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日本ラグビー界のファーストペンギン・岸岡智樹が挑む「ラグビーの地域格差」

日本ラグビー界のファーストペンギン、岸岡智樹選手。
「日本ラグビー界の新たな事例になる」ことを将来像に置く岸岡選手は、早稲田大学時代からSNSで発信、トップリーグに入ってから自らのオンラインサロン「岸岡智樹のラグビーラボ(トモラボ)」を主宰するなど、ラグビー界の新しい活動の道を切り開いてきた。

岸岡選手が昨年から始めているラグビー教室が、2022年に2シーズン目を迎える。昨年は全国の都市部を中心に8か所を廻ったラグビー教室は、今シーズンは昨年と異なる場所での開催+初の合宿形式にチャレンジする。

ラグビーの地域格差に挑む

昨年ラグビー教室を始めた時から、ラグビー教室の目的を「ラグビーの地域格差の解消」と繰り返す。その目的は変わらない。

岸岡選手は、ラグビーが盛んな大阪府出身で高校・大学は最終学年に日本一に輝く名門出身、現在は日本最高峰のリーグワンに所属する。いわゆるラグビーのエリート街道をまい進している選手だ。
地域格差に起因する苦労とは無縁の潤沢な環境にあった岸岡選手が「地域格差の改善」に挑むのは、早稲田大学時代の経験からだ。

僕自身、エリート街道を来た感覚はあります。それを感じたのは大学時代。大学には入試形態が違う人もいるし、現役もいれば浪人してきた人もいる等、自分と全く違う人生を歩んできたメンバーがたくさんいた。他の人が途中でラグビーを辞めていく中で、僕自身はいい感じの流れに乗ってきたと思う。日本で最高峰のラグビーリーグに所属して、自分を目指してくれる子どもたちがたくさんいる。自分にとっては普通にやってきたら来れた道、という感じはあるが、それは狭き門だと思っている。

住んでいる地域であったりであったコーチであったり… 僕は現役選手が近くにいる環境だった。でも、そうでない地域もある。その人たちに向けて情報発信やアプローチをして、リーグワンを目指してくれたら、という想いもあり活動している。そのために、まずは各地域に行って地域格差を減らしていく、というかラグビーを続けていく子を増やしていく。

地域の壁に対して「自分で足を運んでいく」

大学時代に感じた「ラグビーにおける地域格差の改善」のためにSNSを始めた。インターネットを通じて発信すれば、自分で手が届かない地方にも情報が伝わると考えたからだ。しかし早い段階でインターネットでの情報発信に限界を感じた。それが「自分が足を運ぶ」ことにつながった。

SNSで情報発信して、自分が直接会うことができない地域まで十分に届いているか?というと全然そうじゃなかった。実際は都市部の人の方が情報をキャッチしようという意識が高くて、ネットワークも都市部の方がすごい。
一方で地方は実際に行ってみればいいことを考えてやっている実感もあった。
それなら自分で足を運んでいくしかないと思った。昨年やってみてFace-To-Faceの強みが分かったので、今年はさらに全国展開をして自分から出向く。「近くまでいくからみんな来てね」と呼びかける。

しかし、地方でのラグビー教室を始めてみると、想像以上に地域格差があった。例えば、それは参加費にも表れる。個々で考え方の違いはあるが、全体傾向から見えてくるのは地域の意識の差だ。

いろんな人に相談したが「参加費をもっと高くした方がいい」という人もいれば、地域によっては「安くしないと人が集まらない」という声もある。関東や関西などの都市部だと、それなりの参加費でも十分に人が集まるが、地方ではそもそも有料のイベントがないし、500円でも人が集まらないという。

それでも、地方でのラグビー教室の開催は苦労が多いが、得られるものも多い。だから、今年も岸岡選手は地方に足を運ぶ。

1つでも多くの地域を廻るために

ラグビー教室を1つでも多くの地域で開催するために、今年は、今年は昨年開催していない箇所を選んで廻ることにした。

昨年は1年目で「データを取る」という意味で人が集まりやすそうな地域を中心に開催した。今年は昨年開催した個所はフォローという形で合宿を行う。ラグビー教室はレギュレーション(構成)は昨年と同じなので、これまで行っていないところを設定した。

対象は昨年に引き続き小学4年生~中学三年生に設定した。
岸岡選手が1回のラグビー教室で一緒に教えられる年齢差の最大を考えて設定している。1つでも多くの場所・地方を回るために決めた策だった。

対象は小中学生と考えていて、「小学校低学年」「小学校高学年」「中学生」と分けるのは容易に考えられるが、自分のスケジュールを考えると難しい。できる空け多くの場所を廻るにはどうしたらいいか、を考えたときに1つの教室にできるだけ多くの人を入れたいと考えた。中学3年生から逆算して同じグループでできる最小は小学4年生だった。

「1つでも多くの場所を廻って教室を開催する」ことをゴールにしてラグビー教室は作られている。

「楽しかった思い出」がラグビーを続けることにつながる

2022年のラグビー教室で子どもたちに残したいものは「楽しかった思い出」だ。

岸岡に会ったからとか、参加して面白かった、ラグビー上手くなったよね、というところに面白さがある。それ以外にもご飯が美味しかったとかベッドがよかったとか。子どもの時期には、何でもいいから「楽しかったよね」という印象や思い出作りがいい経験だと思う。
参加してよかった・楽しかった思い出は、それが「ラグビーをもう一回やりたい」「イベントに参加したい」になり、ゆくゆくは「上手くなりたい」「強いチーム入ってがむしゃらに頑張りたい」に続く。そのきっかけがラグビーが面白い・楽しいにあると思う。

ラグビーと「楽しい」を繋げることで、ラグビーを続ける子どもたちを増やしていく。そのための2年目の挑戦が始まる。



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