右側車線

運転免許は持っているがクルマは持っていない。
久しぶりに運転する時はどっちがアクセルでどっちがブレーキかを確認するくらいのクルマ音痴。ウインカーを出すとなぜかワイパーが動き出したりする。

昨日はピアノのFさんと群馬県前橋へ。
Fさんのクルマで行くのだが、帰りは遅くなるので、関越道練馬インター近くのFさん宅まで義母のクルマを借りて行くことに。
都内を走るのは久しぶりで、ちょっと緊張したけど道は空いていて新目白通り谷原の交差点まではスムースに行った。そこから2つ目の信号を右折ということなので右側車線に入ってしまったのが運の尽き。
車線は問答無用に高架橋に続いており、右折するはずの信号はまさにその真下。
「落ち着け!これを越えて直ぐに右折すればいいはずだ!」と右側車線を走り続けるが、願いも虚しく交差点は右折禁止。道は高速の入り口につながる次なる高架へ…

焦った僕はハザードランプを点け、車を右肩に寄せて停車。
しかしとてもバックできる雰囲気では無い。
仕方がないのでそのまま発進。高く湾曲した半透明の防音壁が、もうここは一般道ではないことを知らせる。掲示板には「川越まで〜」とか「新潟まで〜」とかの表示。絶望的な気分。
途中の待避所に停止してFさんに電話してみると、料金所で事情を話して出してもらえ、とのこと。

料金所に到着し、左肩に止めて外に出てみるも有人のゲートは遥か向こう。ETCゲートにはクルマがビュンビュン通過している。どう考えても歩いて行けるわけがない。
途方に暮れ、最寄りのゲートに近寄ってみると監視カメラがあるので大袈裟に手を振ってみる。何も起こらない。
よくみると「インターホンを使え」と書いてある。恐る恐る歩いて行き、インターホンを押す。

「どうされました?」
「ここから出してください!高速に乗るつもりはなかったんです」
「あぁ…わかりました。でもココでは無理なんです。そのまま入って所沢インターまで行き、有人ゲートで事情を話してください」

幸い所沢までは10分足らずで到着。有人ゲートで「特別転回」の手続きを取り、Uターン。高速料金は掛からなかった。

結局、約束に30分遅れてFさん宅に到着。
道中、アヴィシャイ・コーエンのオーケストラ作品がかかっていたのだけれど、急き立てるような変拍子と、ユダヤの物悲しいメロディーに何ともイライラさせられた。いや、アヴィシャイは何も悪くないんだけど…

「Fさん、僕みたいな目に遭った人っていなかったですか?絶対いると思うんだけど」
「う〜ん、そうだな、とりあえず俺は知らないけど…」

クルマの運転は嫌いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?