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大学生がホテル業界をバクッと理解したい時に読むやつ

ということで、ホテルに興味を持つ学生の方に向けてホテル業界の大まかな種類や違いについて、今現在、ホテルで働いている私が解説したいと思います…!

目的はミスマッチを防ぐため。どの業界でも同じかと思いますが、ホテルといえど種類は数知れず、、、一緒くたに「ホテルで働きたい!」と思っていても入社してみると「イメージと違った〜〜」みたいなことならないようになれば嬉しいです。

1.ホテルの種類について

ホテルには様々な種類があります。"ラグジュアリーホテル"とか"エコノミーホテル"とか聞いたことがあるかと思います。ホテルのランクは大きく6つの分類で分かれています。(違う種類分けもあります)価格帯が高い方から順番に以下になります。

ラグジュアリー
アッパーアップスケール
アップスケール
アッパーミッドスケール
ミッドスケール
エコノミー

ここで、注意していただきたいのがラグジュアリーの方が上で、エコノミーが下とかでは全くありません。あくまで種類なので、当然のことですが価値は等しいです!(時々、勘違いされている方もいらっしゃいますが…)

話を本題に戻します。この種類によってある程度、部屋の広さや受けられるサービス、ADR*も決まってきます。分かりやすかったので「森トラスト・ホテルリート投資法人」のサイトから引用したいと思います。

ADR*(エーディーアール)
Average Daily Rateの略で1日あたりの平均客室単価の意味

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引用元:森トラスト・ホテルリート投資法人 Webサイト

あなたが思い描いているホテルの仕事はラグジュアリーでフルサービス(シティホテルとも言う)だけの可能性もあります。そんな中、ミッドスケールやエコノミーのホテルに就職した時にギャップが大きいと思うので、まず自分はどのような種類のホテルで働きたいのか考えることは重要です。

2.ホテル・会社の規模について

種類にも被ってくる内容ですが、ホテルや会社の規模でも仕事の仕方は大きく変わってきます。私は現在働いている会社がホテル業界の1社目なので、実体験としては1つなのですが、見聞きした情報を元にお伝えしたいと思います。

まず、規模が大きくなればなるほど、分業や専業になる傾向が強くなります。実際に有名なホテルで働く方に仕事内容を聞くと「OTA*にプランを流し込むことしかしていません」とか「予約の電話を取ることが専門です」など一つの業務を専門にやっている方もいました。

OTA*(オーティーエー)
Online Travel Agentの略でインターネット上だけで取引を行う旅行会社のこと

逆に私の働く会社では複数の業務を持つことが普通です。フロントにも立ちますし、客室清掃の管理を行えば、宿泊プランを考えたり、PR業務も兼務します。ここでも、あなたがしたい働き方を考える必要があります。幅広くなんでも経験してみたいのか、一つの業務を専門的に行っていきたいかによって選ぶ会社は変わってきます。

マルチタスクやそのメリットについて過去に記事を書いているので、よければこちらも参考にしてみてください!(デメリットもあるのでどっちが良いというのは言えません)

3.運営契約方式について

ここは少しややこしいのですが、ホテルは運営方式が大きく分けて4つあります。実はあなたが知っているホテルは所有と運営が違う会社ということは本当に多いです!(特に外資系が多い)

A) 直営方式
B) MC契約方式(運営委託)
C) 賃貸借方式
D) フランチャイズ方式

A) 直営方式

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事業者自身が土地を購入してホテルを建設し、自社で経営・運営を行う方式です。【所有】【経営】【運用】が全て同じなので、もっともシンプルで分かりやすいですね。有名なホテルでいうと、帝国ホテルやホテルオークラ、ホテルニューオータニなどは直営方式のホテルです。

B) MC契約方式(運営委託)

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MC契約方式は事業者が【所有】【経営】を行い、【運用】は別の会社に任せる方式をいいます。有名なホテルでいうとリッツカールトンはMC契約が多いホテルブランドになります。(フランチャイズ契約の施設もある)

C) 賃貸借方式

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賃貸借方式は事業者が施設(物件)を【所有】し、ホテル運営者が【経営】と【運用】を行います。賃貸なので商業施設のテナントを借りているお店のようなイメージです。

D) フランチャイズ方式

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最後はフランチャイズ方式です。コンビニをイメージすると分かりやすいと思います。私は近所のローソンのオーナーと仲良しなのでローソンを例にします。(自宅から一番近いのはセブンイレブンです)

事業者がフランチャイズ契約を結んだローソン店舗になります。【所有】【経営】【運用】の全てを担いますが、ローソン本社(ホテル運営者)からブランドネームやPOSシステム、経営ノウハウをもらいます。そして売り上げからブランドロイヤリティを本社に支払います。

以上、簡単にではありますが運営方式を説明しました。なぜこの理解が大切かというと、働き方や業務内容に違いが出てくるからです。直営方式では全てが自社で完結するので、経営者と運営者で考えの違いは発生しにくいと言えます。

それがMC契約だとどうでしょう?経営のトップの売り上げ目標と、その目標を達成するための戦略があったとして、運営者と違いが出てくる可能性もあります。会社が違うからこそ、必要だと思っても設備投資をできない(しにくい)こともありえるでしょう。

私が働くL&GグローバルビジネスではA) 直営方式と B) MC契約方式(運営委託)の施設があります。このように一つのホテル運営会社でも違う運営方式をとることもあります。

ホテルは多様で、それが面白い

先日、立教大学の観光学部で授業をさせていただきました。その冒頭で生徒の方々に出した問題です。

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いかがでしょう・・・?

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そうです!二人ともホテルのドアマン。左はオーセンティックなホテルのドアマンで、右がエースホテルのドアマン。同じホテルでもこんなにも雰囲気が違います。ホテルの多様性を伝えるための問題だったのですが、この記事でも説明した通り、ホテルと言っても様々です。

ホテル業界にとっては大変な時期ということは間違いないですが、魅力的な仕事ということも実感しています。就職活動でホテル業界を目指すみなさんが、ホテルで働くイメージの解像度をあげてミスマッチの少ないものになることの一助になれば嬉しいです!

👋

参考文献:ホテルの創り方〜ホテル開発の成否は「相談力」で決まる〜
※ホテルの運営方式の図は上記の書籍の内容を元に作成しました

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