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久遠

6月末に録音した鈴木禎久tail wind のニューアルバム “KUON”が完成しました。発売は9月30日
鈴木禎久(g)、岡田治郎(b)、加納樹麻(ds)に私のメンバーに加え、日本を代表する多彩なゲストを迎え、我々のオリジナルをいろいろな編成とアレンジで。

佐野聡さんのアレンジによるビッグバンド+ストリングス+フルート、オーボエ、イングリッシュホルン+パーカッションの壮大なオーケストラ。
中路英明による4トロンボーン+フリューゲルホーン+フルート。
僕は4トロンボーンとそれ+2フルートの2曲を担当。
録音は真夜中、あるいは明け方までかかったけど、大変なのはそれらのミキシング。

それぞれ元々の音量が違う楽器を同時に鳴らし、意図するハーモニーを浮かび上がらせるためのバランス調整は言わばアレンジの一部。もちろんその完成形を知るのはアレンジャー本人のみなので、実際にコンソールのフェーダーを操作するレコーディングエンジニアとの共同作業には不可欠。
ミキシング第一稿と第二稿はオンラインのやりとりで、最終ミキシングはエンジニアのプライベートスタジオで。
残念ながら佐野さんは仙台での仕事が入っていたため、代わりに僕がディレクションを。

フロントページ オーケストラやNo Name Horsesなどビッグバンド、ラージアンサンブルのミキシングは今まで何度かやってきたけど、ここまで大きな編成のオーケストレーションは初めて。
佐野さんの恐ろしく緻密なスコアから彼のイメージするサウンド、それぞれのラインに込められたメッセージを可能な限り読み取っていく。
また、そういった耳でいろいろなアルバムのミックスはどうなっているだろうかとCDを引っ張り出して聴いてみる。すると、そのミックスが「何を聴かせたいか」がわかって面白い。
例えばMaria Schneider はやはりアレンジャー目線で、フィーチャーされているソロよりバックグラウンドのアンサンブルの方が大きい(笑) ドラムはかなり小さくベースに至っては殆ど聴こえない。これは彼女の音楽が「室内楽」的と言われる所以でもある。

CDに収めることのできる総音量は決まっているので、それをどう配分するか、これは原音の忠実な再現ではなく、ブルーバックの前での演技を合成する映画の編集同様、壮大なフィクションの構築なのだ。

その作業と、無茶なリクエストに本当に根気よく付き合って頂いた芹澤薫樹さんには,限りない感謝を捧げます。

アルバムのご予約は
https://www.yoshihisa-suzuki.com/

自信作です。
皆様よろしくお願いいたします。

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