中島湯(兵庫県姫路市)

#銭湯 #コラム #写真
先日、姫路市は姫路城の西にある白山湯に訪れた所、2015年3月に廃業されておりました。

無くなってしまった様を目の当たりにするのは本当に辛いものです。生者必滅を思い、空を仰ぎました。銭湯は私に人生の真理すら教えてくれる存在であります。

ということで、今回は事前に電話を入れて生存を確認。出来れば、閉まる時間まで確認される事をお勧め致します。昨今の厳しい銭湯事情、時間短縮などで経費削減されている所がままあります。実際に中島湯も、30分営業時間が短くなっておりました。


兵庫県姫路市飾磨区にある中島湯へは、山陽電車飾磨駅下車徒歩5分という好立地。駅すぐの商店街を南に進みます。

数百メートル進んだ所で左折し、住宅街を東へ真っすぐ進みます。訪れた日は満月で、美しく浮かぶ月を鑑賞しながら歩きました。余談ですが、インドでは、太陽は強烈な熱で命を枯らし、月は冷光で命を潤し滋養を与えるとされているらしいです。

月よ、我に力を!(銭湯巡りで歩きすぎて膝が痛い)


そうこうしていると、橋が見えてきました。渡っていると、南に水門のような物が見えます。どうやら海が近いようです。

橋を越えて、また少し歩くと、見えてきました!

白トビしていますが、右上の看板には中島湯と書かれています。

あ!常連さんらしい男性が暖簾をくぐっておられます。もっとひっきりなしに、人が出入りしますようにと手を合わせました。

お風呂屋さんは賑わっている時でも、押し合いへし合い他人を顧みない混雑はありません。

一杯な洗い場なら、静かに掛け湯して待つ。それを察知した洗い人から「ここ、もう終わるから使いな」と、直ぐさまお声が掛かったりするのです。

まぁ、可愛いらしい暖簾。では、お邪魔いたします。

玄関の入り戸は、過剰で統一感のないお知らせ文字で目がチカチカ致しました。

実家の冷蔵庫に、無作為に貼られたステッカーや備忘メモを思い出します。


脱衣所は、ただならぬ生活感で「ただいま」と言いそうになりました。

上方に、よく浴室で目にする富士山の絵が、こちらで鑑賞できるようになっています。コーヒー牛乳を飲む時ちょうど目に入るようにとの配慮でしょうか。多分違うと思われますが。

今回、営業時間ギリギリに撮影させて頂きましたので、片付けが行われており、桶と椅子が湯船に沈没しています。

左手前の浴槽は、一人が入れるくらいの小さな水風呂でした。その横は、温泉と書かれておりますが(休み中)と手書き文字が看板に書かれているので、白湯だと思われます。しかし、ここだけ緑のタイル風呂なので、温泉に入っている様なプラシーボ効果が得られます。

中央は手前が浅湯で奥が深湯になっています。その奥は気泡湯でしたが、写真では止まっております。


一番奥には、料金のかからないスチームサウナが。中には小さい換気扇が取り付けられており、スイッチポン自分で熱さを調節出来ます。

ちなみに中の把っ手は破損していて、開閉には何ら問題ないのですが、一瞬焦りました。ちょっとした刺激的サプライズです。

 浴室のタイル絵は、寂しげな憂いを湛えた白鳥です。みにくいアヒルの子は、成長し白鳥であったと気付くのですが、その美しさゆえ孤独を抱え一人物憂げに座っている、、というところでしょうか。

 もし、湯の華が入っていたらこんな効果があるそうです。フムフム。

私が湯船に浸かっていると、小学生くらいの可愛らしい姉妹が入ってきて、とても手際よく、周りにさりげない配慮をしながら入浴し始めました。子供だけなのに賢く、親の教育もすごく良いのだろうなと思って見ていますと、営業時間終わりが近づくと、無言で二人は桶や椅子、風呂場のゴミを片付け始めました。そうか、この銭湯の孫娘さんかと合点がいきました。

しかし、入浴の仕方や掃除の仕方が本当にスマートで、舌を巻きました。

やはり銭湯というのは礼節の場、子供の(大人も)情操教育にもよろしいのではないかと思いました。

しかし最後に、ずうっと船を漕いでいた番台のお祖母さまに断って、写真をしこたま撮っていると、姉妹に訝しげな目を向けられてしまいました。

怪しい物ではないよアピールで、笑いかけると、目を背けられ怯えさせてしまいました。オバちゃん悲しい。

次回、挽回出来るようにしようと、キャバクラに通う中年男性のような再訪を誓い、お風呂を後にしました。


◾︎中島湯
◾︎兵庫県姫路市飾磨区中島1084
◾︎電話 0792-35-0382
◾︎16:00〜22:00
◾︎火曜日・土曜日定休



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