した経緯をお聞かせください。
以前に比べて、新卒・中途ともに採用が伸び悩み始めたため、新たな土地で勝負をかけたほうがいいと考えました。いろいろな情報を収集するなかで、求職中のIT人材がダントツに多いのが、北海道だったのです。また、IT事業者への補助金・助成金が充実していることもわかりました。ただ、どれくらい仕事があるのかは、把握できませんでした。しかも、私にとって札幌は、数回ほど来たことがあるだけで、ほぼ知らない街です。少し迷いましたが、北海道の可能性にかけてみようと、札幌支社の開設に踏み切りました。
-いま、札幌支社は何名ですか。
北海道出身の6人が配属されています。いまは採用活動に力を入れて、人員拡充を図っているところです。FutureRaysには、新しい拠点をつくったら、その土地の人たちを採用して、地場企業の仕事をするという基本方針があります。というのは、多くの人たちは、生まれ育った街が好きだから。例えば、進学で東京に行き、そのまま就職したものの「いずれは地元に帰りたい」と、IT・ICTの最先端技術を身につけてからUターンする人は少なくありません。愛着のある地元で、同じように地元愛にあふれたお客さまや仲間たちと一緒に働けば、パフォーマンスは上がります。私たちの仕事は、お客さまとの強い信頼関係があればあるほど、良い成果を出せる可能性が高まりますから、まずは、お客さまに心を開いていただかなくてはいけません。そのとき、同じ街に暮らしているという、ある種の共有体験はかなり重要です。「あそこに大きなビルが建つんだね」とか「あの店は刺身が新鮮だよ」とか、仕事とは全然関係のない会話から、お客さまや仲間との関係が深まることって、意外とありますよね。
北海道の人材とともに、地場企業のビジネスを支えたい
-これからの展望をお聞かせください。北海道でやりたいことは?
まず、全社をあげて取り組んでいるのは、自社オリジナルのサービスの立ち上げ。ずっとチャレンジはしてきましたが、決め手を欠いていて……。最近は、社内でビジネスコンテストを開催しています。採用には至らずとも、良い企画は表彰して、新規事業のタネとして育てるようにしているところです。FutureRaysといえば、このサービス!というものができれば、「どんな会社」をひとことで説明できるようになりますし、採用面接でよく聞かれる「会社の強み」もアピールしやすくなりますよね。
もうひとつは、海外展開。言語も文化も異なる国で、現地の人たちと交流を深め、ビジネスをすると、視野が広がり、経験値が上がります。それによって、FutureRaysのサービスの幅が広がり、奥行きが出るはずです。そこで、今年、インドネシアにグループ会社を設立して、SAP社のERPパッケージ導入支援を行うビジネスを始めました。実績を積みながら、ASEAN地域へと事業エリアを広げていく予定です。
私は、拠点をつくったら、基本的に撤退はしません。その土地ごとにIT・ICT業界の置かれた環境は違い、利益が出ないときもあれば、利益が出るときもある。だから、拠点ごとの数字は追わず、事業ごとの数字を見ています。どこかの拠点の業績が振るわなくても、別の拠点の業績が上がって、事業全体として利益が出ていればいいと考えているのです。
もちろん、北海道からも撤退するつもりはありません。札幌支社としては、ITインフラと基幹システムの開発を事業の柱として展開していきます。とはいえ、まだまだ新参者ですから、当面の目標は、北海道のIT・ICT業界のみなさんにFutureRaysを認知していただくこと。先日、北海道IT推進協会の「定時社員総会・懇親会」に出席して、会員企業のみなさんにごあいさつさせていただきました。同業のみなさんとの良い関係を築き、信頼していただき、ともに地場企業のお役に立てるようになりたいですね。
FutureRays株式会社は、大阪・東京の2拠点から始まり、広島・名古屋・福岡・札幌と拠点を広げてきました。それはひとえにクライアントのため。プロジェクトは、目で見て手に取れる商品とは異なり、契約前には品質を確かめられません。それは、不安にもつながります。だから、拠点の数で「そばにいてすぐに対応してくれるだろう」という安心感を、社員数で「人材がそろっているから成し遂げてくれるはずだ」という信頼感を伝えたいのだと、中井さんは言います。
また、慣れ親しんだ地元で、地元を愛する人たちと一緒に働けば、パフォーマンスを発揮できると実感しています。だからこそ、全国に拠点をつくり、「拠点をつくったら撤退は考えない」を貫いてきたのでしょう。北海道を愛する道民たちを積極的に採用して、地元に根ざした企業のビジネスを根幹から支えていきたいと、北海道に根を張り広げています。
(取材日2024年5月16日/北海道IT推進協会 広報委員会、ライター 一條 亜紀枝)
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