ガラスを介して人に触れ、まちと対話する。コロナ禍のアートプロジェクト「コミュニケーションペイント@高円寺」開催レポート
2021年6月26日(土)-6月27(日)にイベント「コミュニケーションペイント@高円寺」を主催させていただきました。本noteではそのイベントレポートになります。
コミュニケーションペイントとは
コミュニケーションペイントとは、ガラス(又は透明ボード)の内側と外側で同時に絵を描くことを通して、コロナ禍の新しいコミュニケーションを探す、参加型ペイントイベントのことです。
2020年11月に商業施設ららぽーとのショウウィンドウにてさせていただいたことが始まりでした。イベント写真はこちら
「コミュニケーションペイント@高円寺」
今回は、高円寺にあるカフェ&バーBlue Moonの大きな窓ガラスの内側と外側にて、開催させていただきました。
■テーマ
コミュニケーションペイントでは、ガラス越しの新しいコミュニケーションを探ることをテーマにしています。今回の企画では、それに「高円寺を映し出す」ことを新たなテーマとして加え、事前に1週間高円寺に滞在しつつ高円寺についてのリサーチを行いました。
■準備
グラフィティやステッカーなど、街を歩く中で見つけることができる部分や、高円寺で暮らしている人の話の中で見つけた様々なイメージを構成し、イベント開催する中での土台となる部分を作りました。→メイキングはこちら
イベントの中で起こったこと
■当日の体制
以下の体制にて行いました。
・1組10分予約制(コロナ対策)
・アーカイブ班3人(映像・カメラ)
・ペインター6人交代制
■エピソードー何が起こったかー
当日は高円寺在住のサラリーマンや中学生、をはじめとする様々な年齢・所属の約40人ほどの方々に参加していただきました。以下のものをはじめとする様々なガラス越し特有のコミュニケーションがありました。
・型どる
手や顔などをガラスに沿わせ、その形をなぞる・なぞらせるなどのやりとりが多くありました。
・相手を真似る
相手が描いたものち同様のものを描く姿も。
・連続する図形やガラス越しに全く同じ図形を描く
相手が描いた図形に色を塗る人が多かったです。
・音や体の動作、リズムを入れる
強く体をぶつけて音を出し合うやりとりや、聞こえてきた音楽に合わせて描画していく様子など、音に注目したやりとりも終盤に多く見られました。
・ジェスチャー
大きな体の動きによって、相手と意思疎通を図ろうとする動き
・記号やイラストを描く
共通の認識がある図形/記号を描く確かめようとする動きも。
・戸惑う(ディスコミュニケーション)
やりとりの中では、たくさんの予想外のことが。首をかしげたり、動きが止まったりする様子も。イベント後半では、すでに描いてある絵の跡により、意思疎通をより困難なものにしていました。
興味深かったこと
・相手との関係性により変化する絵
以前から友人同士であった二人のペイントでは「普段LINEしても続かない」ことをテーマにガラス上でメッセージのやりとりを行う様子もありました。その一方で、初対面の組み合わせでは、誰でも知っていそうな共通言語を探ることからペイントが始まっていました。
・高円寺らしさとは?
完成後に絵を見て「高円寺っぽいね」とおっしゃる方が何人かいました。グラフィティを思わせる下地の絵や色選びなどは事前のリサーチ得た情報を参考にしましたが、参加者の多くが高円寺に住む方であったことも影響しているかもしれません。その場所でイベントを行うという”地域性”について改めて考えたいと思いました。
・ガラス面が見えづらくなるにつれて増えていくディスコミュニケーション
ガラスというコミュニケーションの障壁を作ることで、普段意識しない様々なコミュニケーション方法や関係性が見えてくる瞬間がありました。
今回の活動を通して、障壁がある中でも、どうにかして相手に触れようとする行為自体が芸術活動であるかもしれないと考えるようになりました。
次回予告
2021年7月16日-7月20日 高円寺にあるギャラリー Uptown Koenji Gallery にて新作《Trace your skin》を展示させていただきます!
この作品は、ポーランドと日本の芸術科学研究会「incast」の発表作品でもあります。
リア透過フィルムという特殊なフィルムを使って、ポーランドとの遠隔でのコミュニケーション実験を行います。
ギャラリーでのパフォーマンス時間は17:00-20:00 (初日は研究発表日)となっています。お時間ある方はぜひぜひ足をお運びください!
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