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外反母趾とフォーマルシューズ

瑞浪市のOさんには関東地方に嫁がれた娘さんがおられます。以前から外反母趾を抱えておられました。普段はスニーカーで間に合う生活ですが、急なお出かけ、特にお悔みごとなどあらたまった時に礼装用の靴を履くと「ちょっとの間はいいけど、だんだん痛くなって我慢できないくらい」になってしまい困っておられたそうです。帰省されて靴の話になり「この店で相談してみては」ということになりお二人で相談に来られました。

外反母趾は女性に発症する比率が多い足部の疾患です。
足に合わない靴(例えばつま先の細い靴、逆に足留まりの悪いゆるい靴)やつま先の締めつけの強いストッキング・靴下を始め、遺伝的素因なども原因と考えられています。母趾の関節が脱臼を起こした状態で、特徴的なのは足を上から見下ろした時、母趾のつけ根が「くの字」に曲がってみえます。Oさんの娘さんの足もこの症状なのですが、進行の度合によっては2番目の指が母趾と3番目の指に押されて上方へ持ちあがってくる方もあります。母趾のつけ根がいつも痛いまたは、靴を履くと痛いなど痛みの有無も特徴の一つです。

フォーマルシューズを履くと外反母趾が痛いのは?

Oさんの娘さんのようにスニーカーだと気にならないけれど礼装用の靴を履くと母趾が痛いというのにはいくつかの原因が考えられます。
①パンプス系の靴は足を留めるパーツがありません。どこかで足を留めるためには後足部(母趾と小指を結ぶ横断面からカカトまでの部位)でしっかりホールドする必要があります。外反母趾の方は母趾のつけ根が痛いので、痛くないようにとサイズを大きくとった靴を履く傾向があります。この選び方でパンプスを履くと後足部の留まりが悪く、足が靴の前方へ滑りこむので、「最初の内は良かったけど、だんだん痛くなってきた」という事態を招きます。
②「パンプス」は通常かかと部に数センチのヒールが取り付けられています。足のウラには立った状態でかかと部に50%、母趾と小指のつけ根辺りにそれぞれ25%ほどの体重がかかっています。数センチのヒールの付いた靴を履くとかかと部の体重は母趾小指方向に移動しますので、歩けばさらに母趾の負担は大きくなります。また、ヒールのないフラットな底の靴でも足止まりの良くない靴だと歩くたびに前方向に足が滑りこみ、母趾を刺激することになります。
③スニーカー、特に歩くことを目的として作られた靴は靴ヒモやベルトをつけたり靴底を全体に厚くして「機能性」を重視して作られています。一方、フォーマルシューズは名前の通り「礼装用」として履く靴です。外反母趾を抱え機能性の靴を履き慣れた人が礼装用の靴で非日常的に長時間立ったり歩いたりすれば履き心地に違和感があったり痛みが出やすいのは至極当然といえますね。

外反母趾の方のフォーマルシューズの選び方

症状の程度かげんにもよりますが、
・ヒールの高さは3センチ前後
・ベルトやギリーなどシューレースの付いたデザインで選んでみましょう。靴の中で足を固定することで母趾部の負担が少なくなります。さらに甲革や中敷きの加工をすることで「靴を足に近づける」のもいい方法です。
また、ヒールの高さにこだわらなければ留め具の付いたフラットな靴底のタイプもお勧めです。
Oさんの娘さんは履き比べた結果、「あぁこれなら全然楽」とフラットな靴底のデザインを選ばれました。式の中でもお悔みごとは待ったなしでやってきます。痛くて辛い思いをする前に早めに楽な靴を用意したいですね。

外反母趾でも礼装用にラクに履ける靴が欲しい…そんな方のお役に立てたら嬉しいです。どうぞコチラからご予約ください。


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