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第二回『SANRIO Virtual Festival』TORIENA-VR特化ライブ制作についてのポエム


こんにちは。三日坊主です。
第二回『SANRIO Virtual Festival』、昨日のように感じますね。
若干公開タイミングが遅い気もしますが公開します。(というのも公開するか諸々で悩んでました)

制作時に考えていたことや話し合ったことの大枠やその他諸々のポエムを書こうと思います。(この記事の大部分は2023年の2月くらいに書かれています。)

何かの参考になれば幸いです。

因みにボクがやったことは以下の通りです。
演出構成・Timelineへの組み込み・主にオープニングとデコイの実装・その他ちょこちょこモデリングとか 

経緯


TORIENAさんから2022年の7月末に第二回『SANRIO Virtual Festival』に出演するので演出をお願いできないかとの話をいただいたところから始まりました。
正直UnityのTimelineを扱った時間で進行するライブ形式のものを制作するのは初めてでしたし、誰かのライブの演出をするのも初めてだったので、お話をいただいた時はうまくできるかドキドキだったのでそこそこ悩みました。
でも、いつか他者のVR演出をやりたいなと思っていたのと、第一回サンリオバーチャルフェスのALT3にて、TORIENAさんのDJセットを聴いて,
はちゃめちゃ感動していた身としてはとても光栄なお話だったので2つ返事でお答えしました✨

また、その話をいただいた時、すぐにある人の力が必要だと思いました…
そう、ポピ横のスーパーアウトロー、ちゅーたなさんです!!


Twitter https://twitter.com/choo_zap?s=20


ちゅーたなさんの作風やつよつよ技術は今回のライブの演出に間違いなく必要だと思って話を聞いたあとすぐにお願いしにいきました。
ちゅーたなさんからも快諾をいただけて、無事チーム誕生です!いえい!
(ちゅーたなさんの制作の記事が読み応えあるのでぜひ読んでください~!)


盛大な自己紹介を


まずはTORIENAさんから今回のライブでやりたいことをヒアリングしつつ、大枠の絵コンテを書いてきてもらい、話し合いが始まりました。

TORIENAさんはこのライブで普段生活しているVRChatへの盛大な自己紹介としたいとの思いで臨まれていたので、それを核にしてどう実現したらいいかを考えていきました。

曲をつくった時の気持ちや、今回のフェスへの思いを共有してもらいつつ、TORIENAさんの魂が入っているライブをVRで展開する、さらにサンリオVFESの場でやるとするとどうしていくかを詰めていきます。

また、物理現実側のTORIENAさんのパフォーマンスも見に行きました。全身全霊で激しい音を出力している様子を見て、この迸るパワーをなんとかVRに落とし込みたいなぁと覚悟を決めたりしました。

ボクも絵コンテ書いたりして、お互い案を出し合い、演出を擦り合わせていきました。

ここでTORIENAさんのインタビューをどうぞ…!


ライブの流れ


次に流れを考えるときに話してたこと等を書いていきます。まとまりないかもですがご容赦を


今回、TORIENAさんから最初にお話をいただいた時、曲は2曲(制作期間的にも)、MCなしのぶっ続けでいきたいとのことでした。
その2曲とは『Break Me Down』と『デコイ』



どちらも超ステキな曲ですが、なかなか性質が違う2曲です。
ボクのイメージとしてはパワフルで生命力を感じる『Break Me Down』、情緒的で振り返りと前進の『デコイ』。
MCなしで行くとのことだったので、この2曲をどの順番でどうつなげるか考えます…むむむ…

ライブを行う曲は2曲なので順番は2つに1つなのですが、最初に『Break Me Down』で上げた後に、デコイにつなげる方が綺麗につながるなと思ったのと、更に曲順に意味を込められるかなと思いました。このあたり、TORIENAさんも同じことを考えておられたのでテンションあがりました。(B4にはサウナがあるのでちょうどいいねって話もしてました。"整い"です。)

次に、曲への理解を深めつつトランジションを含めた流れを考えていきます。



オープニング


ライブに入るまでには会場側の準備が必要かなと思います(いきなりかまして入るのもある意味の準備だと思います)
今回は今から展開していく演出の下準備を行うことにします。

誰かを登場させるとき、袖からの登場やステージからのせり上がりで登場等、色々と登場の仕方があると思います。ステージへの注目と緊張感の生成、TORIENAさん登場のため召喚の儀を行い、またそれをライブへの助走として活用しました。

TORIENAさんはVRChatで生活する時にはLILENAちゃんの姿で生活されています。

LILENAちゃん


その存在を出現させるために、TORIENAさんを表す記号であるロゴを凝縮して媒介にすることで召喚していきます。


登場シーンでは天使のように登場したいとのTORIENAさんからの希望があったので、骨と肉の翼を纏って登場してもらいました。ステキですよね✨(召喚時のJugementbabyのイントロよき!!)

次に場の上書きをさせてもらいます。
これから"大きな変化"を加える予定なので、”TORIENAインパクト”によってそれが可能な場に変えていきます。(壁のテクスチャを見ると変わってたりします)(元の会場のデザインを基にTORIENAさんがデザインしております)

召喚と場の書き換えが完了したので、いよいよ曲に入っていきます。


Break Me Down 


はい!ということで先にこの曲で登場するイカれたメンバーを紹介します!
DEKAENA(Break Me Downの化身)
SUBENA(会場でみんなと一緒にBreak Me Downする存在)
ナマ肉ちゃん(ナマ肉)
ニコちゃん(ニコちゃん)

曲が全てを物語っています。とにかく曲がめちゃかっこいいですよね。この曲を通して会場の皆んなと一心不乱に我を忘れたいなと思いました。


そのため、『Break Me Down』の化身、DEKAENAちゃんに登場してもらい、適切に会場を破壊してもらいました。(スタンドみたいです)
これはTORIENAさんから最初にやりたいことの共有として、大っきいLILENAちゃん(DEKAENAちゃん)が壁を壊して登場して欲しいというものがありました。デカさと破壊は曲に対して完全解釈一致です。
また、DEKAENAちゃんには破壊を含めた今後の会場への大きな変化への説得力として機能してもらうという狙いもありました。デカさは強さですね。

VR上では、空間は連続的なので変化に対する予兆、余波が大切かなと思います。(場合によりけりですが)(物理舞台とかもそうだと思う)
そのため、破壊の予兆として空間にぴしぴしと歪を入れていきます。

いざ破壊へ___




因みにDEKAENAちゃんの会場破壊のパンチはONEPIECEの白ひげ、指差しサイケはチェーンソーマンの闇の悪魔を参考にしていたりします。要件としては”その場から動かないが場への変化への説得力を与える動作”です。
大きな変化への説得力を出すために参考にしました。
強い存在の動きが大きな変化を与えるの、いいですよね。

生肉ちゃんたちにはTORIENAさんの哲学の反映と”壁”の融解をお願いしています。かわいいですね。
特にサイケモードに入った時のヘドバン最高です!

会場の皆んなとBreak Me Downをしたかったので、たくさんこちらサイドからも登場してもらいました✨
生肉ちゃんたち、SUBENAちゃんたちと一緒にヘドバンしながらサイケに包まれてぐちゃぐちゃになる感じ、楽しかったですね〜✨
最後のDEKAENAちゃんが会場を整えていくところで、ポリゴンバラバラエフェクトは存在の構成要素としてのつながりとしてナマ肉ちゃんたちの流れを意識しています。

雷の演出はちゅーたなさんの大暴れポイントです!!(他もそうですが)
元々ちゅーたなさんがつくられていた電撃バリバリワールドがあり、こんなのリアルタイムでできるんか…と驚いたことがありました。(思えば、そのワールドを見た時にいつか制作でご一緒したいなと思う決め手だったと思います)
かっこいいですよね~!!✨

Break Me Downの演出は、基本的な流れはボクとTORIENAさんで擦り合わせて、実際につくっていくフェーズでは、ちゅーたなさんから多くの追加のアイディア、ブラッシュアップポイントを出してもらって、演出実装をバチバチにやってもらいました!
ちゅーたなさんが曲や流れの意図を汲み取り、技術と思想と共に演出を組んでいく姿はめちゃめちゃ頼りになりました!ありがとうございます!!

トランジション


曲と曲の間を演出として綺麗につなぎたいという気持ちがありました。
一回一回区切って分けて行うライブももちろん好きなのですが、2曲ということもあり、綺麗につなげて一気に終わりまで持っていきたい感情です。

また、会場に加えた変化に対して一曲で終わりではなく、それを活用した演出にも興味がありました。ライブという生きたタイムラインが存在する中で、その場にこもる力を使いたいなと思ったからです。

ということで、Break Me Downで開けた穴はそのままデコイでの窓として機能してもらったり、その他もろもろ遷移しています。




デコイ


デコイでは内省的な世界から現在(その場)につなげることを意識しました。

最初の話し合いでいわゆる文字が出る系のパーティクルライブにも興味があるという話が出たので文字が出る意味があるものを考えてました。
この曲には割とハッキリ目の時系列が存在していたので、その時系列に合う世界観を模索します。
1番のフォントは当初、手書き風のフォントでいこうかなと思ってましたが、制作終盤ギリギリでやっぱりTORIENAさんの手書きの文字の方が力が出るなと思い、急遽一番の歌詞を書いてもらって、それを組み込みました。
2番はお仕事してる感とある種の”冷め感”を出したいなと思い、明朝体で行くことにします。


この曲では最終的に大きく3パートに分けています。手書き風な白黒な世界、モノクロな世界、もとのライティングの世界です。最初はワールドの彩度を下げてモノクロにするものと、B4のいつも通りのライティングに戻す2構成だけで考えていました。
演出的にもう一つの変化が欲しかったのですが、取れる手段的にその二つかなと思っていました。
しかし、ちゅーたなさんが「坊主さん、ちょっと見てもらいたいんですけど…」と自らつくっていたSSAOのshader(手書き風な白黒な世界の素)を見せてくれて、これだ!!とピースがはまりました。
このつよつよshaderによって、Break Me Downからの続きで遷移していくデコイに対して、曲の種類の変化とデコイの1番にスムーズにつなげることができます。ちゅーたなさん!強い!!
このピースがはまったことによって綺麗な三部構成ができました。


ところで、あの文字を動かす系のエフェクト、Unityで真面目に愚直に作ろうとするとめちゃくちゃ大変で、とにかく気合いでやってました。。。大変。。。(今なら少し効率化できる気がしますが)(ホンマか…?)

大きな流れの解説としてはこんな感じです。

次に演出を考えていくときの背景とか諸々について少し書こうかなと思います。


『SANRIO Virtual Festival』


演出を考えていく前に『SANRIO Virtual Festival』という場について考えてました。
サンリオと名前がついているので、サンリオスピリットが入っているフェスだと思います。
因みにサンリオさんは『みんななかよく』という理念を掲げていますね。
みんななかよくするにはどうすれば良いんでしょうか?ボクはまだ答えは出せないでいますが、まずはお互いの考えを知ることからなのかな?と思いました。
ということで、初めに決めた盛大な自己紹介はなかよくの第一歩だと思います。うんうん。
それもあって、今回のVRライブでTORIENAさんのこと、TORIENAさんの曲が伝わるようにしようと思いました。


また、第二回目開催ということで、『SANRIO Virtual Festival』、そして、今回ライブをした場所であるB4にはその分の人の思いや、形があると思います。
ソーシャルVRで企業が主体で行うライブイベント(特にVRChat)は基本的に一度きりなことが多かったと思います。(多分)(その後聖地化にする流れがあったりするかな?)
ですが、同じ場所として認識できる場所で複数回イベントを開いてくれるおかげで、VRでも場所に対して感情の蓄積ができるようになり(これはイベント自体に含まれる)、再び来る人の感情の差分が生まれるのでとても良いと思います。(本当に大変なことです…関係各位の皆さん、ありがとうございます。)
そして、演者側がその場に対して演出を仕掛けることができるのもとても面白いと思います。それをフェスという形でも演者側のチームでコントロールできる可能性があるのはとても面白いですね。(もちろんその面白さの裏には各所での大変さがありますが…(笑))

ということで、訪れた人がVfesの場をその場として認識したままでライブで拡張を行えないかな?と考えたりもして、そうしました。

ここで少し会場の話ですが、『SANRIO Virtual Festival』のB4は他の階と違いユニークなエリアです。(それぞれの階全てがユニークなのでそれはそう)
その場にはサウナがあったり、グッズのショップがあったり、アトラクションがあったり、たまにサンリオキャラクターがグリーティングに来たり、ユーザーはそれぞれ好きにその場を過ごします。(その想定だと思っています)(サウナハウスの上からの景色好き)


内と外


今回の演出では、いわゆる"破壊"がおこなわています。
B4は基本閉鎖系(空間が閉じている)で、壁を破壊すると開放系になります。
破壊を通して今まで閉じている状態だったものに内と外が生まれます
TORIENAさんの曲の背景のお話を聞いていて、内と外との関係性にも触れることで深みが出るかなと思い、その構造を取り入れることにしました。
演出で空間を変えていけるということは、その空間の属性や関係性も変化し、それらも使えるということ。楽しいですね。

逸れますが、”~と認識できる”に対して、”~ということにする”は丁寧に選択した方がいいんだろうなぁと思ったりしています。
もとの場への縛り(力)があるときに”~ということにする”の力が発揮されるのかな。(丁寧にやるのは前提で)この辺探ってみたいですね。(最終的に”対象に合っているか”に集約されるのかなと思いますが)

我々はなぜその場にいて、その場において何者なのか、展開されるものとの関係性はなんなのか、その空間は何なのか。まだまだたくさんの可能性があるのかなと思いますね。素朴概念と共に楽しい空間を見てみたいですね。

2人の凄さ


TORIENAさん


言わずもがなのつよつよアーティストさんです。冒頭にも書きましたが、ボクがハッキリとTORIENAさんを認識したのは第一回『SANRIO Virtual Festival』のALT3でした。
ボクもVJとして参加していたのですが、自分自身初めての現場ということもあって自分の出番が終わったあと、少し放心状態のようになっていたところにTORIENAさんのDJセットが始まり、震えました。セットの最高潮のタイミングで涙が流れたのを覚えています。(『CQC』が流れたタイミングだったかな…)

バチバチの激しさの中にどこか儚さのようなものを感じて、感情を貫かれたようでした。

めちゃくちゃ曲が良いので全人類聴いてください。よろしくお願いします。

しかも!強さは曲に止まらず、3DCGにも明るく、自身で3Dモデルを制作しVRChatに来ている!話していても創作が本当に好きな方なんだなとビシビシと感じます。尊い…

制作中も多くの意見を出し合いながら進めることができ、TORIENAさんがどういう思いで曲をつくったのか、どう届いて欲しいかを考えられる貴重な機会に恵まれました。本当にありがとうございます。

ちゅーたなさん


今回の演出の中で、破壊・視界ジャックサイケ・デコイの視界ジャックSSAO等々、肝となる実装を粘り強く取り組んでくれた他、曲やミーティングの中からより良くなる方向性を汲み取って、新しいエフェクトをつくったりと、とても頼りになる存在です。


2曲目のデコイの絵コンテ時には、モノクロから通常時の風景に戻ることは書いていたのですが、もうひと展開欲しいなと思っていたところ、ちゅーたなさんがこれを使うと良いんじゃないかと1番の鉛筆で書いたような線画になるエフェクト見せてくれたので、これだぁ!となりました。

Break Me Downの最初の壁破壊検討時、どれくらい破壊しますかねえへへ、と悪だくみしてたの楽しかったですね☺️

また、制作中、ビシビシっと現在の問題点と課題を整理してくれたりしたのも助かりました🙇ありがたや…


終りに


今回の制作は、走馬灯の中に出てくる出来事の一つとしてあると思います。
やりがいがあり、とても楽しかった!!!
TORIENAさん、ちゅーたなさん、ありがとうございました!!

第三回目の『SANRIO Virtual Festival』もとても楽しみですね~(本当に)✨

では、またまた~!✨


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